更新日: 2023.05.31 その他相続

【急な不幸ごと】凍結された銀行口座は「相続書類」が整えばすぐに解除されますか?

執筆者 : 伊達寿和

【急な不幸ごと】凍結された銀行口座は「相続書類」が整えばすぐに解除されますか?
銀行口座の名義人が亡くなり、相続が発生したことを銀行に連絡すると口座が凍結されます。相続手続きで相続人や遺言執行者が預金の払い戻しを受けるには、まず凍結された口座の解除を行う必要があります。
 
凍結された銀行口座を解除するための手続きの流れのほか、凍結の解除前に口座のお金が必要な場合に利用できる、遺産分割前の相続預金の払戻し制度について紹介します。

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伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

凍結された銀行口座を解除する手続きの流れ

相続が発生して亡くなった人(被相続人)名義の口座が凍結された場合、遺産分割(どの財産を誰が相続するか)が決まり、必要な手続きを行うまでは口座の凍結を解除することができません。
 
凍結された銀行口座を解除する手続きは、次のような流れです。
 

(1)口座のある金融機関に相続の手続きを申し出る
(2)手続きに必要な書類を準備する
(3)金融機関に書類を提出する
(4)口座の凍結が解除され、払い戻しを受ける

 
金融機関に書類を提出してから、口座の凍結が解除されるまで約10営業日かかるといわれますが、書類に不備があった場合はさらに日数を要しますので、時間に余裕をもって対応しましょう。
 

口座の凍結解除に必要な書類は状況により異なる

凍結された銀行口座を解除する手続きに必要な書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無など状況によって異なりますが、主なケースを紹介します。
 
共通して必要な書類には次のものがあります。
 

●銀行所定の届出書
●被相続人の通帳、キャッシュカードなど
●被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡まで連続しているもの)

 
遺言書がある場合は、追加で次の書類が必要です。
 

●遺言書
●検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合)
●預金の相続人の印鑑証明書
●遺言執行者の印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)
●遺言者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任された場合)

 
遺産分割協議で相続内容が決まった場合は、追加で次の書類が必要です。
 

●遺産分割協議書
●被相続人の除籍謄本
●相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
●相続人全員の印鑑証明書

 
上記の書類は一般的なケースであり、遺産分割協議書がない場合や、家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合などでは必要な書類が異なります。また、銀行によって書類が異なることもありますので、事前に確認してください。
 

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凍結解除前にお金が必要な場合の払戻し制度とは

凍結された銀行口座を解除するには、遺産分割が決定していなければなりませんが、相続人全員で行う遺産分割協議が必要で、遺産分割が決まるまでに時間がかかるケースもあります。
 
平成30年の民法の改正で、葬儀費用や相続人の当面の生活費の支払いなどで被相続人名義の口座のお金が必要な場合に、遺産分割前の相続預金の払い戻しを受けられる制度が設けられました。
 
この制度では家庭裁判所の判断を経なくても、各相続人は口座ごとに次の計算式で求められる金額の払い戻しを単独で受けることができます。
 
(相続開始時の預金額)×1/3×(払い戻しを受ける相続人の法定相続分)

ただし、同じ銀行からの払い戻しは150万円が上限になります。複数の支店に口座がある場合でも、すべての支店で150万円までです。
 
また、上記のほかにも家庭裁判所に遺産分割の審判・調停の申し立てを行っている場合は、相続預金について仮払いの必要性が認められ、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断によって相続人が単独で払い戻しを受けることもできます。
 
払い戻しができるのは、家庭裁判所が仮取得を認めた金額となります
 
いずれも払い戻しを受ける場合には手続きが必要ですので、あらかじめ必要な書類などを取引先の銀行に確認してください。
 

まとめ

口座の名義人が亡くなった場合、凍結された銀行口座を解除するには遺産分割を決める必要があります。それまでに口座のお金が必要な場合は、遺産分割前の相続預金の払戻し制度の利用を検討しましょう。
 
また、銀行での相続の手続きは、口座があるすべての銀行で1つずつ行うことになります。口座の数が多いと相続が発生した際に遺族の負担も大きくなりますので、生前に銀行口座を整理して数を減らしておくといいでしょう。
 

出典

法務省 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

法務省 相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について

一般社団法人 全国銀行協会 預金相続の手続の流れ

 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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