2018.04.16 保険

誰がたくさんの医療費を使っているのか? 医療費が増加しているのは高齢者だけではない

厚生労働省の平成27年度国民医療費によると、国民医療費が前年から3.8%増えて42兆3644億円にもなっています。
 
毎年経済成長以上のスピードで増え続けていますが、いったいどこで誰がたくさんの医療費を使っているのでしょうか?
 
調査結果から国民医療費と国民医療費を世代別・診療種類別に分けて、それぞれ人口1人あたりの医療費と伸び率を確認してみました。
 

65歳以上の人の医療費は平均の2倍以上

まず、平成27年度の人口1人あたりの国民医療費を世代別に分け、伸び率を確認するために7年前(平成20年度)と比較してみました。
 



 
1人あたりの医療費を、0~14歳、15~44歳、45~64歳、65歳以上に分けると、65歳以上の医療費の高さが際立っています。65歳以上は74.2万円で、45~64歳の2.6倍にもなり、全年齢の2.2倍の額です。
 
ただ、病気やケガによる受療率は以前から高年層のほうが高いので、医療費に世代間の差があること自体は既知の事実です。
 
国民医療費の増加の要因はどの世代にあるかを確認するために、平成20年度の国民医療費と比べてみると、増加額は65歳以上が一番多いですが、増加率では65歳以上は一番低く、0~14歳が一番高くなっています。
 
高齢化は国民医療費が増加する要因ではありますが、一人一人を見ると、高齢者だけが医療費を増加させているのではないことがわかります。
 

0~14歳の以下診療医療費が大きく増えている

次に世代別に分けた1人あたりの国民医療費を、さらに診療種類ごと分けて確認してみました。下記は国民医療費のうち医科診療医療費に限った1人あたりの医療費です。
 


 
国民医療費全体と同様に、平成27年度も平成20年度も65歳以上の医療費や増加額が目立ちますが、増加率は7年間で6.8%しかなく、ほかの世代よりも増加率は抑制されています。
 
医科診療医療費に限ったことではないですが、0~14歳の増加率が高いのは、もしかしたら各自治体が力を入れて拡充してきた、子どもの医療費助成制度が影響しているのかもしれません。
 
多くの自治体で中学3年まで医療費の自己負担が軽くなったことで、医療機関へ行きやすくなりました。
 

45~64歳の歯科診療医療費は7年前と変わらず

続いて国民医療費のうち、歯科診療医療費に限った世代別1人あたりの医療費です。
 


 
歯科診療医療費は7年間の全年齢の増加率が10.4%で、医科診療医療費の半分程度の率しかありません。しかし、0~14歳の医療費は目立って増加しています。
 
最近は子どもの虫歯が減っていると聞いたことがあり、虫歯の増加で医療費が増加しているのではなく、予防的な治療で増加しているのかもしれません。
 

薬局調剤医療費は7年で5割増し

最後に国民医療費のうち、薬局調剤医療費に限った世代別1人あたりの医療費です。
 


 
薬局調剤医療費は増加率が非常に高く、全年齢では7年間で約1.5倍(48.5%増)にもなっています。医科診療医療費や歯科診療医療費とは増加率に大きな差があり、どの世代でも大きく増加しています。
 
増加額では65歳以上が3.4万円増えて、1年間で13.8万円もかかっています。
 
薬局調剤医療費の増加は主に医療技術の進歩による薬の高額化が影響しているようですが、医療費の伸びがとても心配です。
 
国民医療費を人口1人あたりでみると、65歳以上の医療費の高さに驚きますが、医療費の増加は65歳以上に限ったことではなく、どの世代でも増加しています。
 
特に薬局調剤医療費の増加は凄いものがあります。公的な医療保険制度を持続可能なものにしていくためにも、早急に改善していってほしいものです。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

松浦 建二

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
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