更新日: 2019.01.17 医療保険

30代におすすめする医療保険のポイント

執筆者 : 岩永真理

30代におすすめする医療保険のポイント
人生にはケガや病気がつきものですが、そんなときに気になる出費へ備えるのが医療保険です。
 
民間の医療保険は、主に手術や入院時の出費に対応するものです。例えば、入院すると日額いくら、手術をすると一律いくら、または手術の種類によって金額が変わり支給されるものがあります。
 
最近では病院で支払うすべての金額を、保険金としてもらえるものも出ています。
 
保険ですべてカバーできると確かに安心かもしれませんが、医療保険は通常掛け捨てです。支払事由(病気やケガをする)に該当しなければ、支払いを受けることはできないので、保険金は一切もらえません。
 
そのため、公的な健康保険でカバーできるものを知り、それで足りない部分を民間の医療保険でまかなうのが、効率よい保険のかけ方です。
 
岩永真理

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

公的な健康保険とは?

日本国民なら誰でも健康保険証を持っています。私たちは何らかの公的な健康保険にすでに入っているからです。病院へ行くと3割負担で済むのは、残りの7割は既に加入している健康保険組合が支払ってくれるからです。
 
手術や入院をすると、医療費が高額になると慌ててはいけません。公的な健康保険でも、高額療養費という制度が用意されているからです。
 
一般所得者に属する人は、ひと月の支払いが3割負担で8万円程度を超えると、それ以上の負担は3割ではなく1%ですむという制度です。この場合、仮にひと月8万円を超える治療費がかかっても、およそ9万円程度あればほぼ足りることになります。
 
所得や年齢によってひと月の上限額(上記の場合8万円程度)は変わってきますが、この制度のおかげで一般所得者は貯金が10万円くらいあれば、ひと月の急な入院費には対応できるでしょう。
 
厚生労働省保険局の下記サイト(P8)で、自分の所得区分に応じた限度額を調べられます。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000167493.pdf
 

公的な健康保険で適用できないものは?

健康保険で適用できないものは、入院中の食事代や差額ベッド代です。先進医療も適用できません。これらの健康保険適用外のものについては、民間の医療保険を考えるのが合理的です。
 
先進医療は、1回の治療で高額になることもありますので、民間の医療保険でカバーすべきものの1つと考えられます。
 
がん保険にも先進医療特約がありますが、それではがんの先進医療の治療のみにしか使えませんので、どんな病気の先進医療にも対応するためには、医療保険の先進医療特約に入らなくてはなりません。
 
差額ベッド代とは、入院時に個室や少人数の部屋で治療を希望する場合にかかります。大部屋では通常かかりませんので、どのような病院や部屋で治療を希望するかを考えて入院日額を決めるとよいでしょう。
 

60歳、65歳払い済みは本当にお得なのか?

老後、年金収入のみになったときに、医療保険の保険料を払うのを避けたいとの思いから、保障は一生続き(終身)、60歳や65歳で保険料を払い終わりにしたいと思う人も多く見受けられます。
 
60歳や65歳で保険料を払い終わる設定にすると、仮に平均寿命(女性で88歳、男性で81歳)まで生きて支払い続ける場合に比べて、支払保険料の総額は安くなります。
 
しかし、仮に損益分岐点が72歳の保険であれば、逆に72歳まで生きないと損だということになります。30歳であれば、42年分も先払いするということになります。
 
60歳や65歳払い済みにすると、終身払いより支払期間が短くなりますので、年間支払い保険料は加入年齢の割に高くなります。40代などで家族が増えたり、住宅を購入したりと人生で一番お金のかかる時期でも高めの保険料負担が続き、家計を圧迫する可能性もあります。
 
終身払いにして、年間保険料が安くなった差額を貯蓄して、病気やケガに備える方法もあります。
 
また、医療は日進月歩ですので、保険商品も時代とともに変化します。数十年後はさらに異なる治療や手術をカバーする保険商品も出てくるでしょう。現在、最新の保険でも、将来カバーされない手術や治療が出てくるかもしれません。
 
終身払いであればいつでも解約して、最新の保険に加入することができます。ただし、保険料は加入時の年齢になりますので、高くなる可能性はあります。
 

3大疾病(特定疾病)特約はどうする?

1つの病気やケガの入院で保険料を受け取れる期間(保障期間)は、60日や120日など、一定の決まりがありますが、特約をつけると該当する病気(3大疾病・特定疾病など)になると、保障期間が無制限にできるものもあります。
 
ところが、入院日数は治療の進歩や医療費削減の政府の方針などで、年々短くなる傾向があり、今後もこの傾向は続くと思われます。
 
そのため、受け取る保険料期間が長くなるのではなく、むしろその病気にかかると支払う保険料が免除になる特約のほうが利用価値は高いかもしれません。
 
終身払いを選択し、3大疾病払込免除特約をつけておけば、がんリスクの高い人は、結果的に保険料が安くなる可能性もあるかもしれません。特約保険料がいくらか、何年くらい払う可能性があるのかを試算して結論を出すとよいでしょう。
 
また、同じ3大(特定)疾病特約でも、特約が適用となる条件は保険商品によって異なるので注意が必要です。
 
例えば、その疾病と診断されて治療を受けただけでよいのか、治療を開始して一定の期間が経過しなければいけないのか、など確認すべきでしょう。
 
条件が緩いほうが契約者である私たちには有利ですので、保険料がそれほど変わらなければ、有利なほうを選択すべきです。
 
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表

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