更新日: 2019.01.07 医療保険

医療保険を選ぶときに保険料だけで選んではいけない理由

執筆者 : 黒須かおり

医療保険を選ぶときに保険料だけで選んではいけない理由
生命保険文化センターが公表している平成28年生活保障に関する調査をみてみると、医療保険に加入している人の割合は72.1%で過去10年間ほとんど変わらない数字です。
 
約7割の人が加入している医療保険ですが、実際にどのようなことを基準に選んでいるのでしょうか。
 
保険料だけで選んでいるといざ必要なときに後悔してしまうかもしれません。医療保険を選ぶときは保険料だけで選んではいけない理由を解説します。
 
黒須かおり

Text:黒須かおり(くろす かおり)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)

女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。

2007年にFP資格取得。独立系ファイナンシャルプランナー事務所にて個人相談、執筆、セミナー講師などを経験

その後「パートナーに頼らない経済的自立を目指す女性」をサポートするため2016年FPoffice Rapportを立ちあげる。
現在、年間80回以上の資産運用セミナーや金融機関にて資産形成のアドバイザーとして活動中。また金融サイトへの執筆も年間50本を越える

医療保険は保険料で選ぶな

医療保険に加入しようと思うとき、保険料を一番重要だと考える人が多いのではないでしょうか。もともと保険は何かことが起きたときに助けてもらうために加入するものですから、掛け捨ての保険の場合、何もなければ支出しかないのは仕方のないことです。
 
ですからなるべく保険料は安くしたい、安い保険に加入したいと思うのは当たり前のことだといえます。しかし、保険に限っては必ずしも毎月の保険料が安いからといってトクになるとは限らないのです。
一般的な医療保険は、入院したら支払われる日額と手術をしたら支払われる手術給付金があります。
 
そのほかには、女性疾病や、三大疾病、先進医療、がん保険であれば抗ガン剤治療などの特約が付いているのです。医療保険で重要視しなければならないがどんなときに支払われるかの「支払い要件」なのです。
同じ特約でも、支払われる要件が違うと、A社では支払われないが、B社では支払われるということがあるのです。
 
自分と同じ病気で同じ治療した人がいて、一方には支払われて、一方には支払われないなんてこともあり得るのです。保険料が安いから仕方ないと割り切るのか、ほんの少しの保険料の違いで受け取ることができてよかったと思うのかは、保険料だけを見ていたのではわかりません。しっかりと内容を確認する必要があるのです。こんなとき支払われないなんて知らなかった、なんてことにならないために、最低限この2つは確認しましょう。
 

女性特有の病気じゃなくても女性疾病の対象に?

医療保険の中には、女性特有の病気や、女性に多い病気のときに入院の日額が上乗せされたり、手術給付金が上乗せされたりする特約があります。ほとんどの保険会社にはこの特約がありますが、保障される範囲や病気の数はそれぞれ異なります。
 
例えば、女性にしかない病気について各社変わりはありませんが、女性に多い病気という範囲になると大きな差があります。例えば、胃がんや大腸がんなどのように性別に関係ないがんであったり、くも膜下出血、腎不全など誰にでも起こり得る病気であったりしても女性疾病特約の支払い対象になっている会社もあります。また帝王切開については、手術給付金にも女性疾病が該当し、手術と女性疾病の特約のどちらからも手術給付金が支払われることもあります。
 

金額の大きい三大疾病こそ今すぐ確認

三大疾病の特約には大きく3種類あり、三大疾病になると入院の日額の制限がなくなり無制限で支払われるものと、入院すると一時金がもらえるものがあります。
 
また、三大疾病に該当すると保険料が免除される特約もあります。心配だからと50万円、100万円と三大疾病の一時金の特約をつけている人は、支払われるか支払われないかとても大きな問題だと思います。ですから三大疾病の支払い要件の違いはとても重要です。
 
例えば、がんについては各社「診断」が条件となっていますが、心疾患と脳血管疾患については「急性心筋梗塞など」「脳卒中」と病気を指定していることころもあれば、「約款所定の心疾患」「約款所定の脳血管疾患」と疾患としているところもあります。
 
この場合、狭心症や不整脈、脳動脈瘤で入院したとすると、後者でしか支払いの対象にならないのです。つまり、病気を限定するのか病気の種類で限定するのかによって受け取る保険金に大きな差が生まれます。
 

まとめ

支払い要件が広くなれば保険料が高くなるのを避けることはできませんが、保険料が安いからというそれだけで、保険を選んではいけません。
 
将来自分にどんな不安があるのか、どこまで保険でカバーして欲しいのかという「保険金の出口」を考えた上で医療保険は選びましょう。
 
Text:黒須かおり(くろす かおり)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)

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