更新日: 2019.12.10 生命保険

配当金付きの保険と無配当の保険、どちらがお得?

執筆者 : 福島佳奈美

配当金付きの保険と無配当の保険、どちらがお得?
生命保険に加入するとき、配当金付きの保険もあれば無配当の保険もあります。
せっかく加入するなら配当金があったほうが良いのか、ないほうがお得なのか、知りたいと思いませんか?
今回は、生命保険の配当金が出る仕組みについてお伝えします。

福島佳奈美

執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

生命保険の保険料はどのように決まる?

配当金は保険料と密接な関係がありますので、まず生命保険の保険料がどのように決められているのかを見てみましょう。生命保険の保険料は以下の3つの予定率をもとに算出されています。
 
(1) 予定死亡率
保険会社は、過去の統計をもとに年齢別、男女別に将来の死亡者数(生存者数)を予想し、将来の保険金や給付金などにあてる必要額を算出しています。
 
その際に用いられる死亡率を予定死亡率といいます。予定死亡率が低くなると保険料も安くなります。
 
(2) 予定利率
保険会社は、契約者から預かった保険料を運用していますが、運用によって得られる収益を見込んで一定の割合で保険料を割り引いています。この利率を予定利率といいます。
 
契約時に予定利率が固定されている商品と、契約時に固定せずに利率が変動するタイプの商品があります。予定利率が低くなると保険料は高くなってしまいます。
 
(3) 予定事業費率
保険会社は、契約の締結や維持にかかる費用、事業の運営費用などをあらかじめ見込んで保険料に反映しています。これを予定事業費率といいます。予定事業費率が上がると保険料は高くなってしまいます。

生命保険の配当金が出る仕組み

上記のように、保険料は予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定率により算出されます。しかし、死亡者数、運用利回り、事業費が予定と異なる場合もあります。
 
実際の死亡者が予測した死亡者数より少ない場合の利益を「死差益」、予定より運用実績が良かったときの利益を「利差益」、事業費が予定より少なかった場合の利益を「費差益」といい、これら3つを「剰余金の3利源」といいます。
 
これらの利益を契約者に分配するのが配当金です。

配当金付きの保険と無配当の保険どちらがお得?

ただし、どんな保険でも配当金があるとは限りません。配当金の分配があるかどうかによって保険を分類すると下記の表のようになります。
 

 
有配当保険は、死差益、利差益、費差益のすべてが配当金の対象です。配当金は毎年分配するものが主流ですが、3年ごとに配当する商品を扱う保険会社もあります。
 
有配当保険は、これら3つの利益を見込んで保険料を設定していますので準有配当保険、無配当保険より保険料は高めです。
 
準有配当保険は、利差益が生じた時に配当金が出る保険です。利差益を5年ごとに通算して剰余金があった場合に分配する「5年ごと利差配当型保険」が主流ですが、「3年ごと利差配当型」や「毎年利差配当型」もあります。
 
準有配当保険は、無配当保険よりは保険料が高くなりますが、有配当保険よりは安いです。
 
無配当保険は、どの剰余金が生じても配当が出ない保険です。3つの中で保険料は一番安くなっています。
 
こうしてみると、支払う保険料で判断すると無配当保険がお得のように見えますし、配当金がもらえるかどうかで判断すると、有配当保険がお得であるように見えます。
ただし、有配当保険や準有配当保険でも、利益がでなかったら配当金がないということもあります。
 
結局、配当金の有無で保険がお得かどうかを判断することは難しいのです。保険に加入する際は、保障内容がどんなものなのか、また自分に適しているかということを基準に選び、配当金は副次的な要素と考えるべきです。
 
配当金が出る仕組みを理解しておけば、ご自身の考えと照らし合わせて判断できるのではないでしょうか。
 
執筆者:福島佳奈美
DCアドバイザー


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