最終更新日: 2020.09.01 公開日: 2020.09.02
保険

不安にかられて保険加入…はちょっと待って。改めて考えたい必要な保険とは

執筆者 : 西山広高

コロナウイルスの感染拡大は人々の心にさまざまな「不安」を感じさせます。自分や家族の健康を脅かしかねないコロナウイルスは、これまでの経済危機とは異なり人々の健康に直接影響する恐れもあることから、これまでに感じたことのない不安を抱えている方もいるでしょう。
 
「万が一のときの備え」である「保険」を販売する会社はそんな不安を巧みに利用するケースもあるようです。
 
この機会に「保険の正しい選び方」を確認しておきましょう。
 
西山広高

執筆者:

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/

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西山広高

執筆者:

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
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かんぽ生命の不正販売事件

昨年、かんぽ生命の不正販売が問題になりました。生命保険を契約するとその保険会社とは長い付き合いになることが少なくありません。最近はインターネットで販売を行う保険会社も登場していますが、昔からの付き合いで保険に入っているという方も少なくないでしょう。
 
郵便局は全国津々浦々まで本局や出張所が整備され、民間の金融機関ではとてもコスト的に割に合わないエリアにもATMを設置するなどしていたため、都市圏はもちろん、地方にも深く浸透しています。
 
もともと郵便局は地域の名士がその事業を受けていました。自分の土地や建物を郵便事業のために提供し、国が郵便業務を請け負わせたことから、地元に密着した信頼の厚い事業でした。その後も郵便配達員は毎日のように地域を走り回り、地域の人々と親密な関係を築いていたといえます
 
各家庭を回り、町で会う人とも顔見知り。家族の状況まで把握している。そんな人が勧めてくれる保険に「いつも良くしてもらっているから」「あの人が勧めるなら安心」とよく内容も確認しないまま加入した人も多かったでしょう。
 
しかし、民間の生命保険会社が力を伸ばし、さらにはインターネットも普及したことでかんぽ生命以外にもさまざまな選択肢があることが認知されました。さらに郵政民営化により、かんぽ生命も株式会社としての業績を求められるようになり、保険営業には厳しいノルマが課せられるようになります。
 
そんな状況下でかんぽ生命の優秀(?)な営業マンは契約者をだますような手口を使ってでも保険の新規契約獲得に走り、不適切な手法が発覚したことで大きな問題になりました。
 
かつての地域密着で地元に信頼された郵便局。不安を解消するための保険が加入者を不安にさせてしまうことになりました。

あらためて「保険」とは

保険は、万が一の事態に備えてその経済的なダメージを軽減するためのものです。保険に入れば病気にならないということもありませんし、事故に遭わないわけでもありません。あくまでも「経済的な負担」をカバーするものです。
 
保険にはさまざまな商品があります。われわれFP(ファイナンシャルプランナー)でもすべての保険会社が扱う保険商品を把握しているわけではありません。
 
保険は「ある定められた状況になってしまったとき」に保険金が支払われます。その「状況」は「できればなりたくない」もので、誤解を恐れずに言えば「当たりたくない宝くじ」のようなものともいえるかもしれません。
 
一方で、保険に加入すれば保険料を支払うことになります。万が一のときには保険金が支払われますが、保険料の負担は増えます。保険加入は、支払った保険に見合った補償と安心感が得られるかどうかで判断する必要があります。

保険営業は巧妙に不安をあおる

本来、保険のあるべき姿は「掛け捨て」だと言えます。保険を販売する保険会社も営利企業であり、加入者から受け取る保険料から会社の人件費を含めさまざまな経費、株式会社であれば株主への配当金、利益を生み出します。
 
すべての人が支払った保険料以上に保険金を受け取るようでは、事業として成立しません。
 
掛け捨てを「もったいない」と感じる人に「貯蓄性」の保険を勧める営業もいます。「掛け捨てじゃないので貯蓄もできる」「老後資金のための資産形成として考えれば保険と貯蓄で一石二鳥」などと話したりします。
 
しかし、その中には会社の儲けが入っていて、保険よりもほかの投資信託などの金融商品で運用したほうが有利な場合が多い。
 
「満期になれば支払った保険料よりも多く返ってくる」とうたっている商品も、満期前に引き出せば元本を割れする場合がほとんどですし、今のような低金利下では、保険も大きなリターンはあり得ない状況。資産形成・運用として考えるならば、ほかにもっと有利な運用方法があるでしょう。

必要な保険とは

例えば、自分の身に万が一のことがあった場合でも家族が困らないように、子供が独立するまでの生活費や教育費を確保するために定期死亡保険は活用できると思います。
 
しかし、企業にお勤めの方が万が一在職中に亡くなった場合、その企業に「遺族退職金」の制度があればまとまった金額が家族に支払われるケースもあります。遺族には一定の要件を満たせば「遺族年金」も支払われます。実際にそうしたことが起きたとき、いったいいくら必要なのかを把握し、必要最小限の保険に加入するよう心掛けるべきです。
 
自動車保険の任意保険や個人賠償責任保険などは、必要な保険といえます。どんなに気を付けていても自動車を運転すれば事故は起こり得ます。
 
自動車で人身事故を起こしてしまった場合や、自転車に乗って人に大けがをさせてしまった場合に求められる補償は数千万、場合によっては億の単位になることもあります。こうした金額になると自分のお金でカバーできる人はほとんどいないはず。そうした事故が発生してしまうと人生を棒に振ってしまうほどの経済的ダメージです。
 
もし自分が被害者で、事故にあったとき、加害者がまったく保険に入っておらず、ほとんど補償を支払ってもらえなかったとしたらどうでしょう。保険で心理的ダメージはカバーできませんが、自分が加害者になってしまったときに、少なくとも被害者やその家族の経済的なダメージは保険で軽減できるのではないでしょうか。
 
火災保険も最低限のものは必要でしょう。火災保険は万が一住まいを失ってしまった場合に、元の生活を取り戻すために必要な保険。預貯金でカバーするのは厳しいでしょう。
 
火災保険は、自分が火事の火元になった場合だけをカバーするものではありません。お隣の家が火事になって自宅が延焼した場合などでは、お隣の家は延焼してしまった家の損害を賠償する義務がありません(失火責任法という法律で定められています)。
 
延焼してしまった場合でも所有者が直さなければならなくなります。自分だけが気を付けていればよいというものではないのです。
 
最近は豪雨による水害なども増えています。自分が住む場所がハザードマップ上の「水害リスク」がある場所であれば、水災も保証する火災保険に加入しておくべきでしょう。
 
がん保険も自分の家系は若いときにがんを発症した人が多く、自分ががんにかかる可能性は人よりも大きいと感じる人が「お守り代わり」に入るという選択は否定しません。
 
手元にお金を持っていると使ってしまうという人や、自分で運用するのは無理なので自分の資金の一部は保険も併せて活用するという場合、選択肢の1つとして貯蓄型を選択するという方法も否定しません。しかし、もっと有利な運用方法について知ろうとすることも重要なように思えます。

まとめ

前述したように、保険は万が一の際に自分のお金では負担できないほどの経済的なダメージをカバーするためのものです。
 
保険に加入するときに大事な「目的」は
・万が一の際に自分のお金では解決できないほどの経済的ダメージをカバーする
・支払う保険料に見合った安心が得られるか

という点だと考えられます。
 
裏を返せば「自分のお金で解決できることに保険をかける必要はない」とも言えるでしょう。
 
コロナウイルスの感染拡大で、自身の健康や収入に不安を感じている人も少なくないと思います。保険は急な出費に対する不安はカバーできますが、すべての不安を解消するものではありません。
 
こんなときだからこそ、「起こり得るリスク」とそれに対する「備え」について考える必要があると思います。
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

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