更新日: 2020.09.03 その他保険

2019年度の生命保険42社の個人年金保険契約件数や取り扱いの状況って?

執筆者 : 松浦建二

2019年度の生命保険42社の個人年金保険契約件数や取り扱いの状況って?
各生命保険会社の2019年度の決算資料が出そろいました。2019年度は新型コロナウイルス感染症が出始めた影響だけでなく、超低金利や税制変更等、多くの生命保険会社にとって非常に厳しい1年となりました。どのような結果になったのか、今回は決算資料から2019年度の個人年金保険の契約件数について確認します。
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

個人年金保険の新契約件数は42社で92万件

2019年度に新たに加入した個人年金保険の件数を、各生命保険会社の決算(案)資料で確認し、表にまとめてみました。過去と比較できるよう、前年度(2018年度)と前々年度(2017年度)も載せ、2019年度の件数を2017年度と比べてどのくらい増減しているかの比率も載せておきました。全社合計値は生命保険協会資料で確認しています。
 
なお、個人年金保険を取り扱いしていない生命保険会社も数多くあり、表では「-」と記してあります。2019年度は、はなさく生命が開業し、他に3社の社名変更があり、アリアンツ生命がイオン・アリアンツ生命へ、ソニーライフエイゴン生命がソニーライフ・ウィズ生命へ、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命がSOMPOひまわり生命へ変わっています。

2019年度の個人年金保険の新契約件数は全社で92万7000件になり、2018年度(99万件)に比べて約6万件減っていますが、2017年度よりは約5万件増えています。
 
2019年度の新契約件数が最も多いのは前年と変わらず日本生命で、前年比20.6%増の27万7000件となっています。2番目は新たにソニー生命が入り、43.1%増の12万6000件となっています。個人年金保険は半数程度の保険会社しか新契約がなく、上位6社で全体の87.1%(80万1000件)にもなる寡占状態といえます。
 
2017年度からの2年間の動向を見てみると、2年連続で件数を増やしている保険会社は日本生命とソニー生命しかありません。多くは新契約件数を減らしており、中には2年間で3分の1程度になっている保険会社もあります。超低金利下で魅力的な商品を作りづらくなっていることが、大きく影響しているのでしょう。
 

個人年金保険の保有契約件数は42社で2122万件

次に2019年度の個人年金保険の保有契約件数を、各生命保険会社の決算(案)資料で確認し、表にまとめてみました。

2019年度の個人年金保険の保有契約件数は、全社で2123万6000件です。2018年度からは約18万件減っており、2017年度からは約24万件減っています。
 
2019年度の保有契約件数が最も多いのは新契約件数と同様に日本生命で、前年比3.1%増の408万8000件となっています。2番目以下は住友生命(320.4万件)、明治安田生命(243万8000件)、第一生命(209万1000件)と続いています。
 
2017年度からの2年間の動向を見てみると、2019年度の保有契約件数を2017年度より増やしている保険会社は9社しかありません。保有契約件数は前年の保有契約件数に当年度の新契約件数を加えるので、解約等がよほど多くない限り前年より増えます。それでも9社しか増やせていないのは、超低金利下において個人年金保険では将来の生活費を確保しづらくなっているのではないかと考えられます。
 
生命保険会社は42社ありますが、個人年金保険の保有契約件数がある保険会社は33社(0件の保険会社は含まず)、新契約件数のある保険会社は20社にしかありません。保有契約件数が多い5社で全体の61%にもなります。加入しようとしている人にとっては、選択肢が狭まって選びやすくはなりましたが、魅力的な商品の登場には、ある程度の競争が必要です。
 
人生100年時代といわれ、2019年には金融庁から老後の生活費が2000万円不足する報告書もありました。不足分を補うのに個人年金保険は選択肢の重要な1つでしたが、徐々に縮小しており、このままでは選択肢から外れてしまうかもしれません。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者


 

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