更新日: 2020.10.02 生命保険

今年の新入社員は生命保険に入っている? コロナ禍だからこそ保険を知ろう

執筆者 : 伊藤秀雄

今年の新入社員は生命保険に入っている? コロナ禍だからこそ保険を知ろう
毎年、新入社員が保険会社の営業職員から商品の説明を受ける様子は、職場の春の風物詩ともいえます。ところが今年は、新型コロナウイルスの影響で対面営業が自粛され、多くの会社が在宅勤務に切り替えるなど、勧誘、加入の機会がないという話を聞きます。
 
実際に保険の新規加入数はどう変化したのでしょうか。調べてみました。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

新型コロナの保険契約数への影響

生命保険各社の第1四半期業績が8月に発表されました。新規契約件数は前年同期比で、約20%から70%と幅はあるものの、軒並み大幅な減少でした。4月の緊急事態宣言以降、営業職員の訪問による対面営業や窓口販売を自粛したことの影響の大きさが現れています。
 
ただ、いわゆる「ネット生保」では、同期間の新規契約件数が150~300%超と大幅に増加した会社が目立ちます。ネット生保は近年、比較的仕組みのシンプルな保険で契約獲得数が大きく伸長していますが、昨年度以上にネット生保全体で大きく新規契約数を伸ばしており、コロナ禍での強みを発揮したといえるでしょう。
 

自分のための保険を考える時間にしよう

今年度の新社会人は例年同様、約90万人といわれていますが、前述のとおり今年はまだ保険加入していない新入社員の割合が高いと思われます。グループ保険(団体定期保険)は、社内で募集案内があるのでさほど影響を受けないはずですが、商品の内容が限られるので多様なニーズには応えきれません。
 
さて、このような状況で新入社員はどうすればいいのでしょうか? とはいっても、保険のことをしっかり考えたことがない、という人も多いはずです。今は、自分に必要な保険について考える絶好の機会です。
 
終身保険、定期保険、医療保険、がん保険、個人年金保険、収入補償保険……。さまざまな保険が、誰に対して、いつ、いくら必要なのか? 悩んでしまいますね。
 
将来発生する出来事や時期は一人ひとり異なりますが、現在備えるべき対象ならどうでしょうか。新社会人の多くは、ほぼ同じライフステージに立っているといえます。まず、今必要な保障を確認することが出発点になります。
 
死亡保険であれば、自分が不慮の事故や病気で死んだ時に経済的に困る人がいるのか?該当しなければ、優先順位は下がります。医療保険はどうでしょう。
 
もし半年の療養が必要な病気になったら、十分とはいえませんが健康保険の傷病手当金(概算で標準報酬月額の2/3)が当面の助けになります。多額の診療費がかかっても高額医療費制度があるので、仮に標準報酬月額が26万円以下であれば、自己負担限度額は5万7600円/月に収まります。
 
でも、健康保険が適用されない出費のリスクは年齢を問いません。例えば、自由診療、差額ベッド代、高度先進医療といった費用があります。医療への備えは若くても持っておくのがよさそうです。基本的な医療保険なら、割引が大きく保険料の安いグループ保険も選択肢の1つです。
 
老後の生活費への備えも早めに始めたいところですが、個人年金保険以外にもiDeCo(個人型確定拠出年金)、あるいは貯蓄や投資で資産形成する方法がありますし、組み合わせもできます。
 
いずれも数十年の長期で運用するものなので、拙速に決めず、自分のリスク許容度に合ったものをよく比較検討して選びたいものです。さまざまな選択肢を理解し、まずは「今の自分」に過不足なく備えることから始めましょう。
 

必要な保険と、ほど良い距離感で付き合う

公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、生命保険の加入率は20歳代で男女とも60%弱ですが30歳代になると80%強にグッと増えます(※1)。さまざまなライフイベントを迎えることから、必要な保障額が見えてくるのです。
 
一方、終身保険は加入年齢が低いほど保険料が安いので早く入るほうが有利ですが、奨学金返済など他の支出が決まっている場合もあり、使えるお金は限られます。
 
公的保険でまかなえないものは何か、他人のまねではなく自分に必要な備えは何かを見つけ、お金を効果的・効率的に使いたいですね。緊急事態宣言が解除され、新しい働き方の中で次第に保険に触れる機会が戻ってきました。「ライフステージ」ごとに、必要な保険と上手に付き合っていきましょう。
 
(※1)公益財団法人生命保険文化センター「「生活保障に関する調査」令和元年度」
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。


 

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