公開日: 2020.10.28 保険

2021年度介護保険改正で何が変わる?高額介護サービス費では高所得者の自己負担額が増える?

執筆者 : 新美昌也

介護保険改正で、高額介護サービス費の所得区分が見直され、高所得世帯の負担が重くなります。また、介護保険施設やショートステイを利用したときの、食費や居住費の補助も縮小されます。それぞれのポイントを解説します。
 
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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新美昌也

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執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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高額介護サービス費とは

介護保険のサービスメニューにあるサービスを利用限度額の範囲内で利用した場合、利用者負担は、かかった費用の1~3割です(40~64歳は1割)。
 
たとえば、要介護1(1割負担)の方が17万5000円分のサービスを利用した場合、利用限度額の16万7650円までは1割負担の1万6765円で利用できますが、利用限度額を超えた分7350円は10割負担になります。このケースでは、合計2万4115円が自己負担額です。
 
高額サービス費は、同一月内に利用したサービス費の自己負担額(1~3割)が高額になった場合、所得に応じた自己負担の上限額を超えた分を申請により取り戻す制度です。同じ世帯にサービス利用者が複数いる場合には合算できます。
 
なお、施設サービスでの食費・居住費・日常生活費など、介護保険給付対象外のサービスの自己負担は高額サービス費の対象外です。また、福祉用具の購入費、住宅の改修費も対象外です。
 

自己負担の上限額は最大14万100円へ

現行制度では、高額介護サービス費の自己負担限度額は、所得区分が「現役並み」(世帯年収520万円(単身383万円)以上)が4万4400円、「一般」(住民税課税世帯で現役並み以外)は4万4400円、「住民税非課税」が2万4600円となっています。
 
ここで、「現役並み」と「一般」の自己負担限度額が同じことに疑問を持った方もいるかもしれませんので説明します。
 
高額サービス費の限度額は2017年に「一般」で3万7200円から4万4400円に引き上げられました。このとき、激変緩和措置として、同じ世帯のすべての65歳以上の方(サービスを利用していない方を含む)の利用者負担割合が1割の世帯に、年間上限額44万6400円が設定されたという経緯があります。なお、この措置は2020年7月末で終了しました。
 
介護改正により、「現役並み」の所得区分が細分化され、高所得者の自己負担額が引き上げられます。具体的には、年収約1160万円以上の利用者の場合の上限は14万100円へ、年収約770万~約1160万円の場合の上限は9万3000円へ引き上げられます。
 
年収約383万~約770万円の場合の上限は4万4400円と現状維持です。この所得区分は医療保険の高額療養費制度と同じです。高所得者にとって厳しい改正です。
 

住民税非課税世帯の、居住費と食費の補助が縮小へ

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院およびショートステイを利用した際の、居住費(滞在費)、食費、日常生活費は全額自己負担です。
 
この負担を軽減するため、居住費(滞在費)と食費については補助(補足給付)があります。軽減を受けるには申請が必要で、次の要件に該当する方には「介護保険負担限度額認定証」が交付されます。
 
<要件>
下記、すべてに該当する方が対象です。
1.世帯全員および別世帯の配偶者が住民税非課税であること
2.現預金、預貯金、有価証券などの資産の合計が単身で1000万円、夫婦で2000万円以下であること

 
現行制度では、第1段階(生活保護)から第4段階(給付対象外)があり、1~3 段階で所得区分に応じた補助が受けられます。改正により、第3段階(世帯全員が住民税非課税かつ本人の年金収入等が80万円超)をさらに(1)と(2)の2区分に分けることとなりました。
 
第3段階(1)は、世帯全員が住民税非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下、第3段階(2)は世帯全員が住民税非課税かつ本人年金収入等120万円超です。第3段階(2)は月2万2000円の負担増となります。
 
また、ショートステイの食費部分も見直されます。食費1日当たりの負担額は、第2段階で600円(210円増)、第3段階(1)で1000円(350円増)、第3段階(2)で1300円(650円増)となります。
 
さらに、給付を受けるための資産要件も変更されます。現在の基準である単身者1000万円以下の基準を第2段階では650万円以下へ、第3段階(1)では550万円以下へ、第3段階(2)では、500万円以下と見直しされます。配偶者がいる場合は、現行制度と同様1000万円が加算されます。
 
前回の補足給付の改正時には、負担増により特別養護老人ホームを退所せざるを得ない方が多くいました。特別養護老人ホームは安いといったイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、安く利用できるのは一部の人に限られます。
 

まとめ

2021年度改正では、「ケアマネジメントの有料化」「要介護1・2の方の生活援助の市区町村への移管」「保険料負担年齢の引き下げ」「利用者の自己負担の増額」などの検討事項が先送りされました。これを見ると、利用者の負担増は今後も続くことが容易にわかります。貯蓄などで早めに介護費に備えることが大切です。長寿化で貯蓄も底をつく可能性がありますので、家族に介護費を頼れない方は民間介護保険も検討すると良いでしょう。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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