公開日: 2021.02.05 保険

死亡保険金の「受取人固有の権利」が否定されることがあるって本当?

執筆者 : 大泉稔

死亡保険金は、そもそも民法上の相続財産とはされません。ですが、被保険者の相続開始に合わせて、死亡保険金を受け取る権利が生じます。
 
そして、死亡保険金を受け取る権利は「受取人固有の権利」とも称され、遺産分割協議は不要です。受取人が単独で保険金請求することができ、保険金は受取人名義の銀行口座に振り込まれます。
 
振り込まれた保険金の使い道に制限はありません。ここまで強力な「受取人固有の権利」なのですが、覆される可能性もゼロではありません。
 
大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

特別受益

相続が発生した際、相続人は「特別受益」を主張できます。では、特別受益とは何でしょうか?
 
相続人が複数人いる場合、中には被相続人から遺贈を受ける相続人がいたり、あるいは被相続人の生前に財産の贈与があった相続人がいたりします。遺贈や生前の贈与のある相続人と、いわば「もらっていない」相続人と同じ相続分では不公平ではないでしょうか?
 
そこで、遺贈や生前の贈与の財産を相続財産に「持ち戻して」遺産の分割を協議する、つまり相続における不公平を是正する、ということを行う場合があります。それを特別受益といいます。
 

死亡保険金は特別受益なのか?

繰り返しになりますが、死亡保険金は相続財産ではなく、受取人固有の権利です。被保険者(=被相続人)の相続の発生により、その権利が生じます。
 
保険契約を維持するための保険料は契約者が払いますが、契約者が被相続人(=被保険者)という契約もあり得ます。このようなことから、死亡保険金を「特別受益なのでは?」と主張する相続人が現れることがあります。
 
そして、裁判にまで発展することもあります。状況によっては、「不公平が著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、死亡保険金も特別受益として『持ち戻し』の対象になり得る」と判決が下ることもあります。
 
では、特段の事情とは何でしょうか?
 
死亡保険金の額はもちろん、遺産の総額に占める死亡保険金額の割合、同居の有無や被相続人の介護等、生前の貢献、さらに保険金受取人である相続人および他の共同相続人と被相続人との関係や、各相続人の生活実態等の諸般の事情に至るまで、幅広く考慮されるようです。
 
ここで留意しておきたいのは、必ずしも死亡保険金の額だけで、特別受益に該当するか否かを判断しているわけではない点です。
 

まとめに代えて

特別受益を争ったとある裁判。この裁判の判決は平成16年10月29日に出されたのですが、その日は相続人の親御さまの命日でもありました。ちなみに、両親とも亡くなったのが平成2年で、実に14年の歳月を掛けて争ったことになります。
 
上述の判決では、特別受益は否定されました。判決においても死亡保険金は受取人固有の権利として改めて認められたことになりますが、それにしても14年です。死亡保険金を残した被相続人(=被保険者)の本意ではなかったのではないかと推察されます。
 
死亡保険金の受取人固有の権利が覆される可能性についてご説明しました。しかし、相続を“争族”にし、裁判まで起こして長く争うといったことが生じないよう、相続は慎重に行いたいもの。
 
相続人が複数人いる相続においては、こういった悲しいトラブルが起こらないよう、できれば事前に対策をしておきたいですね。
 
(引用)裁判所/判例
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
 

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