更新日: 2021.02.26 その他保険

今こそ、保険を見直そう! 本当に正しい保険の加入の仕方とは?

執筆者 : 廣重啓二郎

今こそ、保険を見直そう! 本当に正しい保険の加入の仕方とは?
コロナ禍の影響で収入が大きく減ったり、収入がなくなってしまったという方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、これまでは毎月の収入でやりくりできていたのに、貯蓄を取り崩す事態になっているのではないでしょうか。こんなときは、支出の見直しが最優先事項です。特に、セールスマンに言われるがまま加入している保険はありませんか。
 
今回は、正しい保険の加入の仕方について解説します。
廣重啓二郎

執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)

佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。

現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。

そもそも、あなたに保険は必要か?

「『保険』とは一体何のためにあるのでしょうか」このようなことを質問されたら戸惑ってしまいますよね。
 
皆さんが何も考えずに保険のセールスマンに勧められるがまま、保険に加入しているならば、一度立ち止まって考えてほしいと思います。なぜならば、保険料の負担は人生において家を購入する次に高い買い物といわれているからです。
 
先ほどの質問の答えが「保険は、もしもの事に備えるもの」と思っている方は、ぜひ、この続きも確認してください。
 

保険は「もしもの事」に備えるものではないの?

備えるべき「もしもの事」とは一体何でしょうか?事故、けが、病気、自然災害など、生活をしていく上でさまざまな事を思い浮かべるのではないでしょうか。
 
しかし、これらの「もしもの事」には、保険をかけるべきものと、そうでないものがあるのです。保険に加入する前に、ぜひ意識していただきたいのが「リスクマネジメント」という考え方です。備えるべき「もしもの事」を発生頻度と損失額の大小4つに分類し、それぞれに対処法を示したものです。
 
<リスクマネジメント4分類>
1)発生頻度:大、損失額:大 → 「回避」(リスクそのものから逃れるようにする)
2)発生頻度:小、損失額:大 → 「保険」をかけておく
3)発生頻度:大、損失額:小 → 「防止」(なるべくリスクが起きないようにする)
4)発生頻度:小、損失額:小 → 「保有」(リスクはリスクとして何もせず、リスクを保有する)
 
上記4分類より、保険の加入が必要なのは発生頻度が低く、損失額が大きくなる場合のみで、一番分かりやすい保険が火災保険です。火災の発生頻度は低いですが、発生した場合の損失額は大きくなることが想定できます。極めて妥当な保険の加入といえるでしょう。
 
では、生命保険の場合はどうでしょうか?
 

あなたにとって、本当に必要な死亡保障額はいくらか?

一家の大黒柱の方が亡くなった場合の生命保険の死亡保障は、先ほどの「リスクマネジメント」の観点からすると妥当な加入といえるでしょう。特にお子さまがまだ小さく、将来、教育費などに費用がかかる世帯はなおさらです。
 
ただし問題は、適正な必要保障額になっているかどうかです。保険金額を大きくすれば保険料も高くなってしまうため、家計を圧迫することになってしまうからです。
 
生命保険の見直しをする場合は、最低限これだけは計算してみましょう。
 
(1)支出見込額(残された家族に必要な支出)
・子どもの独立までの遺族の生活費
・子どもの独立後の配偶者の生活費
・別途必要資金(教育資金、結婚資金/親の援助額、住居費用、葬儀費用、相続費用、予備費など)
 
(2)収入の見込みと自己資金
・社会保障(遺族年金)
・企業保障(死亡退職金、弔慰金など)
・自己資金(預貯金、有価証券、売却可能財産など)
 
上記(1)の「支出見込額」から(2)の「収入の見込みと自己資金」を差し引いた額が、必要保障額です。現在、加入の生命保険の必要保障額をいわれるがまま決めている方や過去に加入している方は、一度計算してみましょう。
 

会社員に医療保険は必要か?

皆さんは、「国民皆保険」という言葉を聞いたことはありますか?
 
日本では、国民全員が「健康保険」もしくは「国民健康保険」という医療保険に加入しています。実は、この制度は皆さんが考えている以上に手厚くできています。
 
中でも「高額療養費制度」は、1ヶ月に負担しなければならない治療費の上限額を年収ごとに決めている制度です。例えば、69歳以下の年収400万円の方が1ヶ月の治療費に100万円かかった場合でも、自己負担額は8万7430円程度です。高額な負担を強いられることのない、まさに保険としての役割があります。
 
また、会社員の方は「傷病手当金」という制度があり、病気やケガで会社を休まなくてはならない場合、当初の3日間の保障はありませんが、4日目以降は支給開始日前12ヶ月の標準報酬月額(平均)を30日間で割った金額の3分の2が支給されます(最長1年6ヶ月)。
 
標準報酬月額は、給与明細の健康保険料から等級表などに当てはめて確認できるほか、「ねんきん定期便」でも確認できますので、直近のもので調べておきましょう。
 

最後に

保険は万が一の場合、自分や家族を守ってくれる大変ありがたいものです。一方で、加入内容によっては家計を圧迫してしまうため、「もろ刃の剣」ともいえるでしょう。だからこそ、正しい保険の加入の仕方を参考に必要な保険を選択したり、見直しをしていただきたいと思います。
 
出典
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
 
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
 

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