更新日: 2023.05.11 その他保険

【労災保険】業務上・通勤途上で労働災害にあったときに、労災保険から学費の援助が受けられるって本当?

執筆者 : 新美昌也

【労災保険】業務上・通勤途上で労働災害にあったときに、労災保険から学費の援助が受けられるって本当?
業務上・通勤途上で労働災害にあったときに、労災保険から学費の援助があるのをご存じでしょうか?
 
学費の援助には、小学校から大学までの「労災就学援護費」と、保育児を対象とした「労災就労保育援護費」の2種類があります。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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労働者災害補償保険法(労災保険法)とは

業務中(業務災害)や通勤途上(通勤災害)に労働者が負傷、疾病、死亡等に保険給付を行うのが労災保険です。
 
労災保険では、被災労働者の社会復帰の促進や遺族の援護等を図る社会復帰等事業、労働者の安全衛生の確保も行っています。被災労働者等援護事業に1つに、学費の援助(労災就学等援護費)があります。
 
健康保険は、業務災害以外の負傷、疾病、死亡等に給付されるものです。業務中の負傷、疾病等には健康保険証は使えないので注意してください。
 
労災保険適用の治療費は自己負担0円など、健康保険に比べ手厚い内容になっています。
 

労災就学等援護費

進学を諦めたり、学校をやめたりしないよう、以下の(1)~(3)のいずれかに当てはまり、学資の支払いが困難である人には、学校の種別に応じて労災就学等援護費が支給されます。
 
労災就学等援護費に、小学校から大学までの「労災就学援護費」と、保育児を対象とした「労災就労保育援護費」があります。労災就学等援護費は、毎年、偶数月に2ヶ月分ずつ支払われます。
 

(1) 障害等級第1級から第3級までの障害(補償)年金の受給権者または被災労働者の子
(2) 遺族(補償)年金の受給権者または被災労働者の子
(3) 傷病(補償)年金の受給権者のうち傷病の程度が特に重篤な者の子

 
ただし、年金給付基礎日額が1万6000円を超える場合は支給されません。
 

労災就学援護費の支給額

労災就学援護費は、学校の種別に応じて就学援護費が支給されます(令和5年度)。
 

(1)小学校または特別支援学校の小学部に在学する者
月額1万5000円
 
(2)中学校または特別支援学校の中学部に在学する者
月額2万円(通信制課程は月額1万7000円)
 
(3)高等学校、高等専門学校の第1学年から第3学年まで、または特別支援学校の高等部に在学する者
月額1万9000円(通信制課程は月額1万6000円)
 
(4)大学または高等専門学校の第4、5学年、もしくは専修学校の専門課程に在学する者および公共職業訓練施設等在校者
月額3万9000円(通信制大学に在学する者は月額3万円)

 

労災就労保育援護費

次の(1)~(3)のいずれかに当てはまり、保育を必要とする未就学の児童(「要保育児」)があり、その要保育児と同一生計にある家族が就労のため当該要保育児を保育所、幼稚園等に預けていることに加え、その保育にかかる費用の援護の必要があると認められる人に対して、就労保育援護費が支給されます。
 

(1) 障害等級第1級から第3級までの障害(補償)年金の受給権者または被災労働者の子
(2) 遺族(補償)年金の受給権者または被災労働者の子
(3) 傷病(補償)年金の受給権者のうち傷病の程度が特に重篤な者の子

 
ただし、年金給付基礎日額が1万6000円を超える場合は支給されません。支給額は、保育を要する児童1人につき月額1万1000円(令和5年度)です。
 

申請方法

本人が直接、労働基準監督署へすみやかに申請します。申請は、「労災就学等援護費支給・変更申請書」(様式第1号)に記入して提出します。
 
添付書類として、在学証明書または在校証明書、保育児の場合は、保育所・幼稚園に預けられていることの証明書類などが必要です。詳しくは労働基準監督署にお問い合わせください。
 
このように、業務中や通勤の途上で労働災害にあってしまった時は、労災保険から学費の援助が受けられます。対象の方はぜひ活用しましょう。
 

出典

厚生労働省 労災保険 請求(申請)のできる保険給付等
厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年4月)について
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
 

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