2018.07.09 スペシャルインタビュー

シリコンバレースペシャルインタビュー

毎月の食費を入力するだけで、冷蔵庫が勝手に食料を注文?シリコンバレーから未来の生活を考察する

Interview Guest : 北村充崇(Draper Nexus(ドレイパーネクサス) マネージングダイレクター)

Interview Guest

北村充崇(Draper Nexus(ドレイパーネクサス) マネージングダイレクター)

北村充崇(Draper Nexus(ドレイパーネクサス) マネージングダイレクター)(きたむら みちたか)

オーストラリア、カーティン大学商学部、ボストン大学経済学部修士

97年ボストン大学経済学部修士課程卒業後、JETROニューヨークにて米国ベンチャー企業の日本企業との事業提携活動の支援などを行う。

2000年にシリコンバレーに移住、日本大手VCの日本アジア投資(JAIC)のシリコンバレー拠点立ち上げメンバーに参画。

以来シリコンバレーでのベンチャー投資を続け、35社に出資。投資先は、LiveRamp(Axciom買収)、Fortinet(IPO)、 Swell(Apple買収)など。

2011年に日米ベンチャー投資を通じて、日本の事業会社のシリコンバレーでの活動を支援するDraper Nexusを立ち上げる。

アメリカ、シリコンバレーと日本のベンチャー企業を中心に投資を行う「Draper Nexus(ドレイパーネクサス)」。
 
ファンド規模は約250億円。金融機関だけでなく日本の大企業が、出資金のリターンだけでなく、シリコンバレーの最先端の情報収集や提携先の開拓などを目的に出資しています。
 
今回は、「ドレイパーネクサス」の、北村マネージングダイレクターに、IoTやAIによって、私たちの生活はどのように変化するのか?変化する社会の中で重要になるものとは何か?など、お話を伺いました。
 

ここ10年間で一番変化を感じたことは何でしょうか。

ITとビックデータによる産業の変化が大きいと感じます。
 
10年前のアメリカでは、時価総額のトップ5をエネルギー系や通信系の従来型大企業が占めていました。
 
ところが現在は、その多くがアップルやグーグル、アマゾンなどのネット系新興企業に入れ替わり、ランキングが様変わりしています。
 
一方で、日本は昔と変わらず大企業が独占しています。唯一、新たに上位に食い込んできたのはソフトバンクくらいでしょうか。
 
ITやビックデータのチカラは、さまざまな業界で変化を起こしています。
 
宿泊施設を一般人が自由に貸し出せる「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、大手ホテルチェーンよりも時価総額が大きくなっていますし、一般人が自家用車で他人を運ぶことを可能とした「Uber(ウーバー)」は、大手自動車メーカーよりも時価総額が大きくなっています。
 
このように、ビックデータがビジネス成功のキーとなりつつある今、ヨーロッパなどが、データ処理についての規制へ本格的に乗り出しています。
 

人々の生活はどう変わりますか?

大きく変わると思われるものは、車・家・家電の3つです。
 
それぞれがインターネットとつながり、IoT(さまざまなものがインターネットに接続され、相互通信する仕組み)の時代がくると考えられます。
 
スマートハウスや自動運転車なども、このIoTによる商品のひとつです。
 
また、人間もインターネットにつながっていくのではないでしょうか。
 
例えば、マイクロチップを体内に埋め込み、血圧や脈拍の異常を知らせる機能を付ければ、異常時にすぐ対応することができます。
 
昔は、インターネットとの接続はPCから離れればそれまででしたが、スマートフォンの登場で、人とインターネットの接続時間は長くなりました。
 
これからはますます、その接続時間は長くなり、最終的には常時接続されているようになるかもしれません。
 
さらに、IoTによるサービスはインターネットにつながるだけでなく、AIによって知性を持ってくると考えられます。
 
昨年、アマゾンアレクサを搭載した冷蔵庫が発表されました。冷蔵庫を開けて牛乳がなければ「アレクサ、牛乳買っておいて」と冷蔵庫に話しかけるだけで、短時間で牛乳が自宅に届く仕組みです。
 
それがAIによってさらに進化すれば、当月の食費を入力するだけでカロリー計算をし、冷蔵庫が勝手にその予算とカロリー内で食材を発注するということも可能になるかもしれません。
 

どんなフィンテックサービスが生まれていますか?

投資先のコンシューマーファイナンス会社の話ですが、主に発展途上国に向けて、スマートフォンの電話番号や個人SNSのアカウントを担保にお金を貸すサービスを行っています。
 
電話番号やSNSのアカウントを押さえられていると、相手は必死でお金を返すようです。
 
しっかりと返金する人に対しては、「次はテレビを買いませんか?」「次はバイクどうですか?」と、さらに利用を促します。
 
借りる方もそれによって信用を増やしていくことができるので、お互いに有益です。
 

人々はこれからの社会とどう向き合うべきなのか

多くの仕事はAIや自動化によって変わっていきます。「この仕事は終わる」というものを見ておく必要があるかと思います。
 
ただ、その中でAIにはできないこともあります。例えば、自動運転はAIでできますが、懇意にしているタクシードライバーがいれば、そちらに頼む人もいるかもしれません。
 
また、細やかな心遣いができる看護士さんや介護士さんがいれば、AIより料金が高くても前者を選ぶ人がいるでしょう。
 
コミュニケーション能力や、生身の人間だからこそできる気配りは、これからの時代さらに重要になっていくのではないかと思います。

北村さんの将来の夢や目標はありますか?

日本の起業家が世界で勝負できるような世の中にしたいです。これからはさらに、時代が急速に変化していきます。
 
そんな時代だからこそ、変化に対して受け身になるのではなく、「10年後はどんな世界になるのだろうかと」ということ楽しみながら、新しいことにチャレンジしていくような起業家が必要なのだと思います。
 
そのような企業の成長をお手伝いすることができればと思います。
 

まとめ・AIやビッグデータ、IoTで躍進する社会。時代の変化を楽しむことが大事

今後、IoTの時代が到来し、車や家電のみならず人間とインターネットがつながる可能性もあるというお話には驚きましたね。
 
AIやビッグデータ、IoTによって、人々の生活はどんどん便利になっていきます。しかし、「コミュニケーション能力」や「心遣い」などは、AIの力が及ばない部分です。
 
北村さんのお話にもあるように、今後は人間だからこそできる仕事やサービス、能力を伸ばしていくことが重要ですね。
 
また、変化していく時代に翻弄されることもあるかもしれません。その中で、「便利」ということだけに惑わされず、取捨選択することも大事なのではないでしょうか。
 
変えてはいけないものを大事にしたうえで、時代の変化を楽しむことができれば、新たな発想が生まれるのではないかと思います。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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FINANCIAL FIELD編集部

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