2018.10.12 スペシャルインタビュー

人生100年のビジョンマップ ~心もお財布も幸せに生きよう~ PART8

LIFE MAP合同会社 代表 竹川美奈子さんに聞く 第1回:ベストセラー「投資信託にだまされるな!」のほんとうの意味とは?

Interview Guest : 竹川美奈子

執筆者 : 山中伸枝

Interview Guest

竹川美奈子

竹川美奈子(たけかわ みなこ)

大学を卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立。2000年にFP(ファイナンシャルプランナー)資格を取得。新聞・雑誌などで取材・執筆活動を行うほか、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)、企業の従業員向けマネープランセミナーなどの講師を務める。
 
「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」という個人投資家の交流会の幹事を務めるほか、「1億人の投信大賞」の選定に関わるなど、投資のすそ野を広げる活動に取り組んでいる。
 
『改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門』『一番やさしい!一番くわしい!個人型確定拠出年金 iDeCo 活用入門』ほか、著書多数。2016年7月~金融審議会「市場ワーキング・グループ」委員。
 

人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているのでしょうか?
 
この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし、人生100年時代のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。今回はファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子さんに人生を豊かにする資産運用についてお話しを伺いました。
 

投資なんて・・・という先入観に「だまされるな!」

山中:竹川さんはご著書もたくさんおありなので、読者の方にはお馴染みかと思いますが、改めてお仕事の様子を教えてください。
 
竹川:私は「現役世代の資産形成を応援する」をテーマに、単行本を書いたり、セミナーでお話をしたり、ボランティアで投資家さんの交流会「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」の幹事などをしています。
 
山中:竹川さんといえば、なんといっても「投資信託にだまされるな!」というタイトルのご著書が強烈な印象です。
 
竹川:(最初の版が発売された*)2007年当時、投資信託の本は、有名なファンドマネージャーの方が書いても1万部も売れない状況でした。そうした中、お蔭様で著書は20万部ほど売れたため、今でも「投資信託にだまされるな!」のイメージが強いようです。初対面の方からは「もっと怖い人だと思っていました」と言われることも多いですね。
(*その後、2度改訂版を出しています)
 
山中:ありがちですね。
 
竹川:実はタイトルの「投資信託にだまされるな!」には、ふたつの意味があるんです。
 
ひとつは、文字通りの「だまされるな」。資産形成を考える上では、しくみが複雑で、手数料が高いものや、分配金がたくさん出るものは、金融機関にすすめられても買う必要はないですよ、という意味。
 
もう一つは、投資信託「なんて」とか、投資「なんて」と思い込んでいる人に向けて、使い方次第ではちゃんと資産形成のツールとなることをわかってほしいという思いを込めての「だまされるな」です。
 
山中:先入観に騙されて目や耳をふさいだりしてはいけないってことですね。確かにご本を読ませていただくと、雰囲気で良い悪いを判断するのではなく、もうちょっと踏み込んで考えようよ、というメッセージがすごく伝わります。
 
竹川:でも、タイトルのインパクトが強すぎたみたいで…。もともとはサブタイトルにある「本当に正しい投信の使い方」をメインにしたかったのですが、それでは売れないといわれて(笑)
 
山中:それだけセンセーショナルだったということですね。
 
竹川:私はマネー雑誌の仕事をしていましたが、マネー雑誌の読者は、もともと投資に関心がある、あるいは投資が好きな人が多いんですよね。でも、多くの人にとって投資はそれほど身近ではありません。本業もあるし、家事や子育ても忙しいし、趣味も楽しみたいですよね。そうした普通の人たちの投資との付き合い方は、マネー雑誌に書いてあるような上がる銘柄を発掘する、短期で売買するという、といった手法とは異なると思います。
 
そこで、普通の現役世代の方が、日常の中にどう投資を取り入れていけばよいか、というところを、もう少し追求したい、長期の資産形成を普及したいという想いが強くなりました。
 
山中:ご本は2007年の発売ですから、リーマンショックが起きる少し前ですね。
 
竹川:そうですね。98~99年からネット証券が誕生してきました、当初は、株式のトレードが中心で、投資信託の品ぞろえやサービスはあまり充実していませんでした。2008年くらいから低コストインデックスのシリーズがでてきたり、2009年秋から投資信託の最低積立金額が1000円や500円に引き下げられたりと、資産形成層に対する商品・サービスが充実してきて、徐々に流れが変わっていった気がします。
 

「コツコツ投資」の仲間がいれば、続けられる

山中:実際に、一般の方の変化もお感じになりますか?
 
竹川:「投資信託にだまされるな!」や「はじめての投資信託入門」などを読んで投資信託の積み立てを始めました、積立投資を継続したらお金が増えましたという声を、最近は聞くようになりました。積立投資は元本が積みあがるのに時間がかかりますから、短期ではなかなか成果がみえにくい、10年経って、実感として「続けてよかった」といってくださる方が増えたことはすごくうれしいです。
 
一方で、リーマンショックのとき積立投資をやめた人も多いんですね。大きな下げに怖くなって解約したり、積立をやめてしまったりという話も相変わらずよく聞きます。でも、それって、もったいないですよね。身近に投資をしている人が少なく、不安になりがちなので、何かあったときに話せる仲間がいるといいんじゃないかなと思って…。それも投資家さんの交流会をはじめるきっかけのひとつになりました。
 
山中:投資仲間ですね。
 
竹川:投資を続けるためのポイントは、仕組み化する、自動化する、仲間を作る、の3つだと思っています。投資家さんとの交流会は、2010年の6月から始めて、11月で100回目になります。毎月一回、同じ時間、同じ場所で開催することで、ここに来るとお金について語り合えるとか、ちょっと不安になったときに、皆に質問したりすることができる、そんな場です。
 
山中:着眼点が素晴らしいですね。確かにお金のことを真剣に話せる場ってないですもんね。おっしゃるように、積立って長い時間軸でやらなければいけないから、不安になりますよね。人生いろんなことがあるから、積立がきつくなる時もあるだろうし。
 
竹川:そうなんですよ。誰でも、投資を始める時は躊躇するんです。どれぐらい投資にお金を回したらよいか、どういう商品・どの金融機関がいいのとか、せっかく始めたらいきなりリーマンショックになるケースもあるわけですから不安はつきないです。そんな時に、一緒に「コツコツ投資」をしている仲間がいたら勇気が持てますよね。
 
山中:コミュニティづくりを、積極的に行ってこられたのですね?
 
竹川:私は、自分から積極的に引っ張っていくタイプではないので…。コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)の幹事も投信ブロガーのrennyさんや「投資信託事情」編集長の島田知保さんと3名だから続けられました。それ以外にも、周りのいろいろな方に助けてもらっているうちに、100回。そういう意味では、巻き込み力はないですけど、巻き込まれ力はあるのかもしれません(笑)
 
山中:「巻き込まれ力」、素敵な言葉です(笑)竹川さんの魅力ですね。
 
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)

人生100年のビジョンマップ ~心もお財布も幸せに生きよう~ PART8

山中伸枝

執筆者:山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。