更新日: 2019.01.10 その他暮らし

増える外国人留学生 正社員雇用への壁とは

執筆者 : 柴沼直美

増える外国人留学生 正社員雇用への壁とは
ここ数年、目立って留学生が増えています。都内だけでなく地方でもコンビニに行けば、必ずといっていいほどレジにはなじみのないカタカナの名前の名札を付けた店員がたどたどしい日本語で対応してくれる場面に遭遇します。

一方新聞紙上では、新卒の内定率が過去最高とにぎわっていますが、数か月もたたないうちにあっさり職を去ってしまう新卒日本人。

このギクシャク感について考えてみたいと思います。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

 

留学生、就職したいが阻む「日本語検定2級」の壁

 
筆者が就職支援の仕事で対象とする人に留学生がここ数年で目立って増えています。

しかも、数年前からは漢字圏ではなく非漢字圏からの留学生が激増していると感じている人も多いはず。母国に凱旋帰国を夢見て留学してきたものの、漢字という独特の文字に阻まれて、正社員への扉を開けることができない留学生を数多く支援しています。

コンビニでは彼らは重宝され、接客や商品陳列をはじめとして一通りの業務はこなせてリーダー的存在になっている学生も多いようです。

あっさり職場を放棄する日本人学生に比べて真面目に勤め上げる外国人留学生を頼りにしているところも多いようで、よく「真面目な留学生、ウェルカム」と紹介を依頼されることも増えました。
 

事情を知らない人事担当者が口をそろえて門前払いのキーワード「日本語検定2級」

 
コンビニやファーストフード店でのアルバイト店員としては重宝するものの、いざ、正社員としての採用となると就労ビザという壁が立ちはだかります。日本人を差し置いて留学生を雇う正当性が求められるのです。

一方、昨今の日本人学生の中には売り手市場という環境に甘えて、研修途中ですら職場を後にする日本人学生も増えています。

ならば外国人留学生をもっと積極的に採用の候補に入れたほうがいいのでは、と思うのですが、まだまだ採用側も留学生の扱いには不慣れなようで、日本語能力を測る目安として「N2(日本語検定2級)」という基準を設定しています。

まるで、日本人学生に対して「TOEIC 〇〇点」という基準を設定しているのと同じようなものです。
 

どこから検証しても100%の保障されない限り動かない日本

 
これらをキャリアコンサルタントの立場から見ると、企業側が時代背景に合わせた機動的なアクションがとれない、柔軟さが足りない、という感想を抱かずにはいられません。

キャリコン側から鉄壁のブロックをこじあけるよう努力を継続しても一方的な努力では扉はあかない絶望感を感じることもしばしばです。
 
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

ライターさん募集