更新日: 2019.08.30 その他家計

国立大学の4年間の「学費+生活費」は、私立大学の「学費」より安い!

執筆者 : 新美昌也

国立大学の4年間の「学費+生活費」は、私立大学の「学費」より安い!
下宿生の生活は年々厳しさを増しています。地方の高校生は、下宿を避けるため地元の大学を志望する傾向があります。しかし、地方によっては大学の選択肢が限られてしまいます。そこで、選択肢を広げるため、国立大学への進学を提案します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

毎月の仕送り額は過去最低の8万6700円

 
東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査(2016年度)」によると、「仕送り額」の平均は、入学直後の新生活や教材の準備がかさむ「5月」が10万700円、「6月」以降は8万6700円と過去最低を更新しました。
 
「6月」以降の「仕送り額」の平均額のピークは1994年度の12万4900円です。ピーク時より3万9200円(31.4%減)も減少しています。「6月」以降の「仕送り額(平均)」から家賃を除いた生活費は2万3700円です。1日当たりの生活費はわずか790円です。学費や不足する生活費を補うため奨学金やアルバイトに頼らざるを得ないのが実情です。
 

大学を卒業するまでいくらかかる?

 
私立大学は、国立大学と違い、進学する学部・学科により学費が大きく異なります。
 
文部科学省「平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)」によると、私立大学文科系の平均額は、入学金、授業料、施設設備費、実験実習費、その他の合計で約123万円(うち入学金は約24万円)、理科系は約164万円(うち入学金は約26万円)となっています。したがって、4年間の学費総額は、入学金を含め、私立大学文科系で約420万円、理科系で約580万円となります。
 
一方、国立大学の初年度納付金(標準額)は約82万円(うち入学金は約28万円)、4年間の学費総額は、入学金を含め、約244万円となります。
 

国立大学の学生寮は激安

 
国立大学の中には、学生寮を安く利用できるケースが少なくありません。たとえば、静岡大学片山寮の場合、寮は大学敷地内の徒歩10分のところにありますので通学のための交通費が不要です。建物は鉄筋コンクリート5階建てで、収容人員は男子寮288名、女子寮228名となっています。
 
各室4人部屋です。月額寮費は18,695円です。内訳は、寄宿料700円、食費(2食)7,395円、光熱水費6,485円、経常費715円、寮食調理人人件費3,400円です。
寮費は年間約22万円、4年間で約90万円です。
 
全国大学生協協同組合「第52回学生の消費生活に関する実態調査」によると、東海地域の下宿生の住居費(光熱水費含む)と食費の合計額は、約7万3000円ですので、静岡大学片山寮の寮費は激安といえます。
 

国立大学を視野に入れれば大学の選択肢が広がる

 
地元の私立大学に通う場合は、最も学費の安い文科系でも4年間で平均約420万円の学費がかかります。
 
一方、たとえば、静岡大学の学生寮(片山寮)を利用すれば、学費と寮費を合わせても4年間334万円で済みます。また、私立大学でも、神奈川大学のように給付生試験の成績が良ければ、学費の免除の他に自宅外通学者に対しては年間70万円の生活援助金を給付する奨学金もあります。地元の大学に限定せずいろいろ調べてみましょう。
 
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。
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