更新日: 2019.01.10 その他暮らし

妻の不倫で離婚 それでも財産分与・養育費の支払いが必要なワケ

執筆者 : 新美昌也

妻の不倫で離婚 それでも財産分与・養育費の支払いが必要なワケ
最近、芸能人や政治家の不倫がよく報道されます。いままでは、不倫というと男性がするものというイメージがありましたが、最近は、女性の不倫も珍しくありません。妻に浮気されて、それが原因で離婚した夫は財産分与や養育費を支払う義務があるのでしょうか。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

離婚申立ての動機

離婚申立ての動機は男女で大きく違うようです。司法統計(※)によると、離婚申立ての動機の第1位は男女とも、「性格の不一致」ですが、第2位は夫側が「異性関係」であるのに対して、妻側は「暴力を振るう」となっています。「異性関係」は第5位です。
 
夫にとっては、妻の浮気は大目にみることはできないようです。妻の浮気で離婚した場合、一銭もお金を払いたくないというのが本心ではないでしょうか。
※男女別の離婚申立ての動機(全家庭裁判所)(平成24年司法統計年報・家事編)
 
●夫側からの申し立て
1.性格が合わない
2.異性関係
3.精神的に虐待する
4.家族親族と折り合いが悪い
5.性的不調和
6.浪費する
7.同居に応じない
8.異常性格
9.暴力をふるう
10、家庭を捨てて省みない

 
●妻側からの申し立て
1.性格が合わない
2.暴力をふるう
3.生活費を渡さない
4.精神的に虐待する
5.異性関係
6.浪費する
7.家庭を捨てて省みない
8.性的不調和
9.家族親族と折り合いが悪い
10、酒を飲み過ぎる

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離婚の原因が妻にあっても財産分与はする必要があります

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築き上げた財産(共有財産)を清算するのが主目的です(清算的財産分与)。したがって、離婚の原因が妻にあっても、共有財産があれば、妻に財産分与をする必要があります。
 
清算割合は、財産形成の寄与度(貢献度)で決めますが、専業主婦でも家事労働を評価して、2分の1の寄与度が認められる傾向にあります。離婚後でも妻は、夫に財産分与の請求はできますが、2年をすぎると請求できなくなります。
 
財産分与の対象は、婚姻中に築いた財産であれば、夫婦のどちらのものかわからない財産やどちらか一方の単独名義の財産であったとしても財産分与の対象となります。
 
一方、婚姻中に協力して築いた財産とはいえない財産、すなわち、婚姻前から所有していた財産や相続により取得した財産(特有財産)は財産分与の対象となりません。
夫としては、納得しがたいかもしれませんが、妻に離婚の原因があっても、妻は、財産分与を受けることができます。

養育費はそもそも誰のためのお金?

浮気しただけでも許せないのに、大切な子どもと引き離されうえに、養育費(※1)まで請求されるというのは納得できないかもしれません。
 
しかし、養育費は、子どものためのお金です。親である以上、親権が自分になくても、また、実際に子どもを養育していなくても、子どもを育てる責任があり、養育費を分担しなければなりません。養育費は親の権利ではなく子どもの権利です。親が勝手に養育費を放棄することは基本的にできません。
 
養育費の金額は、家庭裁判所の早見表(養育費算定表)が目安として利用されています。義務者(負担する側)の年収を縦軸とし、権利者(請求する側)の年収を横軸として、それぞれの年収の交差するゾーンの金額が養育費の目安となります。たとえば、会社員の夫の年収が500万円で、妻の年収が100万円であれば、養育費の目安は月4万円~6万円です(※2)。
 
離婚時に取り決めた養育費の額は基本的に変更できません。しかし、養育費の支払いは長期に及ぶので、経済的な事情が離婚時と比べ大きく変化した場合には、養育費の増減が認められる場合があります。
 
養育費の話し合いがつかず、離婚を先行させた場合、離婚後に養育費の支払いを求めて調停を申し立てることができます。この場合、離婚時にさかのぼって過去の未払い分を一括して請求することが可能です。
 
※1 養育費は、衣食住の経費、教育費、医療費、娯楽費、交通費、お小遣いなど子どもが社会人として自立するまでに必要なすべての費用です。支払期間の目安は20歳です。22歳(大学卒業)までというケースもあります。
 
※2 東京家庭裁判所の養育費・婚姻費用算定表より
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

不満は慰謝料の請求で解消!?

離婚の原因を作った妻から財産分与を請求されるというのは、納得できないかもしれません。精神的なダメージを受けたのであれば、精神的な苦痛に対して、妻と相手方に慰謝料を請求できる可能性があります。
 
慰謝料は離婚後3年を経過すると請求できなくなりますので気をつけてください。

 
 
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。