更新日: 2019.05.17 その他家計

夫が社会人大学へ入学を希望。2年の在学中、生活費はどうすればいい?

執筆者 : 塚越菜々子

夫が社会人大学へ入学を希望。2年の在学中、生活費はどうすればいい?
ライフステージによって働き方を大きく変える必要があるのは比較的女性に多いことですが、男性でも年収アップやキャリアアップのために、一度会社を離れて再度学びの場へ行くということも選択肢の一つとしてあります。
今回ご相談にいらした方は、サービス業のご主人が一度会社を退職して2年間の就学を目指すにあたって、家計としてどのようにしていったらいいか、とお悩みでした。

塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

まずは家計の状態を伺いました。

・ご夫婦とも30代半ば
・世帯の手取り年収420万円
・未就学児が2人(保育園児)
・夫は会社員。妻はフルタイムパート(社会保険加入)
・貯蓄額は500万円
・年間貯蓄額80万円(残し貯め)
家計簿をつけてはいるけれど、ただつけているだけになっていると仰っています。
 

現状で必要な貯金は足りているのか。

まずは退職していない現状の状態で、必要な貯金ができているのか確認しました。教育費は子供一人あたり1000万円を用意する心づもりとのことです。
それに対し学資保険は満期額が200万円。教育資金にするつもりというドル建て終身保険は、米ドルで約17000ドル。1ドル=120円換算だと約200万円。
 
これらの保険で用意できるのは約400万円です。1000万円を目標とするなら、別途準備する必要がありそうです。またドル建ての保険は円ベースで金額が確定していませんので、為替の関係で思ったより少なくなる場合も考慮が必要です。
現段階で不足している600万円をお子様お二人分。1200万円を貯めることになります。
 
上のお子様が残り14年で600万円。下のお子様が残り16年で各600万円ずつだとすると、ひと月当たり約7万円。年間にすると84万円です。今より家計としての支出が増えるであろうお子様が中高生の時期も、同じ金額を積み立てるという想定でもこの金額ですから、現状の年間貯蓄では、目標としている教育費だけでも届かないことが分かります。
 
1000万円を用意しようとした根拠についてはハッキリとしておらず、目標額から割り戻したひと月当たりの額をお知らせしてみると、教育費の目標については再考してみるとのことでした。
 

退職で失う収入と支払う学費、そして補てんされるものは

 
退職して2年間学業にする場合、勤め続けていたら得ることができたであろう2年分の年収がなくなります。2年分でおおよそ手取りにすると600万円ほどとのこと。そこへ学費がかかります。
おおそよ300万ほどらしい・・・とのことでしたので、900万円ほどのマイナスとなります。入ってくるお金としては、退職金の70万円。ご主人様の雇用保険の履歴や、職業訓練給付や失業保険についてはご相談者様は把握していないとのことでしたので、雇用保険の履歴や使える制度についても改めて確認してもらうこととなりました。
 
学生の期間、学業に専念するつもりなのか、アルバイトなどをして少しでも収入を補てんする用意があるのかも夫婦でしっかりと話し合いたいところです。
 

税金・健康保険・年金がどう変わるかも重要な確認事項

ご主人様が会社を退職なさると、社会保険の被保険者でなくなります。まずお子様はご相談者様(奥様)の扶養に入ることができないか健康保険組合に確認し、加入できる場合は速やかに手続きを行うほうがいいですね。
ご主人様も失業保険等の収入がない(あるいは少ない)場合は被扶養者になれる可能性がありますので、合わせて確認したいところです。
 
扶養に入れない場合は国民健康保険に加入になります。前年の所得で計算される国民健康保険は翌年収入が少ないと支払いが負担になるケースは多くありますので、あらかじめどの程度の納付額になるのか調べておいた方がいいでしょう。
また、会社の健康保険の任意継続という選択肢もあります。国民健康保険料と任意継続の保険料を試算し、どちらがいいかしっかり検討しましょう。社会保険でなくなると国民年金の支払いも発生しますのでお忘れなく。
 

安心して応援できる家計作りを

 
退職することで収入がなくなり、学費という支出が増えますので、家計への負担が大きいことは事実です。ですが、長い目で見た時に家族としての収入を増やすためにチャレンジしたい。
 
また、ご相談者様もご主人のチャレンジを応援してあげたい、という強い想いをお持ちになっていました。
まず、すぐできることは、家計をしっかりと把握することです。つけているだけの家計簿から、自分の家の価値観に基づいた支出になっているかをしっかり確認し、収入が半減した状態でどの程度の支出に耐えうるのかを確認しなくてはいけません。
 
会社を退職し、再度学びなおしたことで、どれだけ収入を増やすことができるかは未知数です。
しかし、お子様が小さく、教育費が大きくかかる時期までの時間があります。夫婦で将来のビジョンを話し合い、安心してチャレンジできる・安心して応援できる家計づくりをしていただきたいと思います。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
https://mamasuma.com/ 

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