最終更新日:2019.01.10 公開日:2017.12.28
暮らし

「忘れていた・・知らなかった・・」ではすまされない奨学金の滞納 返済が困難な時の3つの制度 

日本学生支援機構の奨学金の滞納が社会問題になっています。延滞3か月で個人信用情報機関に延滞情報が登録され、4か月目から債権回収会社に回収が委託され、9か月を過ぎると、返還未済額等の一括請求がなされ、最終的には法的措置がとられ、強制執行に至ります。

誰でも返還困難に陥るリスクがあります。返還が困難になった場合、救済措置として、返還期限の猶予などの制度がありますが、あまり知られていません。特に、延滞据置型の猶予制度に至っては、募集案内に記載がないので、ほとんど知らないのではないでしょうか。
新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

詳細はこちら
新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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返済が困難になった場合の救済措置

奨学金の返還が困難な方に3つの救済措置が用意されています。滞納する前に早めに日本学生支援機構に相談することが重要です。
 
1.減額返還制度
毎月の返還額を減額して返還する制度です。毎月の返還額を2分の1にして2倍の期間で返還する、あるいは、毎月の返還額を3分の1にして3倍の期間で返還することができます。通算適用期間は15年間です。返還方式として「所得連動返還方式」を選択している場合は利用できません。
 
2.返還期限の猶予制度
通算10年間、一定の収入を得るまで、返還を先送りできます。年間収入金額300万円(給与収入以外の人は年間所得200万円)以下が基準です。猶予期間中の返還額はゼロ円です。また、猶予期間中は無利息です。ただし、返還が免除になるのではないので、仮に10年間返還を先送りすると、その分、返還期間も延びます。
 
3.返還免除制度
本人が死亡又は精神・身体障害により、労働能力を喪失した場合、返還未済額の全部または一部を免除する制度です。
 

卒業後の返還期限の猶予制度は3つある

卒業後の返還期限の猶予制度の説明をする前に、在学中に利用できる猶予制度を説明します。これは、在学猶予という制度です。奨学金の返還は貸与終了後7か月目から返還が始まりますが、在学中に貸与が終了した場合、願い出により、在学中は返還が猶予されるものです。
 
卒業後の返還期限の猶予制度には、一般の返還期限の猶予制度、所得連動返還型無利子奨学金制度、延滞据置型の猶予制度の3類型があります。一般の返還期限の猶予制度については、先に説明しましたので、所得連動返還型無利子奨学金制度と延滞据置型の猶予制度について説明します。
 
1.一般の返還期限の猶予制度
(省略)
 
2.所得連動返還型無利子奨学金制度
無利子の第一種奨学金の申込時に、家計支持者の年間収入金額が300万円(給与収入以外の人は年間所得200万円)以下の場合、返還期限の猶予について10年間の制限なく申請することができます。第一種奨学金の申込をした人の中から基準に合致する人を日本学生支援機構が選考します。
 
3.延滞据置型の猶予制度
従来、延滞がある人は延滞を解消しないと、返還期限の猶予制度を利用できませんでした。これには批判が多く、2014年4月から、延滞がある人でも、返還期限の猶予制度を利用できるようになりました。対象者は、現在延滞状況にあり、返還困難な方が、傷病・生活保護受給中・災害・経済困難など、返還できない事情がある場合です。経済困難を理由とする場合、年間収入金額200万円(給与収入以外の人は年間所得130万円)以下が基準です。一般の返還期限の猶予制度よりも厳しい基準となっています。
 
なお、日本学生支援機構から訴訟を提起されている人や支払義務の一部が時効にかかっていると主張した人に対しては、この延滞据置型の猶予制度を使わせないという運用がされています。
 
この運用に関して、問題ではないかと、政府に対して次の質問が提出されました。
 
1.「延滞据置型の猶予制度は、支払能力が無いから延滞してしまった人を救済する措置であることを考えると、機構から訴訟を提起されているからといって対象から外すべきではないと考えますが、政府の見解を伺います。」
2.「支払義務が時効になるのは機構側にも責任があることを考えると、時効を主張することで猶予措置の対象から外すべきではないと考えますが、政府の見解を伺います。」
 
これに関しては、運用上問題ないとの見解が示されました。
理由について、ご興味のある方は、日本学生支援機構の奨学金の返還猶予に関する質問主意書に対する政府の答弁(※)をご覧ください。
 
※衆議院議員初鹿明博君提出日本学生支援機構の奨学金の返還猶予に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190279.htm
 

プロフィール_新美昌也 
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。http://fp-trc.com/

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