更新日: 2020.05.25 その他暮らし

日本人に大人気のタイ!その文化と経済を見る

執筆者 : 小松英生

日本人に大人気のタイ!その文化と経済を見る
ASEAN(東南アジア諸国連合)にはタイをはじめインドネシアやカンボジア、ベトナムなどの全10ヵ国が参加しています。

その中でもタイは旅行やロングステイ先として、日本人にも人気です。急速に進化を遂げているタイの経済や文化についてチェックしてみましょう。
小松英生

執筆者:小松英生(こまつ ひでき)

税理士

ASAHI Networks (Thailand) Co., Ltd. 代表取締役
1997年税理士登録。2001年KPMG税理士法人入所。2006年より3年間KPMGバンコク事務所赴。2012年2月より現職に就任し、30名のスタッフとともに日系企業に対し、タイ投資のため外資規制対策、BOIの活用、労働法、会社法、税法、会計法に関する実務や対処方法のアドバイザリーを提供している。
2014年9月よりJETROバンコク 中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業・専属コーディネーターを拝命

タイ政府のインフラプロジェクトにより高速道路や空港を設備中

タイのGDPの成長率は2017年では前年比3%以上に伸びています。その要因は政府主導のインフラ投資、世界一の観光客数となっている好調な観光業及び最近になってようやく回復基調にある輸出の増加です。
 
現在、政府主導で大規模なインフラの拡充政策がすすめられており、高速道路や空港、高速鉄道等などの工事が至る所で行われています。輸出では自動車や電子関係などの工業製品や農産物が特に回復してきました。
 
経済が上り調子のタイですが、反面、民間の消費はまだあまり伸びていません。今後は民間の消費を促すことが課題になりそうです。
 

タイ人の給与や、日本人が現地で働くと月給はどのくらいか?

タイ人の一般的な新卒は、1万5000~1800バーツ程度。日本円にして5万~6万円程度です。(1バーツ=3.4円で換算。以下同様)。 30歳で、職種やキャリアにもよりますが日本円にして10~12万円くらいです。
 
日本人が、タイ現地で働く場合、日本人の賃金が5万バーツ以上、17万円程度と就労ビザを取得する条件として定められています。30歳以上で、20万円代前半の月給が多いようです。

投資用のマンションが人気

今タイではマンションが人気で、バンコク各所でも新しいものが次々と建っています。居住用に限らず、外国人で投資用に購入する人も多いようです。
 
外国人は土地の所有が認められないため一戸建ての購入はできませんが、マンションであれば日本人でも購入し所有権を持つことができます。ただし、マンションの総床面積の過半数を外国人が占有することは禁止されています。
 
バンコクの新築マンションは、1ベットルームの30~40㎡で、平均すると日本円にして、1000万円~2000万円ぐらいでしょうか。高級ホテルのコンドミニアムで、1億円以上の物件もかなりでてきています。(100㎡以上)

決済システムや電子マネーによるキャッシュレス化も浸透

タイではキャッシュレス化も進み始めています。ラインペイやラビットカード、アリババペイ、サムソンペイ、プロンプトペイなどの決済システム、電子マネーが浸透しつつあります。今はまだ中国ほどキャッシュレス化は進んでいませんが、このような便利な機能はこれからのタイでますます広がっていきそうです。

貧しくとも寄付に熱心?タイ人が信じる「仏教」の教え

タイは仏教の国。仏教の教えである「輪廻転生」を信じている人も多く、「良い行いをしていれば次に生まれ変わったときに幸せになれる」という考え方があります。ボランティアや寄付への意識も高く、国内にある沢山のお寺は地域の人々の寄付で建てられていることも多いようです。
 
興味深いのは、貧しくともが寄付に熱心であるという傾向です。財力に余裕のある富裕層や中間層が寄付をするのはもちろん、そうではないように思われる方たちも寄付をしている光景をよく見かけます。「輪廻転生」を信じてのことでしょうか。
 
そう言ってしまうと、自分のためだけにしているような言い方になってしまいますが、もちろん仏教の教えだけでなく、タイの人たちは根が優しいです。普段から人のために良いことをするという考えが自然に染みついているのかもしれません。
 
一般的に、タイの人はギスギスした人間関係や、怒りっぽい人を非常に嫌いますので、気をつけるようにしましょう。
 
寄付に対する動機や背景は、日本とタイでは当然異なると思いますが、ここで日本の寄付の状況についても触れてみたいと思います。日本では、震災などの支援活動で寄付の流れがでてきているようです。
 
内閣府の「平成 28 年度市民の社会貢献に関する実態調査」によると、寄付をしたことがある人の割合が41.2%。寄付をした分野は、「災害救助支援」(53.7%)が最も高く、「保健・医療・福祉」(29.3%)「子ども・青少年育成」(21.5%)の順となっています。
 
寄付をした理由は、「社会の役に立ちたいと思ったから」(59.4%)が最も高く、次に「町内会・自治会の活動の一環として」(33.0%)、「自分や家族が関係している活動への支援」(13.2%)の順となっています。
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h28_shimin_1.pdf

高齢化国家としての不安

タイの65歳以上の人口の比率は現在10%を超え、2030年には20%程度になると予測されていて、高齢化がかなりの勢いで進んでいます。一方で社会保障制度の財源となる社会保険料ですが、2018年1月より社会保険料引き上げが決定されているものの、現時点では毎月の保険料が低額(労使で計1,500バーツ/月が上限)で設計されており、日本と比べて十分ではありません。
 
今の年金制度では老後暮らしていくのは難しいとされており、高齢化がすすむタイでは大きな問題です。将来への不安はありますが、タイはまだ大家族主義ですので、家族で支えあおうという意識があります。
 
また、考えすぎても仕方がないと楽観的なところがあり、不安に煽られすぎず、前向きに生活している印象があります。温暖な気候と豊かな食料事情がそうさせたのかも知れません。

喪が明けて、新たなスタートを切るタイ

人々に敬愛されていたプミポン国王が2016年10月にお亡くなりになり、国全体が喪に服していたのですが、その長い喪が今年の10月にやっと明けたことにより、黒一色だったタイの人々の服装に色が戻ってきました。
 
経済的にも文化的にも成長を続けるタイ。一度現地に行って、実際のタイの空気、タイの人々に触れてみてはいかがでしょうか。不安材料を言い出せば切りがないですがこれからのタイに期待したいです。
 
 
Text:小松 英生(こまつ ひでき)
ASAHI Networks (Thailand) Co., Ltd. 代表取締役、税理士

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