2018.01.08暮らし

「子ども部屋」のために家を買うべきなのでしょうか?

Text : 高橋 ゆり

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あなたが家を買う理由は何ですか。さまざまな理由があると思うのですが、その中には「子ども(部屋)のために買う」という理由があります。そこで、住宅に関する最近多い相談をお知らせしたいと思います。

子どものために子ども部屋がほしい

50代のご夫婦なのですが、15年ほど前の30代半ばころに住宅購入希望のご相談を受けた方です。当時「子どものために子ども部屋がほしいので家を買いたい」というご相談でした。お二人には実家に住みたくない理由があり、家は自分たちの理想で買うと希望されていました。私はこのご夫婦に「GO」となかなか言えませんでした。
 
理由は以下のようにいくつかありました。
1.ご主人様の収入が年々下がっていること(中小企業の製造業)
2.奥様が働きたくないと考えていること
3.お子様が小学6年生、4年生と今後学費が大きくかかる可能性があること
4.お子様が「家を買ってくれ」と言うから仕方なく買うと言っていること
5.社宅に住んでおり住居費が破格だったこと
 

お子様が「家を買ってくれ」と言うから仕方なく!?

理由の<4>に「?」と思いませんか。このご家庭には当時子ども部屋はありませんでした。ですからお子様は家が欲しいのではなく、「自分たちの部屋」がほしかったのだろうと思います。子ども部屋が必要なのであれば、賃貸でもいいのではないか?と提案しましたが、「絶対に買わなければならない」と言います。
 
実際、購入する家は金融機関にことごとくローンを断られ、ついには買う家も妥協してとうとう「どこでもいいから借りられる金融機関を紹介してください」と泣きつかれる始末。金融機関が貸せないと言っているのだから少し待ちませんか、の私の言葉に「私たちが家を買うのがうらやましいんじゃないですか?」と話になりませんでした。その後、何とか借りることができたようですが、想定していたことが次々と起こりました。
 

まったく貯蓄ができない

子どもたちが高校卒業後、進学することができなかったのです。理由はまったく貯蓄することができなかったからです。車のローンも通りませんでした。子どもたちが成人してしまった今、子ども部屋は誰にも使われることもなくローンがまだ20年ほど残っています。そこへ「この家売りたいんですけど…」との相談。
 
結果、今も売れていません。このご夫婦は、ローンがあまりにも通らないので、誰もが欲しがらない家を買ったのです。しかも、隣家とは境界線でもめているとのこと。売ったところでローンが完済できるわけもなく、駅までバスもない所で歩くと45分。
 
「だって子供が欲しいって言ったんですよ!」そう言われてもどう考えても欲しかったのはこのご夫婦なんです。買えないから買える家にしてまでも買ったのは、子どもたちではありません。
 

子どもが親と一緒に過ごすのは20年前後

そこでみなさんにお考えいただきたいのは子どもが親と一緒に過ごすのはせいぜい20年前後。そして子どもには子どもの人生があり、その家に住むかどうかまではわからないのです。
 
私も駆け出しのFPだったため、ライフプランの中で「時間軸で考える」という話をすることができませんでした。この時、子どもたちは10歳と12歳。18歳で家を出ると考えればあと8年、6年。22歳で家を出ると考えればあと12年か10年。そのころは部屋が不要になるかもしれない。この話をしてから「子ども部屋は買わないと用意できませんか」をお聞きすることができていたらと後悔です。
 
家を買う理由はたくさんありますが、家を買った理由を子どものせいにするなんてことがないようにしていただきたいと思います。ちなみにこのご夫婦「子どもに家をあげるから戻りなさいって言ってあげてるんですよ」と毎日連絡しているそうです。自分たちが育った家を出て自分たちの家を買った理由は思い出せないようです。
 
Text:高橋ゆり(たかはし・ゆり)
1969年生まれ。ファイナンシャルプランナー CFP

高橋 ゆり

Text:高橋 ゆり(たかはし ゆり)

ファイナンシャルプランナー CFP


1969年生まれ。1997年、まだ取得者の少ないファイナンシャルプランナー資格を知り、28歳の時AFP、30歳の時上級資格であるCFPに合格。会社員の傍ら、「金融機関に勤めたことのないファイナンシャルプランナー」として活躍。その後、「学歴も資格のひとつ」と思い、大検(現:高認)の学習を始め、10か月後合格。短大入学後、大学に編入し、大学卒業資格を得る。その後、投資信託専門店舗、大手国内保険会社に勤務。現在は、取得した数々の資格を活かし、専門学校や大学で資格試験対策講師、確定拠出年金やマネープランを中心とするセミナー講師として活躍。
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