2018.01.13暮らし

愛犬が隣人から暴力被害 傷害罪で告訴できるのか、損害賠償は請求できるのか

Text : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 池田 理明

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最近、ペットを飼っている人が昔より多いように感じます。夕方など、犬の散歩をしている方を多く見かけます。では、実際に犬はペットとしてどのくらいの数、飼われているのでしょうか。

狂犬病予防法では、犬の所有者は、その犬の所在地を管轄する市町村長に犬の登録を申請しなければなりません。この犬の登録数を、厚生労働省 犬の登録頭数と予防注射頭数等の年次別推移で確認すると平成28年は全国で約640万件。 平成元年は、約370万件ですから、この30年で、統計的にも増えています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/02.html

ペットが暴力被害に遭ってしまったら

人間と一緒に暮らす犬に、わが子のように深い愛情を持って飼っている人も多く見られます。もし、酒によった隣人に何かの原因でその愛犬が蹴飛ばされ、怪我を負わされてしまった場合、飼い主は許しがたい気持ちを持つと思います。
 
その場合、ペットであっても傷害罪で訴えることはできるのでしょうか?また、損害賠償はどうなるのでしょうか?このケースについて、東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士に法律的な見解をお伺い致しました。
 

傷害罪は適用されないが、その他の罪には抵触する場合も

飼い主がどんなに愛情を持って飼っていたとしても、蹴飛ばされたのが犬の場合は傷害罪は適用されません。犬が、酔った隣人に襲いかかろうとしたなど、犬に抵抗する正当な理由もなく、蹴飛ばした場合、器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)にあたる場合があります。
 
また、動物の愛護及び管理に関する法律にも抵触する場合があります。動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)は、動物の愛護と、動物の管理という2つの要素から構成されており、人と動物の共存する社会の実現を図るものです。主な罰則としては、愛護動物をみだりに殺したり、傷つけた者には、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科せられます。
 
また、愛護動物に対して、みだりにエサや水を与えずに衰弱させるなどの虐待を行った者、愛護動物を遺棄した者にも罰金刑が科せられます。正当な理由なく動物を殺したり、傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったり十分なエサや水を与えないなどの行為も含まれます。
 
具体的には、動物に対して、殴る、蹴る、熱湯をかける、闘わせる、心理的抑圧、恐怖を与える、酷使する世話をしないで放置する、病気を放置するなどが該当します
 
環境省 動物の愛護及び管理に関する法律あらまし 平成24年の法改正版
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2706a/pdf/full.pdf
 

損害賠償については

また、蹴飛ばされた犬の損害賠償としては、治療費、入院費、慰謝料などを請求することになりますが、慰謝料については、人を傷つけた場合よりも大きな金額にはならないのが一般的です。
 
金額に相場はありませんが、感覚的には5万円から20万円程度ではないでしょうか。過失で蹴っ飛ばしてしまった場合なのか、故意に傷つけられた場合なのかなどの行為態様によっても違いが認められるかも知れません。
 
動物の虐待だけでなく、遺棄も大きな問題となっています。動物を育てようと検討する方は、飼い主としての責任を十分確認してから、決断することをお薦め致します。
 
池田 理明 (いけだ みちあき)
弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/
IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応。

池田 理明

監修:池田 理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所/第二東京弁護士会所属

中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」。時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。