最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.02.24
暮らし

「反対住人VS賛成住人」 私はこうして宅配ボックス設置を実現しました

前回までの記事では、分譲マンションに宅配ボックスを設置するために、まず何をすればいいか? 最初のアクションとして「管理組合理事会の基本スタンスを決める」「設置場所と工事費用の検討をする」といった内容について解説しました。

今回は、設置について話が進んだあと、反対する住民の人がどのように考えているのか、またその声に応えるために必要な事前の対策などについて、分譲マンションの管理組合の理事長時代に、宅配ボックスの設置を実現した私の経験からお話します。

反対住人の意見にはどんなものがあるのか?

マンションの居住者の利便性を考え、管理組合の理事会が議論を進め費用や工事の内容も考慮し、ようやく宅配ボックスの設置について意見がまとまり設置が決まっても、導入までにはいろいろな壁があります。
 
住民にアンケートを実施すると、予想外の話も出てきます。理事会の総会で導入を決議したにもかかわらず、不満をいわれる住民もいます。あると便利なことがわかっていても、なかなか物事が進んでいかないケースが多いのです。
 
実際の運用面も考慮し、居住者を納得させることも管理組合の理事の仕事であり、それをサポートする管理会社も一緒に協力しないと、あとで問題となることが出てきます。実際のアンケートの一部を紹介しますので、皆さんもご一緒に対策を考えてみてください。
 
アンケート内容 その1
 将来の大規模修繕工事費用が心配
大規模修繕工事を数年後に控えた現在、本当に宅配ボックスを導入が必要か? 後々に費用負担が増え、修繕積立金の値上げとなったときに責任を取る人がいない。
 
アンケート内容 その2
 不要の人、利用頻度の少ない人には不公平
毎日利用する人もいるだろうが、宅配ボックスを必要としない人、利用頻度の少ない人もいる。設置費用は皆さんの管理費から捻出するため、利用しない人や頻度の少ない人から見れば不公平と感じる。
 
アンケート内容 その3
 宅配ボックスに入れられると困る
宅配ボックスが1階ロビーに設置されると、1階から荷物を運ばないといけなくなります。足が悪いので、重い荷物などは従来通り不在票の連絡先に電話して、時間の指定をして、玄関前までもってきてもらいたい。
 
アンケート内容 その4
 マンションの外観や美観を損ねる
エントランスやロビーに設置すると美観にも影響する。電灯、監視カメラ、宅配ボックスの電源設備や通信設備が必要となるので、設置場所も限られ、希望の場所に設置することは難しいのではないか。
 
アンケート内容 その5
誤配達への対応が不安
個人情報保護の観点から誤配達への不安がある。誤配達があった場合の対応なども、全員に周知できるかわからないでは。
 

宅配ボックスの設置する前に決めないといけないことは?

先に見てきたような反対意見に真摯に対応するためには、導入前に居住者、管理会社、管理組合、宅配ボックスの会社、警備会社、宅配業者等で話し合いが必要です。その際に決定していかなくてはいけない、議題の具体的な事例を紹介します。
 
・万一のトラブルがあった場合の対応方法を、事前に決めておく必要があります。またトラブル時のマニュアルを作成、各々の役割分担を決めることが重要です。
 
・居住者の入退出に伴い、宅配ボックス会社のコールセンターに連絡する必要があります。例えば管理会社から宅配ボックスのコールセンターに連絡をする場合、管理組合と管理会社との業務委託契約の変更、新しい居住者向けの宅配ボックス使用細則を作成したほうが、今後の運用上トラブルは少なくなります。
 
・居住者が出張や海外旅行等で、一時的に長期間不在となる場合の対応方法も検討が必要です。
 
・宅配ボックスの導入後、居住者への宅配ボックスの操作教育や鍵(カードキー、暗証番号)の受け渡しのやり方を決めてください。特に管理人が不在となる祝祭日や時間外は、管理組合の理事が代行することも必要です。
 
・居住者の中には、宅配会社のインターネット会員(例:クロネコメンバーズ等)もいますので、その人たちへの情報共有も必要です。荷物の到着予告があった場合、事前に宅配ボックス入れて欲しいと指定ができます。また集荷の際、着払いを指定し、宅配ボックスに荷物を入れおき、引き取りを依頼することも可能になります。
 
・居住者の配布する鍵(例:カードキー)は、ダイヤル鍵の掛かる郵便ボックス中に保管することや、万一紛失した場合の対応方法の検討が必要です。
 

導入までのスケジュールはスムーズに行っても半年以上

宅配ボックスの導入検討から設置運用まで、管理組合の理事会としてどのようなことを議論し、どの議題を決定して進めていけばいいのか、一例としてスケジュールを表にしてみましたので、参考にしてください。
 


 
この管理組合の例では、半年以上かかるスケジュールです。反対意見などの対応が上手く進まないと、もっと時間がかかる可能性があります。計画が途中で頓挫すると、それまで積み重ねてきた議論にかけた時間や準備の予算も無駄になってしまい兼ねません。
 
反対意見は必ず出てくるものです。さまざまな立場の住人の声に丁寧に耳を傾け、一人ひとりに真摯に対応していくことが、スムーズな導入のカギとなるでしょう。
 
Text:束野 浩(つかの ひろし)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、ロングステイ財団登録アドバイザー。

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束野浩

執筆者:束野浩(つかの ひろし)

ロングステイ財団登録アドバイザー

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者
鹿児島県出身。電機メーカに入社後、銀行の情報システム営業を経て、平成25年FPとして独立。転勤族かつ趣味の旅行が高じて、渡航歴40数回。日本全国に宿泊した経験を活かし、ロングステイに関する個別相談やセミナー講師を務めている。日本FP協会福岡支部の幹事やマンション管理組合理事長、九州ロングステイ同好会の幹事の経験を活かしつつ、年金支給開始年齢65歳時代となるまでに、定年前からどのような準備をすれば良いのか等、健康年齢までにやっておきたい事、定年後の生活レベル向上へのアドバイスなどを中心に活動中。



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