最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.04.28
暮らし

隣家の木の枝が我が家に!勝手に切ったら損害賠償を請求されちゃう?

執筆者 : 柘植輝

隣家の庭にある木の枝が伸びて、庭が落ち葉や実だらけになってしまい、掃除が大変な状況に陥ってしまったら、あなたはどう思うでしょうか。
 
おそらく大多数の方が「切ってしまいたい」そう思ってしまうことでしょう。
 
しかし、自宅の敷地内とはいえ、枝の本体となる木の所有者は隣地の方です。
 
勝手に切ってしまっても問題ないのでしょうか。次の例をもとにして考えていきましょう。
 
柘植輝

Text:

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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柘植輝

執筆者:

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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庭先に枝が伸びてきた!葉や実が庭に落ちて掃除が大変!

Aさんの隣にはBさんが住んでいます。
 
Bさんは庭にある木を大切に育てており、木は毎年少しずつ大きくなっていました。
 
そして、ある年を境に木の枝がAさんの家の庭先にまで伸びてくるようになってきたのです。
 
最初の頃は落ちてくる葉っぱや実も少なく、Aさんも季節の移ろいを感じる程度にしか思っていませんでした。
 
ところが、年月が経つにつれ木は大きくなり、伸びてくる枝もどんどん長くなってきました。
 
それに伴い、落ちてくる葉っぱや実も増え、雨どいが詰まるなどの実害が多発する様になりました。
 
やがて、Aさんはこう考えるようになりました。
 
「ここはうちの庭だ。そこへ枝が勝手に侵入してきているのはおかしい。おまけに掃除も大変だ。Bさんが枝を切らないのなら、私が切ってしまおう。」
 
果たして、Aさんは庭に伸びてきた枝を切ってしまっても大丈夫なのでしょうか。
 

Aさんは自分で枝を切ることはできず、Bさんに切るよう請求することになります

 
結論から述べますと、Aさんは枝を切ることはできません。それはなぜでしょうか。
 
答えは民法にあります。民法では、隣地から伸びてくる枝について次のように定められているのです。
 
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。(233条1項)
 
何やら非常に回りくどい言い方をしていますが、簡単に言い換えてみるとこうなります。「木の枝が伸びてきたときは、木の持ち主に枝を切らせましょう。」
 
これにより、Aさんが勝手に枝を切ってはいけないことがわかりました。
 
つまり、Aさんがとるべき行動とは、自分で枝を切ってしまうのではなく、木の所有者であるBさんに枝を切るよう請求することになるのです。
 

場合によっては権利の濫用となることも

今回の事例では、隣地の木の枝が庭先に伸びてきていることで、落ち葉などの掃除が大変であり、雨どいが詰まるなど実害も生じています。
 
そのため、AさんがBさんに木の枝を切り取らせることについて、基本的には問題ないといえるでしょう。
 
ところが、民法には「権利の濫用はこれを許さない(1条3項)」という規定があります。
 
これは、法律上適法な権利であっても、個々の状況などに照らし、権利を行使すべきでないと判断されるような場合には、その行使が許されないという規定です。
 
枝による越境が、庭のごく一部であり、葉っぱも実もほとんど落ちてきていない。
 
そして、枝を切ることで木が枯れてしまうかもしれない。
 
というような状況であれば、Aさんの権利は行使が認められないどころか、枝を勝手に切ってしまうことで、Bさんから損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。
 
実際の判例においても枝を切り取ることの請求の可否について、「枝が伸びてきているという事実だけでは足りず、実際に被害が発生しているか、または被害の発生する恐れがあること」を要件として求めています。
 
「たかが木の枝程度」と思ってしまいがちですが、枝を勝手に切り取ってしまうことで、損害賠償をも含む、大きな問題にまで発展することも考えられます。
 
まずは穏便に、話し合いによる解決を目指しましょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー



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