更新日: 2019.01.10 その他暮らし

民泊は悪なのか? シェアリングエコノミーの発想

執筆者 : 岩永真理

民泊は悪なのか? シェアリングエコノミーの発想
皆さんは民泊に対して、どんなイメージをお持ちでしょうか? 
 
自分が民泊を利用する側か、あるいは自身の空き家や空き部屋を提供して民泊してもらう側なのか、で意見が異なるかもしれません。
 
民泊仲介業者大手のAirbnb(エアビーアンドビー、以下A 社)では、提供してもらう家や部屋を募集している広告をよく見かけます。
 
また、ウーバーなどのアプリは、隙間時間を利用した民間人運転手と車で移動したい人をマッチングし、タクシーの代わりとしてアメリカでは一般化してきています。
 
こうしたシェアリングエコノミーの発想は、地球全体として考えれば良いことです。運用の仕方には注意が必要ですが、新たな可能性も検討の余地があるでしょう。
 
岩永真理

Text:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

外国人へ貸す際は、異なる生活習慣がカギ

日本にはおもてなしの文化がありますが、それは一方的に接待する立場からの発想です。家に人を入れる、赤の他人を泊めるということになると、抵抗がある人も多いのではないでしょうか。
 
他人を自宅に入れたくないからという理由で、介護保険の掃除サービスを使わない高齢者も多いようです。
 
転勤時や長期旅行の不在期間のみ貸し出すのであれば、A社のような仲介業者を介せば、単なる賃貸ビジネスのように割り切ることもできるかもしれません。ただし、外国人へ貸し出す場合は注意が必要です。
 
なぜなら、外国人宿泊客は必ずしも日本人と同じマナーや生活習慣を持っているとは限らないからです。
 
日本人は家では靴を脱ぎ、比較的きれいにかつ丁寧に家を利用します。ですから、外国の家主は、往々にして日本人に貸したがる人が多いのも事実です。
 
逆に言えば、外国人は一般に日本人よりも、乱雑に設備を利用する可能性があるということです。どんなに注意書きをしたところで、生まれ育った生活習慣は急には変わりません。
 
物を壊されたり、家具や壁が傷ついたり汚れたりすることが、日本人に貸し出す時よりも頻繁に起こり得る可能性はあります。
 
また、香辛料を大量に使う食事をする外国人の家は、家の中から香辛料のにおいが抜け切らないという話を聞くことがあります。
 

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行政・各自治体の対応は?

これまで民泊の営業を行う際は、旅館業の簡易宿所として許可を取得するか、大阪府や東京都大田区等の特区民泊を活用する方法しかありませんでした。
 
しかし、全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)施行(2018年6月15日)以降は、届出を行うことで民泊の営業を行うことができるようになりました。
 
同法では、インターネットの電子申請システムから届出を行うことで、民泊の営業ができるようになる一方で、年間の提供日数は180日以内となるほか、各自治体の民泊条例によって日数はさらに短縮される可能性も残されます。
 
例えば、東京23区では約3分の2に相当する区が、営業地域や日数を制限していることがわかっています。
 
東京オリンピックを見込み、民泊を奨励しようと特区が制定されたものの、地域住民がインバウンドのマナーの違いに戸惑うことや、住環境の規律の乱れにつながる恐れがあることから、各自治体で制約をつけることになったとも考えられます。
 
都内マンションでも、独自の管理規約を変更し、民泊禁止を打ち出すところも増えています。
 
インバウンドが深夜までパーティーをやって迷惑する、あるいは、住環境に対する考え方が違う外国人の出入りは資産価値を下げる、といった意見もあるようです。
 
また、自分の居住目的ではなく、民泊ビジネスによる収益目的でマンションを買う人にも対抗する趣旨もあるでしょう。
 

借りる立場で見ると……

自宅を民泊として開放するのには抵抗がある人でも、自分が民泊を利用する立場としてはどうでしょうか?
 
市価に比べて安く、広いところを、長期間利用できるとしたら、旅先が国内外問わず魅力的に思う人もいるでしょう。
 
あるアメリカ人の知人家族は子供が小さいため、日本への旅行で民泊を利用してとてもよかったと言っていました。
 
アジア諸国では、子連れでのレストランでの食事に対して比較的寛大ですが、ヨーロッパ諸国では難しいところも多く、ファーストフードばかりでは飽きてしまうため、小さくてもキッチンがあるところに宿泊すると助かることが多いでしょう。
 

収益源としては?

気に入った地域へ長期旅行を楽しみたい場合、旅先での生活と自宅の維持費の両者がかかり、経済的負担は大きくなります。
 
旅先での長期滞在(ロングステイ)を楽しむ間、自宅を民泊で貸し出す、という方法であれば、自宅を手放さずに経済的負担は軽くなり、自宅の有効活用にもつながります。
 
国内外でのロングステイに興味のある人にとっては、民泊を自らも利用して泊まり、自宅を貸せば、費用軽減が可能になり、場合によっては多少収益が出ることもあるかもしれません。
 
これまでロングステイが経済的に不可能だった人でも、この方法なら可能になり得るかもしれません。
 
民泊仲介業者A社のウェブサイトでは、
・週単位で賃貸収入が表示され、週単位での貸し出しが期待できる。
 
・懸念される家財の損害に対する保障は、1億円まで付いている。
 
・宿泊者が貸した自宅でけがをした際の損害賠償に備える保険も付いている
 
等確認できます。
 
外資系企業なので、インバウンドによるトラブルへの備えは、ある程度できるといえます。
 
借りる側と貸す側では、利益が相反するため、運用時にさまざまな工夫は必要ですが、シェアリングエコノミーの効果は決して小さくはないでしょう。
 
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表