2018.07.10 暮らし

個室に入っても「差額ベッド代」を支払わなくても良いケースは?

病気やケガで入院したとき。お金のことを考えれば大部屋を選ぶべきなのでしょうが、差額ベッド代を負担してもゆっくり療養したいという人もいるでしょう。
 
実際、ある調査によると、差額ベッド代を負担しても個室や少人数の部屋を希望するか?という質問に対して、「病状等によっては希望する」という人が54.2%にものぼりました(*出所:セールス手帖社保険FPS研究所「平成26年サラリーマン世帯生活意識調査」)。
 
そこで今回は、意外に知られていない差額ベッド介護ついて、知っておきたい基本的な知識をご紹介したいと思います。
 

「差額ベッド代」の差額って何?

入院すると他の患者さんと同じ部屋(いわゆる大部屋)で過ごすのが一般的ですよね?
 
通常、この大部屋にかかる費用は、国で定められており、全国どこの病院に入院しても同額です。
 
また公的医療保険が適用になりますので、高額になれば、高額療養費の対象にもなりますので、さらに負担は軽減できます。
 
しかし、患者さんの希望により、個室あるいは4人以下で一定以上の広さのある特別な病室に入院した場合、大部屋との‘差額’が全額自己負担ということで、差額ベッド代として請求されるわけです。
 
差額ベッド代は、正式名称を「特別療養環境室料」といい、保険診療との併用が認められる「保険外併用療養費」の一つとして、病院側が自由に決めて徴収しても良いことになっています。
 
このほか、先進医療や紹介状なしで大病院を受診したときの費用も保険外併用療養です。
 

個室(1人部屋)の差額ベッド代の平均は約7,800円

厚生労働省の調査によると、1日あたりの差額ベッド代は1人部屋の場合7797円です(※出所:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況(第370回中央社会保険医療協議会総会資料)」)。
 
ただし、東京や大阪など首都圏ともなれば、この費用は倍に跳ね上がりますし、これに別途消費税がかかります。
 
例えば、差額ベッド代が日額1万円の場合、10日間入院すると、10万円以上が必要。
 
しかも高額療養費の対象外です。さらに、ホテル並みの料金であっても、病院の場合、入退院の時間に関係なく、入院日・退院日をそれぞれ1日分として料金が発生します。
 
要するに、早朝5時に入院しても、23時に入院してもカウントされるのは同じ。1泊2日の入院なら、差額ベッド代は2日分かかるというわけです。
 
それならば、と「夕食まで食べて行っても良いですか」とお願いしたツワモノの患者さんもいるかもしれませんね。
 
でもおそらく「次の患者さんが待っているので、お昼前後には退院をお願いします」と言われるのが関の山でしょう。
 

差額ベッド代を支払わなくても良いケースとは?

決して安くはない差額ベッド代ですが、必ず支払わなくてはいけないものではありません。
 
厚生労働省の通知※によって、以下の場合は、病院側が料金を求めてはならないとされています。
 
①患者さん側から同意書による同意の確認を行っていない場合。同意書に室料の記載がない、患者さん側の署名がない等の内容が不十分である場合を含む。

②免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれがあるなど、患者さん本人の「治療上の必要」により差額ベッド室に入院した場合

③院内感染の防止など、病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合

※「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について抜粋したもの。
 

トラブル回避のためには、入院時の病院の説明をしっかり聞くこと

病院側にとっては、上記②のケースなど日常的に起きているわけですから、大部屋が空いていなければ個室などを案内されることになります。
 
多くの場合、ここで同意書にサインを求められ、患者がきちんと理解しないままサインし、後でトラブルになるケースも少なくないようです。
 
差額ベッド代で重要なポイントは、患者が希望しない限り料金は発生しないこと。入院時に病院の説明をしっかりと聞き、「特別療養環境室」に入院を希望しなければ、安易に同意書にサインをしないことです。
 
それでもトラブルになった場合は、各都道府県の国民健康保険の主管課あるいは地方厚生局(厚生労働省の分局)に相談してみましょう。
 
TEXT:マネラボ お金と投資の知っトク研究所
黒田 尚子(くろだ なおこ)
ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。

黒田 尚子

Text:黒田 尚子(くろだ なおこ)

ファイナンシャル・プランナー

消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。
1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。
黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/
 
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