更新日: 2019.01.10 その他暮らし

お酒好きは集まれ~日本酒・純米吟醸クラスが時間無制限で飲み放題!全国の酒蔵と触れ合えるそのシステムとは?

執筆者 : 上野慎一

お酒好きは集まれ~日本酒・純米吟醸クラスが時間無制限で飲み放題!全国の酒蔵と触れ合えるそのシステムとは?
関東甲信地方では、7月を待たずに梅雨明けして猛暑が続きます。
 
暑さを吹き飛ばす冷たいビールがうれしい季節ですが、日本酒も相変わらず根強い人気を集めています。
 
寒い時期の香り高い新酒も楽しみですが、夏の日本酒もおつなもの・・・。
 
上野慎一

Text:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

減ってはいるものの、全国にまだたくさんある酒蔵。「酒蔵ツーリズム」もトレンドです

日本酒の今の酒蔵数は、国税庁の調査(実質対象者1551のうち回答者1433)を踏まえるとざっと1400~1500台のようです。かつては4000蔵以上あったと聞きますので、時の流れを感じます。
参考URL:国税庁「清酒製造業の概況(平成28年度調査分)」
 
日本酒の酒蔵は、北は北海道から南は沖縄まで(自然の気候や温度のもとでの〝天然醸造〟となると熊本県あたりが南限といわれているようですが)散在しています。銘柄も味も千差万別。まさにその土地ごとの〝地酒〟なのでしょう。
 
「酒蔵ツーリズム」をご存じでしょうか?観光庁が掲げる政策のひとつで、各地の酒蔵を巡って地酒を味わい、その土地の伝統文化に触れながら周辺観光や郷土料理などを楽しむことを意味するようです。地域活性化やインバウンド活況取り込みなどへの想いを感じます。
 
国税庁でも多くの国税局で管内の「酒蔵マップ」を作成し、関連PRに取り組んでいます。
参考URL:一例として、国税庁「関東信越国税局管内「酒蔵マップ」」
 

日本酒の「特定名称」とは?「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」は高価です

このような日本酒ですが、国税庁は「特定名称」として次のような8種類を設定しています。


 
中でも「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」には高級感を覚える方も少なくないでしょう。これらの日本酒は「精米歩合」の数値が少ないため、原料米の外側をたくさん削って(原料歩留まりが低い)おり、「使用原料」では醸造アルコールに頼らずに香りや味わいを出す手間をかけています。そのため、高コスト傾向で販売価格も高めです。
 
幅はありますが4合瓶(720ml)で2000円~4000円台くらい、商品によっては5千円以上のものや、1万円を超えるものを目にすることもあります。
 

日本酒・純米吟醸クラスが時間無制限で飲み放題のシステムとは?

いろいろな日本酒が【時間無制限で飲み放題】となる飲食店を見かけることがあります。
 
その中でも品揃えが多いところを幾つかを例示すると次のとおりです(各店とも〝時間制限あり〟飲み放題のコースも設定されています)。


 
このうち、作り手とのコラボレーションなど「酒蔵ツーリズム」を特に意識していると感じられるC店を詳しく見てみましょう。
 
そのシステムの要点はざっと次のとおりです。
 
<セルフサービスによる省力化>
入店時に料金を先払い。あとは、冷蔵庫から一升瓶を取り出して注いだり酒燗器を操作したりするのも全部セルフサービスです。
店員もレジ業務やセルフ客の案内・補助のために少人数(利き酒師など日本酒に詳しいスタッフ)がいるだけです。
 
<厨房サービスなし>
厨房設備はなく調理スタッフもいません(店員に頼めば、電子レンジでの温めや食品切り分け等はしてくれます)。店内でも乾きものなどのつまみ少々は販売していますが、それ以外は各自持ち込みが基本です。もちろん持ち込み料はかからず、入店後に外に買い出しに行くこともできます。
 
<設備や備品の簡素化>
 店内は、テーブル・イス・内装ともとても簡素。セルフサービスで利用できる食器類等もシンプルなものが備えられています。
 
<PRを兼ねて品揃えされた日本酒たち>
 全国の比較的小規模な各酒蔵とタイアップしていて、その日本酒(純米吟醸クラスも多数)が品揃えの中心。いわゆる有名ブランド系はほぼ見かけませんが、逆に地方ごとのレアな銘柄に出会える貴重なチャンスです。こうした蔵元を店に招いてお客さんたちと直接コミュニケーションできる機会も折々にあるそうで、作り手から見ても貴重なPRの場になっているようです。
 
このような業態や類似のお店はほかにもあるでしょう。今回は、コストダウンを工夫しながら全国各地の地酒蔵元PRをビジネスとして展開している仕組みをとり上げましたので、あくまでもその一例としてご覧ください。
 

まとめ

もちろん、いくら飲み放題だからといっても飲み過ぎには要注意です。チェイサー役の水(「和らぎ水」というようです)もたっぷり飲みながら、ゆったりと日本酒を楽しむとよいでしょう。
 
日本国内をあちこち旅して、行く先々でその土地ならではの日本酒に出会い、それらを味わえるのも旅の大きな興趣のひとつです。
 
ご紹介したシステムは、そうした旅へのいわば〝前座〟に居ながらにして、いろいろな地酒を比較的安価に楽しめるところがなかなかの優れものだと思います。
 
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士,不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー

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