更新日: 2019.01.10 その他暮らし

正社員の良さについて、フリーランスのファイナンシャルプランナーが率直に考えてみた。

執筆者 : 三浦雅也

正社員の良さについて、フリーランスのファイナンシャルプランナーが率直に考えてみた。
正社員は安定しているといいますが、実際はなにが安定しているのでしょうか。今回はフリーランスとして活動しているわたしが正社員のよさについて、考えてみました。
三浦雅也

Text:三浦雅也(みうら まさや)

酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。

専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
http://www.fp-sakai.com

正社員が守られていると思う理由

そもそも、正社員って会社からすごく守られていると思います。毎月決まった金額の給与が保障されていて、残業をすれば残業代が支給されます。業績がよかったらボーナスも支給されますよね。
 
そして、週に休みが2日もあるのに、休んでも変わらず固定給は支給されますし、ゴールデンウイークやお盆、年末年始にも公休があります。これって、本当にすごいことだと思います。
 
わたしは現在フリーランスとして活動しているので、給料(報酬)は働いた成果分しかもらえません。
 
ボーナスなんて羨ましいものはもらったことがありません。わたしもたまには休みますが、休んだ日はお金が発生しません。これがわたしの場合の普通です。
 
あえて比べますけど、やっぱり正社員ってすごく羨ましいです。

魅力あふれる社会保険

正社員といえばとにかく社会保険が充実しています!
 
最近では社会保険(健康保険、厚生年金)への加入対象となるパートやアルバイトの範囲が広くなりました。
 
では、社会保険のどこに魅力があるのかもお伝えしていきます。大きく、社会保険とは「健康保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」「年金保険」のことをいいます。
 
年金保険については、次の段で説明しますので、まずは、年金以外の4つの保険について、 “もしものとき” にすごく頼りになるということを言いたいです。
 
例えばわたしが私生活でケガをして、2ヶ月ずっと働けなくなったとします。
 
わたしはフリーランスなので、働けない間の支出は貯蓄を切り崩すか、民間の保険会社からの給付に頼るしかないんですが、もし正社員だったら健康保険から「傷病手当金」の給付を受けることができます。
 
具体的な金額は標準報酬月額(1年間の給与とボーナスを足して12月で割った金額)の3分の2とされていますので、わたしの標準報酬月額が20万円だとすると、約14万円もの金額を、ケガで仕事ができない間は非課税で受け取ることができます。
 
それから、事情があって仕事を辞めたときには雇用保険が役に立ちます。
 
仕事を探している間には「求職者給付」といって、仕事を探している間のお金をサポートしてくれますし、次の仕事を始めるまでに勉強がしたいと感じたなら最高10万円まで「教育訓練給付」の対象となっている学校や教育機関で勉強をするための費用を支給してくれます。
 
ここまででも、やっぱり社会保険は魅力たっぷりだとわかりますよね。

公的年金の半額を会社が負担してくれる

厚生年金も社会保険の一部なのですが、少し性質が異なりますので分けてお伝えします。まずは、正社員なら「厚生年金」の半額を負担してくれることがメリットとしてあげられます。
 
わたしたちが暮らしている日本では20歳から60歳までの全国民が国民年金に加入することが義務付けられています。会社に勤めていない人でも毎月決まった金額を払っていますよね。
 
会社員の場合には、基礎年金部分と厚生年金部分をまとめて年金保険料として支払いますが、その半額を会社が負担してくれます。

年金の基礎部分の金額だけなら、もらえる金額は満額で年に77万9300円(平成30年4月~)ですが、会社員の場合、会社で働いていた期間に支払った厚生年金部分が基礎年金に上乗せされるので、老後の収入にもゆとりが生まれます。
 
保険料の半額を会社が負担してくれるのですから、やっぱり会社員って守られてますよね。

社会保険が高い!って、みなさんいいますけれど…

社会保険って本当によくできています。
 
社会保険に加入している人の「現在の生活」だけじゃなくて、会社を辞めたあとのことや、老後のことまで考えられているのですから。
 
給料のうち約13%の金額を社会保険料として支払うことになりますが、これからの “もしものとき” のための保険料と思えばそんなに高いとは思いません。
 
人生100年時代といわれているなかで、今回は会社員のよさについてお伝えしました。もし、独立を考えている人がいれば今まで加入していた社会保険を補うための「保険」や「投資」について考えてみてくださいね。
 
次回は、その社会保険の代わりとなる「保障」をどのように備えればよいか、具体的に見ていきたいと思います。
 
 
Text:中西 雅也 (なかにし まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属

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