更新日: 2019.01.11 その他暮らし

最寄り駅の人気・不人気で住む場所を選ぶ(8.西関東方面)

執筆者 : 松浦建二

最寄り駅の人気・不人気で住む場所を選ぶ(8.西関東方面)
新たな場所にマイホームを購入して住むなら、人気のある街に住みたいものです。不動産投資をする場合でも同様です。
 
どの街が人気なのかを判断するポイントはいろいろありますが、ここでは駅の乗車人員に着目してみました。乗車人員の増減から資産価値のありそうな街、これから値崩れしそうな街等をいろいろ想像してみました。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

人気の橋本、狙い目は箱根ヶ崎!?

シリーズ最終回は、「西関東方面」の各駅を取り上げます。過去の「1.山手線」や「2.中央線方面」、「3.東海道線方面」、「4.総武線方面」、「5.常磐線方面」「6宇都宮線・高崎線方面」「7.武蔵野線・南武線」を合わせると、取り上げたJR東日本の駅は、関東一円で500駅近くになります。
 
下記の表は、JR東日本のホームページから駅別の1日平均乗車人員を調べ、路線ごとにまとめたものです。左端の順位は2017年の駅別乗車人員の順位です。乗車人員にどのような変化があったのか確認するため、直近の2017年だけでなく、5年前の2012年と17年前の2000年も載せてあります。
 
なお、ホームページに記載のない駅(無人駅等)やJR東日本以外の駅は調査していません。路線の呼称や表の記載順は正式なものとは異なるかもしれませんが、あまり気にしないでください。
※JR東日本の場合、乗車人員は乗車の人員のみで、降車の人員等は含まれていません。
 

 
表には横浜線(八王子駅~東神奈川駅)と相模線(南橋本駅~茅ケ崎駅)、八高線(北八王子駅~高崎駅)、川越線(武蔵高萩駅~大宮駅)の計53駅を載せてあります。これらの路線は都心からみて武蔵野線や南武線のさらに外側に位置し、都心へは向かわず主に郊外の主要都市を結んでいます。場所は東京都・神奈川県・埼玉県の西部を中心とした、都心の西方面です。
 
横浜線の各駅の乗車人員を2000年と比べると、3駅(片倉駅・相原駅・十日市場駅)を除いてどこも増えています。この3駅も2012年以降では増加に転じています。代わりに淵野辺駅が減少に転じていますが、おそらく青山学院大学相模原キャンパスの人文社会系学部の1~2年生が、青山キャンパスへ移った影響が出ているのでしょう。
 
増加率が最も高い八王子みなみ野駅(82.3%)は1997年開業であり、宅地開発による街の成長とともに乗車人員も増えていると考えられます。
 
相模線は神奈川県西部の橋本と茅ケ崎を南北に結ぶ路線です。都心から離れていますが、乗車人員は全ての駅で増えています。特に海老名駅は小田急線や相鉄線と乗り換えができることから、2000年と比べて87.7%、2012年と比べて33.9%も増えています。小田急線は複々線化工事が終わり、相鉄線は都心方面への新規路線を建設中です。どちらも使える海老名駅の魅力は更に増していきそうです。
 
八高線は東京西部の八王子駅と群馬県の高崎駅を結ぶ長距離路線です。相模線と同様に都心から離れているので、一度も乗車したことがない人は結構多いのではないでしょうか。ただ乗車人員は増えている駅が多く、2000年と比べて調べた14駅中9駅で増えており、2012年と比べたら金子駅以外は全て増えています。中でも八王子駅から2駅目の小宮駅は17年間で乗車人員が2倍以上になっています。
 
川越線各駅の乗車人員は、2000年と比べると2駅(笠幡駅と指扇駅)で減っていますが、2012年と比べたら全ての駅で増えています。
 
今回取り上げた地域でマイホームや投資用の不動産選びをするなら、横浜線は将来も期待できる駅が多いです。橋本駅はリニアモーターカーの駅ができる予定であり、新横浜駅は相鉄線と東急線が相互直通運転で乗り入れる予定があります。他にも他路線と乗り換えができる八王子駅や町田駅、長津田駅、中山駅、東神奈川等はどこも魅力的な街です。
 
相模線・八高線・川越線の各駅は都心から離れているので、乗車人員の推移を確認した時は予想外に良いと感じました。全国各地で空き家が増え、人口が減少している市町村が多い状況では、どこも毛呂駅や越生駅のように2000年比で1~2割ほど減っていると想定していたからです。
 
新たに大規模商業施設等ができて賑わいが増したり、新たに工場や物流施設を誘致して通勤者が増えたりすれば、今後も乗車人員の増加を期待できますが、何もしなければ、時代の流れに合わせるように、徐々に乗車人員は減っていくでしょう。
 
不動産選びは現地に行って自分の目で確認するだけでなく、人口や空き家の増減を確認したり駅の乗車人員の推移を確認したりすると、その駅や街がどのような状況なのかを理解しやすくなります。不動産は買うのも借りるのも大きな買い物なので、近々予定がある人は少しでも多くの情報を得て、後悔しない選択をできるようにしておきましょう。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者

ライターさん募集