更新日: 2019.01.11 その他暮らし

「超高齢社会」に突入する 2025年 私達が直面する問題と対策

執筆者 : 藤山優里

「超高齢社会」に突入する 2025年 私達が直面する問題と対策
2025年に、日本は「超高齢社会」に突入します。その中で、医療費の問題は、健保の解散の報道などで耳にしたことはあるかと思いますが、このままでは日本の医療制度の根本を変えていかなければいけない可能性が出ています。
 
しかし、医療制度が変わってから対応するのでは遅く、今から対策をしておく必要があります。
 
藤山優里

Text:藤山優里(ふじやま ゆうり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員

防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊するが、体調悪化のため退職。

退職後、自身のお金に関する知識がないことに危機感を持ちFPの勉強を始める。

現在は保険の見直し業務や転職支援などを通して、ライフプランのトータルサポートを行っている。
https://www.kura-so.com/

「2025年問題」とは?

「2025年問題」という言葉をお聞きになったことがあるのではないでしょうか? 2025年に一体何が起こるのでしょう? 「2025年問題」とは、団塊の世代と呼ばれる1947年~1949年にお生まれになった皆さんが75歳以上となることで起こるとされる、さまざまな問題のことです。
 
日本はこれまで少子高齢化が進んできましたが、このままのペースで少子高齢化が進んだ場合は、2025年に全人口の30%が65歳以上の高齢者となります。(※1)
 

 
「2025年問題」として挙げられる問題は数多くありますが、ここでは「医療費」についてお話をしていきたいと思います。
 

医療費全額自己負担でないのはなぜ?

来年4月1日に派遣社員やその家族約51万人が加入している健康保険組合「人材派遣健康保険組合」が解散することが報じられています。そもそもこの健康保険組合は何をしてくれているのでしょうか?
 

〇医療費の一部を負担してくれている

皆さんが病院で治療を受けたとき、実際にお支払いになる医療費はほとんどの方は「3割」なのではないでしょうか? 残りの7割はどこから出ているのでしょう? 答えは「健康保険組合」や、自営業の方などが加入する「国民健康保険」から出ているのです。そして、その「健康保険組合」などは、皆さんが毎月もらうお給料の一部から「保険料」を集めて運営しているのです。
 

〇傷病手当金がもらえる

大きな病気や交通事故などで長期間働けなくなったときに、お給料の一部を「傷病手当金」としてもらうことができるのも、健康保険組合に加入しているからこその制度です。この利点以外にも健康保険組合があるからこその特典を受けることができます。
 
しかし、その健康保険組合が続々と解散していくことで、毎月の医療費の自己負担額の増加につながったり、傷病手当金がもらえる額が減少したりするというケースが生じています。
 
また、日本で一番規模の大きい「協会けんぽ」をはじめとする多くの健康保険組合で、毎月の保険料が増加しています。健康保険組合は、お給料の何%といった「保険料率」で保険料を設定していますが、平成9年は8.5%であった「協会けんぽ」の保険料率は、現在全国平均で10.0%となっています。※2
 
このことによって、皆さんのお給料の「手取り」が年々減ってきているのです。
 

2025年に何が起こる?

健康保険組合連合会によると、2025年、現役世代の自己負担は38%も増加すると考えられています。この要素には2つあります。
 
(1)国民医療費の増加
(2)高齢者1人を現役世代1.9人で支える状態
 
まず、国民全体での医療費は2015年現在42.3兆円でした。この医療費は、2025年に「57.8兆円」となります。これは、2015年と比べて「36.6%」も増加している計算となります。次に、高齢者1人を現役世代何人で支えていくかという問題ですが、2000年には高齢者1人を3.9人で支えていく状態でしたが、2025年には高齢者1人あたり「1.9人」で支えていくことになります。
 
現在は保険料率平均10.0%で協会けんぽも運営できていますが、このままでは2025年に同じ10.0%では運営ができなくなる可能性があります。そのため、今後も健康保険料の増加が予想されており、お給料の手取りは減っていく可能性も考えられるのです。※3
 

「2025年問題」に備えた対策を進めよう

毎月の保険料の増加や窓口での自己負担額の増加だけではなく、このままでは「国民皆保険」制度の崩壊も場合によっては考えられます。今後の日本は少子高齢化が解消されなければ、全額自己負担の医療制度などに転換する可能性も考えられる状況となります。
 
そのような状況となった場合に、今から「2025年問題」に向けて対策を打てているかどうかが、「医療難民」になるかならないかの境目になる可能性もゼロではありません。「医療難民」を少しでも減らしていくために早めの対策を行っていきましょう。
 
出典:
※1 高齢者人口及び割合の推移(総務省統計局)
※2 保険料率の変遷(全国健康保険組合『協会けんぽ』)
※3 あしたの健保プロジェクト(健康保険組合連合会)
 
Text:藤山 優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP