最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.11.13
暮らし

魅力的?年間150万円をもらいながら子どもを高校に通わせる方法とは

文部科学省によると、子どもを高等学校に通わせる1年間の費用は、公立で約45万円、私立で約100万円かかるそうです。3年間通わせるとなると、それなりの出費になりますね。
 
しかし、これはあくまで平均値で、学校によってはもっと安くできるところもあるでしょう。
 
皆さんは、年間100万円以上をもらいながら、子どもを高等学校に通わせる制度が日本にあることを知っていますか?
 

陸上自衛隊高等工科学校とは

「陸上自衛隊高等工科学校」という学校を聞いたことがありますか?
 
将来の自衛官を養成する、陸上自衛隊の全寮制の男子校です。神奈川県横須賀市の自衛隊駐屯地のそばにあります。
 
生徒は、入校と同時に神奈川県立横浜修悠館高等学校の通信制に入学し、課程修了時には高等学校の卒業資格を取得できます。
 
カリキュラムは一般教養、専門教育、防衛基礎学の3本柱です。一般教養では、英語や数学など他の高校と同じような科目を勉強します。専門教育では、自衛隊でハイテク機能の車両や武器を使うため、電子機械工学などを学びます。そして、防衛基礎学では、射撃訓練やヘリ搭乗研修、戦闘訓練などがあります。
 
身分は特別職国家公務員になり、俸給の代わりに生徒手当が支給されます。毎月手取りで約8万円です。さらに、年2回のボーナスもあります。授業料も寮費も食費も無料で、お金がこれだけ入ってくるうえに、高等学校の卒業資格も得ることができるわけですから、好条件でしょう。
 
さらに、ホームページの施設案内を見ると、ラグビー場や野球場、そして総合グラウンドがあって、スポーツに力を入れたい子にとっても恵まれた環境かもしれません。
 
また、自衛隊新潟地方協力本部長長岡出張所に問い合わせたところ、採用試験は二種類あり、推薦採用と一般採用があるそうです。
 
推薦採用は、受験者が通う中学校の校長からの推薦状などが必要になります。推薦で約60人を採用し、一般で約260人を採用する予定です。毎年の受験倍率は、平均で、推薦が3~4倍、一般が15倍ほどとのことで、かなり競争率が高いことがわかります。
 

規律を重んじる校風

お金がもらえて、学校に行ける代わりに、自衛隊に入ることが期待されているため、学校の規律は一般の高校に比べて厳しくなっています。まず、寮は5~6人の相部屋だそうです。
 
次に、平日のスケジュールは大体決まっていて、午前6時に起床し、清掃、朝食、朝礼、午前の授業、昼食、午後の授業、クラブ活動、夕食、入浴、自習、清掃で午後10時半就寝という流れです。
 
外出は時間も場所も制限がかけられます。休日の定められた時間内に許可を取ることで、決められた範囲内の外出が許されます。1年生は外出時も原則、制服を着なくてはいけません。
 
自衛隊新潟地方協力本部長長岡出張所へ問い合わせた際に、寮生活では携帯電話の使用も制限がかけられると聞きました。学業を優先するため、運転免許の取得も許されません。
 
ただし、寮には娯楽室というものがあり、そこで他の生徒と談笑したり、テレビを見たりすることはできるようです。ゴールデンウイーク、年末年始、お盆などの休暇はしっかりあり、実家に戻ることもできるといいます。
 
とはいえ、15歳という若い時に親元を離れなければならないことから、やはり新しい生活環境に適合できずに、途中で退学する人も一定数いるようです。
 

まとめ

普通なら、3年間で100万から300万円かかる高等学校の教育費が、300万円以上の収入に変わるわけですから、経済的に考えると、陸上自衛隊高等工科学校はとても魅力的ですね。
 
しかし、全寮制で、自由に外出できないなど、厳しい規律に関しては、少し考えさせられますね。それでも、経済的に貧しい家庭にとったら、これほど魅力的な学校はないかもしれません。
 
17年間、東京でホームレス支援をしてきた友人によると、元自衛官で体を壊して、ホームレスになってしまうケースがけっこうあるということです。その最大の理由が、彼らの実家がそもそも貧しいため、家族に頼ることができないという事情のようです。
 
日本の防衛力が、高等教育費を払えない貧しい家庭の子どもたちに頼る現状についても、思いを馳せる必要があるのではないでしょうか。
 
Text:黒岩 揺光(くろいわようこう)
フリーライター

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黒岩揺光

執筆者:黒岩揺光(くろいわようこう)

フリーライター

17年で9カ国滞在後、故郷の新潟県南魚沼市に戻り、空き寺で民宿営業中。元国連職員。元毎日新聞記者。



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