更新日: 2021.08.10 その他暮らし

先進医療特約は本当に必要か?不要か?詳しく解説! 知らなきゃ損するかも

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

先進医療特約は本当に必要か?不要か?詳しく解説! 知らなきゃ損するかも
よく、「医療保険で『先進医療特約』があると安心ですよ」といった話をお聞きになるかと思います。しかし、「先進医療」がそもそも何か、皆さんご存じですか?
 
先進医療についての正しい知識を持つことで、真に必要なときに「先進医療特約」が活躍してくれます。本記事では先進医療とは何かを解説したうえで、「先進医療特約」のポイントを解説します。
 
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先進医療とは?

先進医療とは、健康保険法などの一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」と定義されています。※1
 
法律の条文なので分かりにくいですね。つまり、どういうことかというと、「新しい治療方法であるため、治療の有効性や安全性などを調べて、健康保険の適用にするか否かを評価する必要がある」ということです。
 
その治療法が、多くの人に効果があるかを判断するには、症例数を集めて確かめなければいけません。「先進医療」として患者さんに治療を受けてもらい、有効性や安全性が十分に認められた場合は、健康保険の範囲内に切り替えられたりします。
 
先進医療は厚生労働大臣が定める「評価療養」のひとつとされていて、医療機関が実施するにはさまざまな条件を満たす必要があります。そのため、どこの医療機関でも先進医療が受けられるわけではありません。
 

先進医療の何を知っておいたほうがいいの?

「先進医療」に指定されている治療法や医療技術は、それほど多くありません。平成30年1月1日現在で92種類が指定されています(その内容については実施医療機関で確認してください。各技術の概要は厚労省WEBサイトにすべて公開されています※2、3)。
 
加えて、先に述べたとおり、実施可能な医療機関は限られています。治療の種類によっては、日本で1ヶ所のみというものもあります。最も覚えていただきたい点は以下の一文です。
 
「先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われる」
 
日本の医療制度の骨幹は、公的健康保険制度のもとに「誰が、いつ、どこで治療を受けても一定程度の医療を同額で受けられる」という思想で設計されています。そのため、治療にはガイドラインが定められており、基本的にそれにもとづいた「標準治療」というものが実施されます。
 
先述のとおり、「先進医療」は健康保険を適用するか否かの評価対象ですので、このガイドラインには記載されていません。それゆえ、「患者が希望し」「医師が必要性と合理性を認める」、この2つの条件が合致しないと「先進医療」を受けることはできないのです。
 
大まかでいいので、「先進医療」とは何かを我々治療を受ける側が知っておく必要があります。なお、治療のガイドラインは「公益財団法人日本医療機能評価機構」※4が医療者向けおよび一般向けに公表しており、誰でも見ることができます。
 

先進医療を受けるとどれくらいお金がかかるの?

次に、「先進医療」を受けるには、どのくらいの費用がかかるのかを確認しましょう。
 
まず、先進医療を受ける場合、通常のガイドラインの範囲内の治療に関しては健康保険が適用され、その人の加入している健康保険に応じた負担割合になります。そして、ガイドラインの範囲外の治療に関しては、全額自己負担となっています。
 
具体的にどれくらいの費用がかかるのか心配になりますが、「中央社会保険医療協議会」が、先進医療の治療実績※5、各先進医療の具体的な費用を掲載しています。
 
平成28年度の実績(100種類、全患者数2万4785人)では、最も高いもので約477万円、最も安いものでは約3600円と、非常に幅があります。
 
10万円以上、50万円以上、100万円以上で件数を抜き出すと、下図のとおりです。半数以上は10万円を超えていることが分かります。(なお、100種類中20種はその期間中1件も実施がなかったため、費用の記載がないものもあります)
 

 

先進医療の利用可能性

先の実績報告には、治療の実施件数も集計されています。平成28年度実績では延べ2万4780件でした。日本の人口が約1.2億人であることからすると、件数は非常に少ないと思います。
 
しかし、先も述べたように先進医療は「患者が希望」しなければ受けることはできません。先進医療が、自分の症状に効く可能性があると知っていることが非常に大切です。
 
見方を変えれば、まだまだ先進医療があることを知らない人が多いため、実施件数が少なくないと考えることもできます。
 
ですから、一度は厚労省が公開している「先進利用の各技術の概要」※3にざっと目を通してみてください。現在指定されている先進医療のうち、70%程度がガンの治療法であること。
 
また、白内障の治療「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の実施件数が約1万1000件と突出していることが分かると思います。もしご自身や身近に該当する方がいるのでしたら、ひとつの選択肢になるかもしれません。
 

先進医療特約の有用性

ここまで、先進医療は何か? 費用はどれくらいか? ということをお伝えしてきました。最後に、民間の医療保険で付帯できる「先進医療特約」のポイントを解説します。
 
■通算額
最近の先進医療特約の内容は、「先進医療の技術料を全額お支払い(通算2000万円まで)」が一般的です。
 
加入された時期が少し前であれば、通算額が1000万円や500万円と少ない場合もあります。今現在の先進医療であれば保障が技術料の範囲内に収まる可能性が高いですが、先進医療は新しいものもどんどん出てきますので、非常に高額なものが出た場合は通算額が低いと少し心配です。
 
■一時金
保険会社によっては、「先進医療一時金」などの名称で使途が限定されない一時金(一定額タイプや、先進医療の費用の何割というタイプ)が給付されるものもあります。
 
一時金のメリットとしては、技術料以外に必要となる実施医療機関への交通費や、付添人の宿泊費などに備えることができる点が挙げられます。
 
■保険期間
終身医療保険に加入していても、「先進医療特約」のみ「更新タイプ(10年毎など)」であることが多いので、その点は注意が必要です。
 
なぜかというと、「先進医療」の件数が増加し保険会社の支払負担が増えると、更新を取り扱わなくなってしまったり、先進医療特約自体がなくなる可能性があるからです。
 
■対象先進医療
先進医療特約は一般的に保険料がとても安い(月数百円程度)ため、給付が多くなると収支バランスが崩れる可能性があります。
 
そのため、実施件数が約1万1000件と非常に多い白内障の治療、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」については、いくつかの保険会社で先進医療特約の対象外としています。
 
今後、同様に実施件数が多い先進医療が出てきた場合、対象外となる可能性も十分にあるでしょう。
 

まとめ

先進医療とはどんなものか少しご理解いただけたでしょうか? 少しの知識が、保険を活用できるかどうかを左右します。
 
皆さんに知識を得ていただくとともに、ご自分の医療保険(先進医療特約)がどのようになっているか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
 
※1 厚生労働省 先進医療の概要について
※2 厚生労働省 先進医療を実施している医療機関の一覧
※3 厚生労働省 先進医療の各技術の概要
※4 公益財団法人 日本医療機能評価機構
※5 中央社会保険医療協議会 平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 


 

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