更新日: 2019.07.03 その他暮らし

長寿命社会の到来で変わる『生き方』『働き方』

執筆者 : 前田紳詞

長寿命社会の到来で変わる『生き方』『働き方』
この夏、政府は今後の中長期的な政策を進めていくうえでの基本方針、「骨太方針」を定めました。
 
本格的に突入しはじめた人口減少社会への対応策として、「人づくり革命の実現と拡大」を第一目標に、「子供の教育費支援」に加え「リカレント教育の拡充」という、社会人の教育費支援と「高齢者雇用の拡大」を重要方針として掲げています。
 
「人生100年時代」という長寿命社会の到来に向けて、教育制度の改革が始まろうとしています。
 
前田紳詞

執筆者:前田紳詞(まえだ しんじ)

ファイナンシャルプランナー

日本経済新聞読み方専任講師、ドラッカー学会学会員、前田マネジメント代表、㈱マイビジネスクリエイトオフィス取締役、 NPO法人人財育成支援ネット理事
外資系メーカー、外資系金融機関で勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。 現在、前田マネジメント代表として企業、金融機関、行政、医療関係機関、研修センター、商工会議所などで講演や研修講師を担当。

幅広い知識や経験を活かし、ファイナンシャルプランナー業務だけでなく人材育成やマーケティングなどのマネジメント研修も行っている。年間講演回数は150回以上。

「教育を通じて人の成長のサポートをする」を理念に、自ら考え行動し人生を豊かにする「ライフマネジメント」の実現を目標に活動している。
http://m-lm.biz

人づくり革命の実現と拡大

政府は2018年6月15日の経済財政諮問会議の答申を経て、骨太方針、正式名称「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」を閣議決定しました(図1)。
 

 
日本は人口減少社会に突入し、2018年11月20日に総務省が公表した2018年6月1日現在の総人口は1億2650万9000人と、前年同月に比べ25万7000人減少しました。15~64歳の労働力人口は54万人減少する一方、65歳以上の人口は46万2000人増加と、高齢化が着実に進行しています。
 
ちなみに、日本人人口は1億2433万1000人で、約1年で40万9000人減少しています。働き手として流入している外国人留学生や外国人実習生が、総人口の減少を抑えていることが分かります。
 
迫りくる労働力不足社会に対処するため、「骨太方針」では社会人教育(リカレント教育)によって、能力向上による生産性革命の実現と、人手不足解消のための高齢者雇用の拡大が掲げられています。
 

人生100年時代で大事な社会人基礎力

寿命が100年以上あるということは、公的年金が支給される65歳で退職し、引退生活を始めたとしても、人生がまだ35年以上続くことを意味します。
 
私は2019年で52歳になります。社会人として30年近く働き、多くのことを経験しましたが、それでも人生100年と考えると半分まできたところです。人生100年時代とは、まだまだ多くのことにチャレンジする時間があることを意味します。
 
その意味でも大事なのは、職場や地域社会で、多様な人々と活動していくための基本的な力「社会人基礎力」(図2)を維持することです。
 

 
社会人基礎力とは、(1)前に踏み出す力(アクション力)(2)考え抜く力(シンキング力)(3)チームで働く力(チームワーク力)の3つです。これらは新入社員や若手のときには備えていても、キャリアアップし年齢が上がるにつれて衰えていきがちです。
 
人生100年時代とは再チャレンジの時代であり、過去の役職や地位は役に立たなくなります。一から素直な気持ちで教育訓練給付金などの制度を上手に活用して能力向上を図り、新たな組織や地域社会で協力しながら活動していくことが求められます。
 
社会人基礎力を維持しながら社会と関わる人生を送れば、人生100年時代という長寿命社会も充実したものになるでしょう。
 

社会人が時間を有効活用しながら、お得に学ぶ方法

受験対策として子供を塾に行かせると高額の出費を強いられます。いまではインターネットを使った格安なオンライン塾が誕生し、会員数を増やしています。
 
たとえば、リクルートグループが運営している「スタディサプリ」は、オンラインで小学校4年生から高校の大学受験志望校対策講座までの授業を学ぶことができます。月額980円で、タブレットやスマホから学ぶことができるため人気です。
 
最近では親や大人がこのサービスを利用し始めています。仕事の休憩時間や休日に、小中学校の英語や数学などを基礎からこっそりと学ぶことができるからです。
 
非営利団体の、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会のJMOOC(ジェイムーク)のオンライン大学講座を利用すれば、無料で公開されている大学の講義を学ぶこともできます。
 
本人が社会人基礎力の1つ、アクション力(前に踏み出す力)を発揮すれば、さほどお金をかけずに一生涯学び続けることができる時代になってきました。
 
参照・出典
図1 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2018」主なポイントより引用
図2 経済産業省産業人材政策室「人生100年時代を踏まえた社会人基礎力の見直しについて」より引用
JMOOC公式HP
 
執筆者:前田紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー
 

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