更新日: 2019.11.05 その他暮らし

「非婚化・晩婚化」が加速するその原因

執筆者 : 竹内誠一

「非婚化・晩婚化」が加速するその原因
昭和から平成、そして令和へと時代が移り行く中で人々の価値観は多様化し、仕事やキャリアだけでなく結婚についても捉え方はさまざまです。一人ひとりが従来のモデルに当てはまらない選択を迫られていきます。
 
あわせて、少子高齢化が加速する中で社会問題の一環ともいえる「非婚化・晩婚化・生涯未婚率」が年々増加の一途をたどっています。今回は、この「非婚化・晩婚化・生涯未婚率」の増加傾向の要因を見ながら、多様化する人生について考えてみましょう。
 
竹内誠一

執筆者:竹内誠一(たけうち せいいち)

竹内FP社労士事務所 代表

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(AFP)
国家資格キャリアコンサルタント、DCプランナー2級、企業年金管理士、スカラシップアドバイザー、生管理士
社会保険庁・日本年金機構において23年間、公務員・年金行政職に従事。退職後社労士・FP・キャリアコンサルタントとして、助成金を活用した中小企業の経営サポートや個人のキャリア形成支援・ライフプランをサポート。
http://www.stakeuchi.com/

「非婚化・晩婚化」が加速するその原因とは?

非婚化や晩婚化がなぜ加速するのか、その原因を見てみましょう。原因は、以下の6つが考えられます。
 
1、経済的事情
2、子どもを自立させない親
3、高学歴化
4、女性の社会進出
5、便利な生活
6、お見合い離れ

 
それぞれが1990年以降の現在社会の状況を表しているように見えます。では、いくつかの項目を掘り下げてみましょう。
 
まず、1の「経済的事情」です。この大きな起因は、バブルが崩壊した1990年代以降、企業に雇用される労働者の割合で、非正規雇用の人材が増加したことにあります。その結果、1997年(平成9年)以降、年々平均収入が下がり、非正規雇用と正規雇用の労働者間の収入に差が生じることになりました。
 
年収が少ない人は余裕のある生活が営めず、結婚に対し後ろ向きになる傾向にあります。婚姻率を見ると、非正規雇用労働者は正規雇用労働者に比べて、どの世代とも平均よりも低い数値になるようです。
 
次に、4の「女性の社会進出」。これもまさに時代を表しているといっても過言ではないでしょう。転機となったのが「1985年」です。50代位以上の方でしたら、1985年に制定された法律をご存じではないでしょうか? そうです! 「男女雇用機会均等法」です。
 
制定がきっかけとなり、職場での女性の処遇や労働条件は改善されました。実は、それまでの女性社員の多くは結婚と同時に「寿退社」をしていたからです。
 
その後、女性の社会進出がどんどん進んでいったのは大いによいことなのですが、キャリアを重ね仕事が充実することで晩婚化が進み、現代では「おひとりさま」なんていう言葉も登場しました。
 
現代社会では、定年を迎えたり、未婚のまま老後を迎えたりする女性が増えていくことでしょう。これは、過去に前例のなかった生き方をする女性が増えるということにもなります。
 
続いて、5の「便利な生活」。これはもう言うまでもないでしょう。今の時代、すぐ近くに店もたくさんあるし、インターネットで買い物ができる……このような便利な生活が当たり前のように送ることができます。それに伴い、人間関係が煩わしい人にとっては、過ごしやすい世の中になってきたのかもしれません。
 
そして、最後が6の「お見合い離れ」です。昔は、親戚のおばさんがお見合いの世話をするという光景がよく見られましたが、1970年を境に「お見合い結婚」と「恋愛結婚」の割合が逆転し、現代では恋愛結婚が非常に多くなっています。
 

「非婚化・晩婚化」の本当の理由とは?

上記が「非婚化・晩婚化」が加速する原因と思われますが、これらの外的要因ももちろんのこと、筆者はこれらの要因を踏まえた上で、次の2つが本当の大きな理由だと考えます。
 
(1)生き方や働き方に対する「価値観の多様化」
(2)人生や老後に対する「プランニングの欠如」

 
このうち、(2)の人生や老後に対する「プランニングの欠如」の影響は大きいと考えます。何が言いたいかというと、「今がよければ」「今やりたいことがあるから」「今元気だから」と、「今」を基準に考える傾向が強く、老後を含めた未来や自身の将来を見据えた考え方があまり浸透していないように思います。
 
実際に、20代・30代・40代のうちは、体が元気でやりたいことやできることもたくさんあることでしょう。また、「時間はまだまだある!」と思うこともあるでしょう。
 
しかし、月日のたつのは本当に早いです。「今はいいや」「まだいいや」と思っているうちに、あっという間に年をとっていきます。今の欲求を満たすこと、自身の課題から目を背けることだけを考えるのではなく、将来や未来について考えることが重要です。
 
実は、それは決して難しいことではありません。少し視野を広げて考えるだけで、それまで見えなかったものが見えてきます。
 
例えば、筆者が独自に、20代・30代の若い方に「いつ頃結婚をしようと考えているのか」を聞いてみると、多くの方から「まだ若いから」「今仕事で忙しいから」「特にしたいとは考えていない」といった答えが返ってきます。
 
しかしこれを「では、60代・70代になってもひとりだったらどう?」と聞くと「それは寂しいですね」という言葉が多く返ってきます。続けて、「50代・60代になってから婚活を始めたらどう?」と聞くとほとんどの人が「そうですね、難しいのかな」となります。
 
そうなのです。今のことだけを考えると「このままでよい」ことも、「まだ考えられない」ことも、20年後・30年後、老後に至るまで目を広げると「このままではよくはないよね」となるのです。なので、今のことだけを考えるのではなく、将来のことに目を向けていただきたいです。
 

後悔しない人生を生きるためのプランニングを立てる!

確かに、「少子高齢化」という社会課題はあります。しかし、結婚は国のために、社会のためにするわけではありません。あなたの人生です。自分にとって結婚が必要か否かについても真剣に考えましょう。人生100年時代といわれ、生きる人生が長くなっていますが、過ぎた時間は戻りません。
 
あなたが後悔しない人生のために必要になってくるのが
・ライフプラン
・キャリアプラン
・マネープラン

です。結婚の必要性や仕事への取り組み方、老後資金の備え……さまざまなことと向き合わなくてはいけません。
 
しっかりと自分自身の人生の未来設計図を立てていきましょう。状況や環境、価値観が変われば、その都度設計図を見直し、検証してあなただけの設計図を作ってください。
 
執筆者:竹内誠一
竹内FP社労士事務所 代表