更新日: 2020.05.02 その他暮らし

妊娠・出産したらもらえる自治体の助成金って?

執筆者 : 飯田道子

妊娠・出産したらもらえる自治体の助成金って?
子育てにはお金がかかるといわれていますが、妊娠・出産するときにも、それ相当のお金がかかります。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、妊娠や出産にしたときには自治体から助成金が給付されます。
 
これらの給付金を賢く使って、少しでも家計の負担を軽くしたいものです。
 
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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妊娠・出産すると、いくらかかる?

お金がかかるといっても、健康保険に加入しているから大丈夫とも思えるのですが、実は妊娠した際に受診する検診や出産する際には、一部の例外を除いて、健康保険を使うことができません。
 
対象から外れてしまうのです。健康保険加入者の医療費は、3割負担が基本なのですが、妊娠中は10割負担! その理由は、妊娠は病気ではないからです。分かっていても、家計におよぼす影響は計り知れませんね。
 
公益財団法人生命保険文化センターによると、地域によってバラつきがあるものの、出産費用は少なくとも40万円程度。東京などの首都圏では、50万円前後、というデータも出ています。意外にお金がかかることを知って、ビックリされているのではないでしょうか。
 

助成金について知っておこう

子育てする前からお金がかかるとなると、子供を授かることすら躊躇しそうになる方もいるかもしれませんが、安心してください。
 
実は、妊娠中や出産時には、自治体から助成金を受けることができるのです。出産までの費用のすべてが無料になるわけではありませんが、利用しない手はありません。
 
ちなみに健康保険の対象になるケースは、状態がひどく、母体に影響を与えかねないような場合には、「つわり」であっても保険診療の対象になることがあります。また、帝王切開、吸引分娩、早期破水、切迫早産などの異常分娩のときには健康保険が適用されます。参考にしてください。
 
妊娠・出産に関する主な助成金は、出産育児一時金、出産祝い金・出産手当金、妊産婦医療費助成制度、妊娠検診費用助成があります。
 
●出産育児一時金
国民健康保険加入者が出産したとき、出産時の世帯主に一時金として支払われるものであり、妊娠期間が満12週以上での死産、流産の場合も対象で支給額は一律42万円です。
 
会社員の場合には健康保険組合などから支払われますが、いずれも出産(死産・流産)の翌日から2年を過ぎると消滅時効により申請できなくなりますので注意しましょう。
 
●出産祝い金
自治体独自で行っているもので、住んでいる地域によって違いがあります。たとえば東京都中央区の場合、妊婦にタクシー利用券1万円分を贈呈してくれ、子供が生まれた後には新生児誕生祝品として、区内共通買物券3万円分を贈呈してくれます。
 
誕生記念植樹もあります。世田谷区では、第3子から、出産にかかる費用の一部を上限6万円という縛りはありますが、援助が受けられますよ。
 
自分の住んでいる地域にはどのような援助があるのか、あらかじめ確認しておくと良いですね。
 
●出産手当金
自治体からではないのですが、覚えておいてもらいたいのが、会社で加入する健康保険から支給される出産手当金です。
 
この手当は、出産のため仕事を休み、給料がもらえなかったとき支給される手当であり、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。また、出産した日が出産予定日より遅れて、仕事を休まなければならなかった場合には、その分の給料も支給されます。
 
●妊産婦医療費助成制度
その地域に住む、妊娠届出月の初日から出産(流産・死産)した翌月末までの妊産婦が対象となるもので、保険適用分の医療費が対象です(上限あり)。とはいえ入院費のすべてが助成されるのではなく、入院時の食事療養費は対象になりません。
 
また、妊娠したことで産科的疾病にかかった場合には、資格取得日以前の治療も対象です。その場合には、医療助成申請書の医療機関記入欄に、医療機関の証明を受けるか領収書とあわせてお住まいの自治体に対して診療明細書等の提出が必要となります。
 
●妊婦健診費用助成
母子手帳が交付されてから受けられる助成です。健診回数は14回が目安となっているのですが、妊娠初期から分娩までをカバーしています。助成金額には上限が設けられていて、上限額は3040円~1万850円(令和2年度、練馬区)。
 
健診の内容や回数によって上限額は変わります。助成を受けるには、母子手帳と同時に交付される専用の受診票が必要になります。再発行不可なので注意しましょう。
 
妊娠・出産には何かとお金がかかるものですが、自治体や会社からも助成金などが準備されています。自分が受けられる制度にはどのようなものがあるのかを知っておき、漏れなく受給できるようにしたいものです。
 
(参考)
公益財団法人生命保険文化センター 出産にかかる費用はどれくらい?
練馬区 妊婦健康診査費用助成のご案内
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト


 

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