更新日: 2020.05.18 子育て

ついに始まった私立高校の実質無償化。対象となるのはどんな家庭?

執筆者 : 伊達寿和

ついに始まった私立高校の実質無償化。対象となるのはどんな家庭?
子どものいる家庭にとって、教育費は家計の中で大きな支出の1つです。公立高校はこれまでに授業料の無償化が実施されてきましたが、私立高校についても2020年4月から授業料が実質無償化となりました。
 
しかし、無償化の対象になるには条件があり、支給金額についても上限が設けられています。そこで今回は、私立高校の授業料の実質無償化について紹介します。
 
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

私立高校の実質無償化とは

高校の授業料の負担を減らす制度として、国による「高等学校等就学支援金」があります。公立高校の場合は従来の就学支援金で授業料をカバーすることができ、実質的に無償化を実現しています。
 
一方で、公立高校よりも授業料が高くなる私立高校では、従来の就学支援金でも上乗せ支給がありましたが、その金額は授業料に対して十分とはいえない状況でした。
 
しかし、2020年4月からは私立高校に通う場合の就学支援金の上限額が、私立高校の平均的な授業料の水準まで引き上げられました。これにより、私立高校も実質的に無償化を実現することができたわけです。
 
実質無償化とはいえ、学校によっては授業料がゼロになるわけではありません。就学支援金の上限を超える部分は自己負担となりますが、自治体によっては独自の補助金制度を設けているところもありますので、通学先、お住まいの自治体の情報も確認するとよいでしょう。

対象になるかは保護者等の年収などで確認を

就学支援金の対象になるかどうかは、保護者等の年収などで決まります。正確には保護者等の所得課税によりますが、分かりやすくするためにモデルケースの家族構成と目安の年収を使って確認しましょう。
 
両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合
・世帯年収590万円未満ならば、就学支援金の上限額は39万6000円です。
・世帯年収590万円以上、910万円未満ならば、11万8800円です。
・世帯年収910万円以上ならば、対象外です。
 
両親・高校生・中学生以下の4人家族で、両親共働きの場合
・世帯年収660万円未満ならば、就学支援金の上限額は39万6000円です。
・世帯年収660万円以上、1030万円未満ならば、11万8800円です。
・世帯年収1030万円以上ならば、対象外です。
 
私立高校の場合、2020年4月から支援金の上限額が39万6000円に引き上げられました。モデルケースで年収590万円未満ならば、一律39万6000円になった点がポイントです。この上限額に授業料が収まるケースが多いと考えられますが、もし上限額を超えた場合は自己負担が発生します。

支給方法と知っておきたい注意点

就学支援金を利用する場合は、申請が必要です。入学時などに学校から案内がありますので、必要な書類を準備して申請しましょう。
 
必要な書類は申請書と保護者等のマイナンバー関係書類です。対象となる所得については、マイナンバーを利用して都道府県が確認します。所得に関する証明などを準備する必要はありません。
 
就学支援金の支給方法も知っておきましょう。就学支援金は授業料に充てられますので、都道府県や学校法人などに支給されます。生徒や保護者が直接受け取ることはありません。
 
また、就学支援金の手続きは入学後になるので、初年度の授業料などを先に支払うケースもあるでしょう。その場合、就学支援金がどのような形で還元されるのかは学校によっても異なるので、あらかじめ確認しておいてください。
 
就学支援金は授業料を支援する制度です。それ以外の入学金や施設設備費、教科書代や教材費といったものは対象ではありませんので、これらの費用については別途用意する必要があります。
 
学校に通うにもさまざまな費用がかかります。無償化となる範囲を確認した上で、教育費の備えをしておきましょう。
 
出典
文部科学省「2020年4月からの「私立高等学校授業料の実質無償化」リーフレット」
文部科学省「高等学校等就学支援金手続きリーフレット(令和2年4月~6月支給)」
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員


 

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