最終更新日: 2020.07.16 公開日: 2020.07.17
暮らし

コロナ禍に負けるな! 飲食店の「テイクアウト」を支援する2つの時限特例とは?

執筆者 : 上野慎一

新型コロナウイルス問題の緊急事態宣言の解除が、5月25日にようやく全国で出揃いました。
 
ヒトやモノの移動が制約されて、社会生活や経済活動が大きく停滞した状況でしたが、少しずつ元に戻っていくことが期待されます。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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テイクアウトの支援策は、実は規制緩和

緊急事態宣言は、さまざまな業界に大きな影響を及ぼしましたが、飲食業はその代表例です。
 
お店には【営業は午後8時まで、酒類提供は午後7時まで】といった形で営業短縮が要請されました。
 
お客も、外出自粛要請や在宅・テレワーク導入などで来店がままならない状況が続いたわけです。
 
各種の給付金、助成金、貸付融資、協力金など、いろいろな支援策も講じられましたが、「即効性に欠ける」との声も少なくありません。
 
そうしたこともあってか、お客の来店飲食以外に間口を広げて少しでも売り上げを確保しようと、今までは扱っていなかったところでもテイクアウトや宅配を始める動きは多く見られます。
 
弁当や料理が中心で、中には店で提供しているお酒のボトルを販売するところもありました。
 
また宅配の手段もさまざまで、「Uber Eats(ウーバーイーツ)」のリュックを背負った宅配自転車などだけではなく、中にはタクシーを利用して配達しているところもあるのです。
 
コロナ禍の“非常事態”が日常化すると、こうした光景にも違和感がなくなっていくような気がしますが、お酒の販売やタクシーでの宅配は、実はひっそりとされていた「規制緩和」の賜物でした。
 

「お酒」の販売の規制緩和とは

まず、お酒の販売ですが、4月9日に国税庁が「期限付酒類小売業免許」の付与について公表しています(※1)。
 
そもそもの話として、酒類を小売販売(持ち帰りなど)するためには「酒類小売業免許」が必要で、もちろん酒屋さんや酒類を販売しているコンビニやスーパーなども免許を持っているわけです。
 
今回は、お酒のテイクアウトを支援するため、飲食店に対して簡素で迅速な手続きで免許が付与されるようになりました。
 
ただし
 
(1)2020年6月30日までに申請書が提出されている 
(2)免許付与から6ヶ月間限定

 
という2点の制限があります。
 
例えば、レアな日本酒銘柄を4合瓶(720ミリリットル)1500円で仕入れたケースで収支を試算してみましょう。
 
<店内で「1杯」売りする場合> ⇒ 1杯700円(120ミリリットル)とすると
 売上4200円 - 仕入代1500円 = 粗利益2700円(粗利益率約64%)
 
<テイクアウトで「1瓶」売りする場合> ⇒ 1瓶2500円とすると
 売上2500円 - 仕入代1500円 = 粗利益1000円(粗利益率40%)
 
テイクアウトの「1瓶」売りには不向きですが1升瓶(1800ミリリットル)ならば仕入単価はもっと下がりますので、店内での「1杯」売りの粗利益はさらに増えます。
 
このように売上・粗利益ともに金額面では店内売りに及ばないものの、テイクアウトは厳しい経営環境の一助になることが期待できる面もあるのです。
 
国税庁によれば、受付開始から約1ヶ月間に全国で1万7000件余りの申請があり、1万4700件以上の免許が付与されています。
 

「タクシー」の規制緩和とは

次にタクシーでの宅配ですが、こちらもそもそもタクシーによる貨物運送は原則不可となっており、過疎地域などで例外的に認められているものでした。
 
国土交通省は4月21日付で、飲食店からの飲料や食料の配送を2020年5月13日まで許可することとして、その後さらに2020年9月30日まで延長しています(※2)。
 
なお、
 
(1)運賃料金は当事者の話し合いで決める 
(2)運送中は車体前面に「貨物」と表示する 
(3)貨物の置き場はトランク内に限る 
(4)旅客と同時には運送できない 

 
などが要点です。
 
料金はまちまちですが、札幌や京都では一定の条件の下で1回110円(税込)のキャンペーン料金(6月30日まで)を展開する事業者もいます。
 
なお国土交通大臣の会見(5月8日)によれば、5月1日時点で全国約900のタクシー事業者がこの特例許可を受けています。
 
飲食業者の販売間口が拡大し、利用者の利便性も向上する上、外出自粛などで大きく落ち込んだ車両稼働率の向上や従業員の雇用維持など、タクシー事業者にもメリットがあります。
 
期間限定とはいえ、「三方よし」の規制緩和策といえるでしょう。
 

まとめ

緊急事態宣言が全面解除されたとはいえ、新型コロナウイルス問題の先行きはまだまだ予断を許しません。
 
今回の時限的な規制緩和のことを「そんな時期もあったよね……」といつか笑って懐かしめるように、コロナ禍が早期に収束していくことを願うばかりです。
 
[出典]
(※1)国税庁 「在庫酒類の持ち帰り用販売等をしたい料飲店等の方へ(期限付酒類小売業免許の付与について)」
(※2)国土交通省自動車局 「新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえたタクシー事業者による有償貨物運送について」(事務連絡)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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