更新日: 2020.08.07 その他暮らし

被災後の生活再建に役立つさまざまな制度を紹介

執筆者 : 新美昌也

被災後の生活再建に役立つさまざまな制度を紹介
日本は、台風、大雨、洪水、土砂災害、地震、火山噴火などの自然災害が発生しやすく、毎年のように発生しています。被災して住宅を失ったり、職を失ってしまった場合、ショックが大きいと思いますが、生活を再建するさまざまな公的支援制度がありますので役立ててください。
 
災害で住まいが被害を受けた場合、あまりのショックに、何から手を付けたらいいか分からなくなるかもしれません。平時から情報収集し備えることが大切です。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

罹災証明書を取得することから始める

自然災害により家屋が受けた被害について、被災した人が居住する市区町村に申し出ると、市区町村の調査員が国の基準に従い被害の程度を判定し公的に証明するものです。この公的証明書が罹災証明書です。
 
認定区分は、「全壊」(住家の主要な構成要素の経済的被害の住家全体に占める損害割合50%以上)、「大規模半壊」(損害割合40%以上50%未満)、「半壊」(損害割合20%以上40%未満)、「準半壊」(損害割合10%以上20%未満)、「一部損壊」(損害割合10%未満)など。
 
罹災証明書は、各種の被災者支援制度や給付金を受ける際、仮設住居への入居の際、火災保険や共済などの請求等を行う際など、さまざまな場面で必要となります。
 
調査までに時間がかかるケースでは、調査より先に片付けや修理する場合もあります。このようなケースでは、損害の程度を証明する重要な資料として被害を受けた場所の写真を撮っておくことが重要です。
 
写真を撮るポイント(政府広報オンラインより)は、以下の5点です。
 
・家の外をなるべく4方向から撮る
・室内の被害の状況も分かるように撮る
・浸水した場合は浸水の深さも分かるように撮る
・システムキッチンや洗面台などの住宅設備、家電などの被害状況も撮っておく
・自動車、物置、農機具などの被害状況も撮っておく

 
まずは被災時にお住まいの市区町村から、罹災証明書等を取得することから始めましょう。

経済支援制度などの活用

被災者生活再建支援金、義援金、災害弔慰金等の現金給付、災害援護資金等の融資制度、税金や社会保険料、公共料金等の減免・猶予、災害救助法に基づく応急仮設住宅、住宅の応急修理等の現物給付など、さまざまな経済支援制度があります。
 
子供に対する教育支援には小中学校の就学援助、高校の授業料減免などがあります。
 
【経済支援例】

■被災者生活再建支援金

自然災害により居住する家が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、被災の程度に応じた支援金が支給されます。
 
支援金は家の被害の程度に応じて交付される「基礎支援金」(100万円または200万円)と、住宅の再建方法に応じて交付される「加算支援金」(200万円、100万円、50万円)があります。

■災害弔慰金/災害障害弔慰金

災害により死亡された方の遺族には、災害弔慰金が支給されます。支給額は、生計維持者の方が死亡した場合は500万円、その他の方が死亡した場合は250万円です。
 
また、震災により重度の障害を受けた方には、災害障害見舞金が支給されます。障害を受けた方が生計維持者の場合は250万円、その他は125万円が支給されます。

■災害援護資金貸付

対象災害により負傷または住居、家財に被害を受けた方は、年1.5%(連帯相証人なしの場合。据置期間中は無利子)、償還期間13年(据置期間を含む)で最大350万円まで貸付を受けることができます(2020年06月、石巻市の場合)。市区町村により利率、償還期間などが異なります。

■所得税の軽減/国民年金保険料の免除

災害によって、資産について損害を受けた場合等には、確定申告をすることで、一定の金額の所得控除(雑損控除)を受けることができます。
 
また、震災・風水害・火災その他これらに類する災害により、被保険者の所有に関わる住宅、家財その他の財産につき、被害金額がおおむね2分の1以上の損害を受けたときは、申請により国民年金保険料が免除になります。
 
詳しくは、市区町村、税務署、教育委員会(教育支援制度)などにご確認ください。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー