更新日: 2020.08.26 その他暮らし

コロナ禍で変わる常識。正社員でも解雇されるかもしれないって本当?

執筆者 : 柴沼直美

コロナ禍で変わる常識。正社員でも解雇されるかもしれないって本当?
コロナ禍でわれわれがこれまで当たり前だと思っていた常識が覆るケースを多く見てきましたが、この秋口から「解雇」がそこに加わると指摘されています。
 
従来ですと、「正社員はクビにならないから安心」と思われていましたが、そうとも言えなくなりそうです。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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8月3日からの飲食店の営業時間の短縮要請で

7月になって、日本を代表する大企業が、けた違いの赤字決算を次々と発表するようになりました。例えば、ディズニーランドやディズニーシーを運営するオリエンタルランドでは、売上高94.9%減で最終赤字248億円、JR東日本の最終赤字も1553億円と発表しています。前代未聞のコロナ禍と巣ごもりで、日本のお家芸の「おもてなし産業」も大変厳しい状況です。
 
東京都では8月3日から、外食の営業時間短縮要請などが実施される見込みで、そうなれば、経営が立ち行かなくなる中堅飲食店やホテル・旅館業も増えてくることは想像に難くありません。そして経営破綻に陥った場合や、そこまではいかなくても労働者を解雇せざるを得なくなるケースも多発するでしょう。
 

解雇4条件とは

日本では「従業員を大事にする」という考え方はまだまだ根強く残っているとみられます。事実、「非正規社員と正規社員の生涯賃金の差が大きい、だから正社員にならなければ」という声はよく耳にします。
 
非正規社員は業績によって増員したり契約を打ち切ったりするが、正規社員はたとえ経営が厳しくても「整理解雇の4つの条件」をクリアしなければならないため、一度正社員になったら安心、と思われています。
 
事実、解雇された元従業員から雇用主への訴えがあった場合は、過去の判例を見ても労働者側が勝訴する場合が多いといわれています。
 
具体的には下記のとおりです。
(1)どうしても解雇しなければならないほどの高度な必要性があるか。「業績悪化による解雇や便乗解雇はNG」。
(2)解雇を回避する努力義務をやったか、例えば役員報酬のカット、新規採用の停止、昇給停止、時間外労働の削減、一時帰休の実施、配転や出向、希望退職の募集など。
(3)解雇対象人員の選定が公正かつ公平でなければならない。
(4)労働者や労働組合の理解が得られるように誠実に説明・協議を行うこと。
 
(4)だけを見ても、非常に主観的ですよね。解雇は難しかったというのがよくわかりますね。
 

それでも「背に腹は代えられない」

それでも、経営が立ち行かなくなる企業が続出することは目に見えていますし、昨今の感染者数の増加、感染者の広がりなどを考えれば、「コロナ禍」を「どうしても解雇しなければならないほどの高度な必要性がある」理由と認めざるを得ないということになるでしょう。
 
そうなれば「正社員=安心」という方程式は、崩れることも想定しておかなければなりません。折に触れてお伝えしていますが、解雇や正社員の身分についても「これまでの常識が通じなくなる」ということになると頭に入れて行動すべきかもしれません。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者