更新日: 2020.08.27 その他暮らし

学校での熱中症対策についての実態って?国が熱中症対策に費やす予算はどれくらい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

学校での熱中症対策についての実態って?国が熱中症対策に費やす予算はどれくらい?
暑い日が続いています。今年の夏は普段の暑さ対策に加え、感染症対策として適宜マスクの着用が必要。こんな暑い季節にマスクをして外を歩くなど、初めての経験という人も多いのではないでしょうか。
 
異例の夏ですが、子どもたちにとってはそんなことは関係ないもの。つい遊びに夢中になって、気づいたら熱中症に……というケースも少なくありません。
そんな中、学校はどのような熱中症対策を行っているのでしょうか。そして、国は熱中症対策にどの程度の予算を割いているのでしょうか。
 
まずは、熱中症予防の啓発団体「教えて! 『かくれ脱水』委員会」が実施した「学校におけるマスク着用指導や熱中症予防・対処に関する調査」の結果(※1)を見てみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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学校における熱中症対策や指導の実態とは?

この調査は、小学生から高校生までの子どもを持つ全国の保護者を対象に行われたもの。さっそく、学校における熱中症対策の実態を見ていきます。
 
【学校での対応に関して当てはまるものは?(複数回答)】
1位:授業中のマスク常時着用指示           81%
2位:学校の登下校時のマスク着用義務         57%
3位:授業中の水分補給の制限             40%
3位:水筒の内容物の制限(スポーツドリンク禁止など) 40%
5位:体育の授業中のマスク着用指示          9%
 
授業中のマスク着用を指示している学校がほとんどということがわかります。やはり飛沫防止のためにはマスクがよいということなのでしょう。
 
また、6割近くは登下校時にもマスク着用の指示があるようです。たしかに子ども同士でおしゃべりや遊びに夢中になると自然と接触も多くなり飛沫も飛ぶことが考えられますので、この対策も妥当といえそうです。
 
気になるのが、「授業中の水分補給の制限」と「体育の授業中のマスク着用指示」です。授業中に水分を摂りすぎると途中でトイレに行きたくなるからなどの理由もあるのかもしれませんが、子どもの健康を考えると自由に飲ませてほしいという意見もありそうです。
 
また、運動中のマスク着用は熱中症のリスクを高めることがわかっています。いまだ1割弱の学校でそのような指示がなされているということは、保護者としては少し不安に感じてしまうかもしれません。

子どもが熱中症になったとき、学校の対処は?

気をつけていても、熱中症になってしまうことはあるでしょう。そのとき、子どもの命を守るために学校はどのような対処をしているのでしょうか。
 
【自分のお子様、ないしは同じ学校のお子様が熱中症になったとき、学校の対処は?】
1位:すぐさま涼しい場所に移した 18人
2位:すぐにスポーツドリンク・経口補水液(塩分・糖分の入った飲料)を飲ませていた 12人
3位:すぐにお茶・お水(塩分の入っていない飲料)を飲ませていた 10人
4位:わからない 7人
5位:症状を訴えても活動を続けさせていた 3人
6位:倒れるような状況だったので救急車を呼んだ 1人
 
正しい対処法が1位と2位にランクインしていることに安心する方も多いかと思います。
 
ただし、3位と5位に危険な対処法が。汗などで塩分などのミネラルが不足しているときにただの水やお茶を飲むと、さらに血中の塩分濃度が下がってしまうことも。
 
また、症状を訴えても活動を続けさせていたというのは、論外といっても過言ではないもの。熱中症と思われる症状が出た場合は、速やかに涼しい場所に移し、服を緩めて首・脇の下・足の付根などを冷やし、スポーツドリンクや経口補水液を飲ませることが大切です。
 
もちろん、意識がなかったり自力で水分を飲めなかったりするときは、すぐに救急車を呼びましょう。

国が熱中症対策に費やす予算は?

環境省が、熱中症に関する対策ガイドラインやリーフレット、ポスターなどを配布していることをご存じの方もいらっしゃると思います。そのほか、消防庁や文部科学省、厚生労働省など、さまざまな省庁が毎年熱中症対策に予算を割いています。いったい今年はいくらくらい予算が組まれているのでしょうか。
 
環境省の「令和2年度関係省庁熱中症関連予算」(※2)によると、熱中症関連予算は以下のとおり。
 
・消防庁:政策広報・普及啓発用資料の内数(注)          194万円
・文部科学省:公立学校施設整備費の内数       1244億7554.2万円
・厚生労働省:委託事業                   5036.4万円
・環境省  :熱中症対策緊急推進事業          1億3882.9万円
       熱中症予防情報の継続的提供          2531.1万円
       気候変動影響評価・適応推進事業の内数   5億4691.2万円
(注) 全体予算の中に占める予算
 
通常業務とは別に実施する熱中症関連の施策の予算は、ざっくり1250億円ほどという計算になります。
 
先日、令和2年度厚生労働省第二次補正予算(案)には(新型コロナウイルス感染症対策のための)検査体制の充実、感染拡大防止とワクチン・治療薬の開発に2719億円が盛り込まれました。
 
熱中症対策に関する予算はその半分程度となっているようです。しかし、今年の夏の熱中症対策は感染症対策と隣り合わせ。
 
公立学校のエアコンの整備や経口補水液のストック、教員に対する正しい熱中症対策の指導など、子どもが長い時間を過ごす学校での熱中症対策がより強化されることに期待したいですね。
 
[出典]
※1 教えて!「かくれ脱水」委員会「学校におけるマスク着用指導や熱中症予防・対処に関する調査」(株式会社共同通信ピー・アール・ワイヤー)
※2 環境省「令和2年度関係省庁熱中症関連予算」
※3 厚生労働省「令和2年度 厚生労働省第二次補正予算(案)の概要」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部


 

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