更新日: 2021.11.09 その他暮らし

不動産の売却を考える前にしておきたいこと。不動産会社との交渉を有利に進めるための準備とは

執筆者 : 西山広高

不動産の売却を考える前にしておきたいこと。不動産会社との交渉を有利に進めるための準備とは
不動産の売却を検討する場合、多くの人が不動産業者に査定を依頼します。しかし、高額になる不動産。不動産の売却に慣れているという人はほとんどいません。
 
一方でその相談相手となる不動産業者は、不動産取引についての情報や実績豊富。その情報格差を少しでも埋めておくため、不動産業者と話す前にひと手間かけておけば、不動産会社との交渉に備え、有利に売却を進めることができます。
 
今回は不動産売却の際、不動産業者と相談する前に自分でしておきたい準備について、その手順や方法をお伝えします。
西山広高

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
 
http://www.nishiyama-ld.com/

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/

不動産の売却を考える前に自分でしておくべきこと

不動産の売却は、一生のうちでそう何度も経験することではないでしょう。不動産業者に相談することになりますが、その不動産業者はいくつもの不動産の購入・売却を経験しているプロ集団。不動産に関する知識や情報は、一般の方とは比べ物にならない差があります。
 
不動産売却を考える際には、不動産業者にすべて任せしてしまう方も少なくありません。しかし、不動産業者も営利企業。少しでも多く稼ぎたいと考えていますし、なるべく手間をかけたくないと考えるのも本音です。知識・情報の格差を利用して、うまく丸め込まれてしまうようなことにもなりかねません。
 
最近はインターネットなどで、だれでも手軽にさまざまな情報を収集できるようになっています。不動産売却の相談をする前に、自分自身でもある程度「下調べ」を行い、交渉に備えて武装しておくこともできます。
 
査定を依頼するまでにしておくべきことは
・どのような条件、状態で売却するのか想定し準備すること
・売却を予定している不動産のおよその価格を知ること
まず、この2つを自分で予習、想定しておき不動産会社との交渉に備えます。
 

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どのような状態・条件で売却するのか

更地にして売却するのか、建物がある状態で売却するのか。建物がある場合には居住している状態で売却活動を始めるのか、転居後に空き家として売却するのか。
 
どのような状態で売却するのかによって考えておくべきことが違います。
 
地域の習慣などによっても違いがありますが、地価の高い場所では1平方メートル当たり数十万円にもなる土地ですので、隣地や道路との境界が確認できるかどうかも重要です。測量が必要になることも少なくありませんし、隣地との境界が曖昧であったり、もめている場合などは売却までに双方立ち合いのうえ、「境界確認」を行い不確定な状況を解消しておく必要も出てきます。
 
建物がある状態で売却する場合で、居住したまま売却活動を行うときには、購入希望者の「内覧」を受けることになります。
 
購入者が個人の場合は、特にどのような使われ方をしているかによってイメージが変わってきます。良い条件で売却したいと考えれば、少なくとも整理整頓された状態で見せられるよう準備する必要があります。お化粧と同じですね。
 
また、購入希望者が出てきた場合に、どのくらいの期間で引き渡せるのかを想定しておく必要があります。
 
転居先が決まっていてすぐに引っ越しできればよいですが、そうでない場合には引っ越しを完了し、引き渡せる状態になるまでのスケジュール感をつかんでおかなければなりません。
 
売却活動を開始すると早ければ1ヶ月以内に購入者が決まり、売買契約を締結することもあります。契約までには引き渡し時期も含めた条件も確定しなければなりません。もし、決めた時期に引き渡せなくなると、違約金や損害賠償を求められる場合もあります。
 
建物は築年数や構造、間取りや維持管理状態などさまざまな条件によって、売主が当初考えていた条件での売却が難しいということもあります。
 
例えば、築年数30年程度で売主が大事に使ってきた物件。売主としては「大事に使ってくれる人がきっと現れるだろう」と考え、建物があるまま売却できると考えていたとします。
 
しかし、その周辺の不動産の需要の状況によっては「売りにくい」物件も存在します。売主にはその建物への思い入れがありますが、買主は「自分が住むとしたらどう使うだろう」とイメージしながら建物を確認します。
 
大きすぎたり、特殊な間取りの物件は売主にはそれが普通でも、買主を選んでしまう、絞ってしまう可能性があります。好条件で売るには時間がかける、場合によっては売れないということもあります。
 
このあたりは売却を依頼する不動産業者との交渉で確認し、状況を理解できれば戦略の返納も必要になります。
 
参考:不動産売却の超初心者向けガイド【これだけは抑えて】
 

不動産の売却想定価格を調べる

「周辺相場を知る」ということも重要です。どのくらいの価格で売れそうか、あらかじめつかんだうえで売却を真剣に考えるということもあるでしょう。
 
不動産業者の査定をいきなり依頼される方も多いでしょうが、事前に自分でひと手間かけておくべきです。不動産業者との交渉も、売主にあまりにも情報が少ない場合には、足元を見られかねません。物件の価格と交渉しだいで大きな違いが出ることもあり得ます。
 
最近では多くの「不動産ポータルサイト」(SUUMO、at home、LIFULL HOME’Sなど)があり、周辺で売り出されている物件の情報を見ることができます。ただしそこに表示されているのは売却希望価格。成約価格とは異なります。また、不動産は当然同じものはありませんので、それぞれの物件の状況によって価格が変わります。
 
マンションの価格は、特に同じ物件の他の部屋や、近隣の築年数が近い物件の価格などが参考になります。ただし、開口部(窓のある方向)の向きや階数などによって違いはあります。
 
売りに出された背景によっても価格が変わりますが、そこまではインターネットなどでは読み取れません。
 
公的機関が公表しているデータもあります。
国土交通省の「土地総合情報システム(※1)」では基準地の公示地価、基準地価、エリアの不動産取引価格などを公表しています。公示地価や基準地価は、実勢価格に近いといわれているので参考になるでしょう。
 
また、相続税や贈与税などの評価額を決めるための指標となる路線価(相続税路線価)も不動産価格を推定するのに役立ちます。
 
路線価(相続税路線価)は国が毎年1月1日の価格を7月1日に公表されます。各道路に割り振られた路線価で1平方メートル当たりの金額が表示されており、国税庁の財産評価基準書路線価図・評価倍率表(※2)で、年ごとの価格を確認できます。ただし、路線価は実勢価格の約8割を目安に設定されることに注意が必要です。
 
全国地価マップ(※3)でも公示地価、基準地価のほか、路線価(相続税路線価)、固定資産税路線価を確認できます
 
注意しておかなければならないのは、これらのサイトで確認できるのはあくまでも目安だということです。
 
不動産には個性があります。土地ではその地型や地勢(傾斜や擁壁があるなど)、公共交通機関とのアクセス、道路との接道状況や生活利便施設との距離など、周辺環境が異なります。用途地域や容積率・建蔽(ペイ)率が異なる物件とでは単純に比較できません。
 
建物はその構造や築年数、面積や間取り、維持管理の状態などでまったく評価が異なります不動産業者が行う査定では、さまざまな条件を加味し総合的に評価することになります。
 
また、不動産は最終的に売主と買主の条件交渉が合意に至って初めて成立します。2つと同じもののない不動産に定価はありません。そういう意味でもあくまで目安です。

まとめ

不動産業者と一般消費者の間では、知識や経験に大きな差があることは仕方ありません。しかし、インターネットなどの普及でだれでも簡単に情報収集ができるようになり、自分が努力すればその知識・情報格差を縮めることができるようになってきました。
 
不動産売却では、売主は思い入れのある不動産を売却する場合も多いでしょう。不動産業者は『両手取引』を行う業者も多く、不動産業者が売主の立場で良い条件での売却を全面的にサポートしてくれるとは限りません。高額な不動産の売却、少しでも良い条件での売却を実現するためのひと手間は、かけるだけの価値があると思います。
 
(※1)国土交通省「土地総合情報システム」
(※2)国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」
(※3)資産評価システム研究センター「全国地価マップ」
 
※2020/12/25 内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役