公開日: 2020.10.28 暮らし

やっと、どこでも誰でも使えるようになった!  ドタバタでスタートした印象も強い「Go To トラベル事業」とは?

執筆者 : 上野慎一

新型コロナウイルス感染拡大問題による社会の混乱が続いています。当初は、通常のインフルエンザのように春季以降に収束していくのではとの楽観論もありましたが、実態はそうなっていません。
 
コロナ禍に対する世の中の意識やさまざまな施策も、観点の軸足が「アフター」(すぐにいなくなる)から「ウィズ」(当面は存在する)へとすっかり移り変わったような状況です。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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上野慎一

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執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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「Go To トラベル事業」とは

そんな移ろいは、政府の「Go To トラベル事業」でも実感させられます。この事業は、宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の2分の1相当額を国が支援(付与)する内容で、実施スケジュールなどは【図表1】のように2段階に分かれます(※1)。
 


 
いずれも、宿泊旅行で1泊2万円、日帰り旅行で1万円が給付上限額です。宿泊1泊4万円以上の旅行ならば[割引1万4000円+クーポン6000円]、日帰り2万円以上の旅行では[割引7000円+クーポン3000円]が付与されます。
 
なお、連泊や利用回数の制限はなく、例えば5泊の旅行ならば最高で10万円相当の支援が受けられるのです。
 
「Go Toキャンペーン事業」は、トラベルのほか飲食店・イベント・商店街の4つの消費喚起を目的に約1兆6800億円の予算額が確保されています。このうち「トラベル」分は約1兆3500億円と巨額です。

“見切り発車”との批判も

巨額予算の一方で、目についたのが“見切り発車”とも批判された混乱ぶりです。予算案で「新型コロナウイルス感染症の流行収束後の一定期間」とされていた実施時期は、結果的に新規感染者数が全国各地で急増していく最中のタイミングに前倒しされ、旅行事業者への周知も不十分な状態でのスタートとなりました。
 
また実施直前に東京都発着だけが除外され、この除外によるキャンセル料を政府が補償するかどうかでも混乱がありました。
 
「Go To トラベル事業は、ウィズコロナの時代における『新しい生活様式』に基づく旅のあり方を普及、定着させるものです。」とされ、体調チェックや感染防止策など旅行者も受入施設もいろいろな事項を順守することが支援(給付)の条件とされています(※1)。
 
とはいえ、収束のきざしが見えない新型コロナウイルス感染拡大状況を抑制するためのさまざまな施策を「ブレーキ」や「冷房」に例えると、この事業だけが「アクセル」や「暖房」のような逆行策に見えてしまうのも否めないように思えます。
 
また、第1弾の実施直前に東京都発着(東京都民と東京都内の宿泊・観光等施設)だけが対象から除外されたことによる“不公平感”も、否定できない側面がありました。こうした事象によって地域間の分断感がもしも醸成されてしまうとすれば、これもまた国策がもたらした逆効果といえます。

調整策も講じられていますが……

こうした状況に対して観光庁は関連Q&A(※2)の中で、東京都関係者や多忙をきわめる医療従事者などエッセンシャルワーカーがいずれは利用できるように、給付金を早期に使い切ってしまわないための予算の時期的な配分管理にも配慮することを表明していました(※2の10月23日時点版の「Q39と同A」)。
 
予算管理上は旅行目的地を全国13エリアに区分し、東京都は単独でエリア指定されています。エリアごとに予算上限を設定して管理すれば、「どこに行くか」の面では予算消化はコントロールできそうです。
 
しかし「誰が利用するか」について、予算消化が進んでしまった終盤期になってから例えば「この仕事の人だけ利用可能」といった運用が本当にできるのかどうか、予断は許しません。

まとめ

この予算案を審議した衆議院の予算委員会で、野党側から「正常性バイアス」に陥っているのではないかとの指摘がありました。
 
つまり、被害がひどい状況なのに日常的な正常な生活のシーンと過小評価して対応が遅れるバイアス(思考の偏り)であり、急ぎではないこうした予算を棚上げする意向がないのかとただされたのです。要は「そんなことやっている場合なのか?」という趣旨のようでした。
 
コロナ禍とこれによるヒトの移動(インバウンドも含めて)の大きな制約などで国内観光産業は大打撃を受けています。そして、こうした状況に対して早期にカンフル剤を打つことは、もちろん大事です。
 
しかし、このタイミングにこの施策で本当によかったのか。賛否はずっと分かれるような気がいたします。
 
[出典]
(※1)観光庁「Go Toトラベル事業 関連情報」~「Go To トラベル事務局公式サイトの旅行者向け公式サイト」~「Go Toトラベル事業とは」
(※2)観光庁「Go Toトラベル事業 関連情報」~「よくあるご質問(FAQ)2020年10月23日更新」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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