更新日: 2020.11.19 その他暮らし

不妊治療にはいくらかかる?保険適用の賛否は?治療費の高さで諦める人も

不妊治療にはいくらかかる?保険適用の賛否は?治療費の高さで諦める人も
内閣府「令和元年版 少子化社会対策白書」によれば(※1)、2017年の出生数は、94万6065人と100万人を割り込み、日本の少子化が急速に進んでいることがわかります。働く女性が増えたり、晩婚化でいざ子どもが欲しいと思ったとき、なかなか妊娠せず、不妊治療を行う夫婦も少なくありません。
 
しかし現在、不妊治療は保険適用外であり、高額な治療費がかかるという現実を前に、子どもを持つことを諦めてしまう夫婦もいることでしょう。
 
今年9月に発足した菅政権では、少子化対策として「不妊治療の保険適用」が検討されていると報じられています。
 
そこで、エン婚活エージェント株式会社(東京都新宿区)が20代から60代の男女112人に対して実施した「不妊治療の保険適用」に関する調査の結果から(※2)、みんなは不妊治療の保険適用についてどう思っているのか、不妊治療の課題などについて見ていきましょう。なお、本調査は調査母数がそれほど多くないので、あくまで傾向として参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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不妊治療の保険適用には9割以上が賛成

不妊治療の保険適用についてどう思うか聞いたところ、「大賛成」が68.5%、「賛成」が23.4%と、91.9%が賛成という結果となりました。不妊治療は高額で、長期にわたることがあるため、やはり治療費の保険適用については歓迎する声がほとんどでした。
 
次に、パートナーがいる人の中で、家庭内で不妊治療について話したことがあるか聞くと、55.6%が「話したことがある」と回答しました。また、不妊で悩んだことがあるかと尋ねたところ、46.0%が「悩んだことがある」と回答しました。
 

不妊治療費は51万円から200万円がボリュームゾーン。治療費の高さで不妊治療を行わない場合も

不妊で悩んだことがある人のうち、58.1%が「不妊治療を行なったことがある」、41.9%が「不妊治療を行なっていない」と回答し、半数以上が不妊治療を行っていることがわかりました。
 
不妊治療の治療費はいくらかかったか聞いたところ、「51~100万円」「101~200万円」がいずれも8.1%でボリュームゾーンでした。201万から400万円かかった人も5.4%いるようです。保険適用外のため、不妊治療には高額な医療費が必要となっていることがわかりました。
 
不妊で悩んだ人のうち、不妊治療を行わなかった理由として、「治療費が高い」が56.0%となりました。治療費が高い上、必ず子どもができる保証があるわけでもなく、治療が長期にわたることもあります。そのため、金銭的な問題で不妊治療を行わないという人もいるようです。
 

不妊で悩む夫婦のパートナーシップは良くなった、変わらないが7割

不妊で悩んだ人のパートナーシップはどうなったか尋ねると、「かなり良くなった」が1.8%、「良くなった」が17.5%、「変わらない」が59.6%となっています。パートナーと不妊について話し合ったり、治療に向き合うことで、パートナーとの絆が深まったという人が2割程度いるようです。
 
一方、不妊で不仲となったのは21%と、パートナーシップが良くなったのと同等かそれ以上となりました。不妊治療は金銭的な問題だけでなく、男女とも治療に苦痛やストレスが伴うものです。これにより、夫婦仲に溝ができてしまう場合もあるようです。
 
不妊治療の課題は何だと思うか、自由回答で聞いたところ、下記のような意見が寄せられました。
 
・夫婦同士が冷静に本音を話し合うことで、お互い納得する方針を決め協力して進められるかどうかだと思います。その方針を決める上で、金銭面も重要な要素であるため不妊治療の保険適用は前向きに検討していくべきです。
 
・女性がなかなか夫に言い出せないことです。お互いに理解しあっていても、女性が責任を感じてしまいがちです。
 
・頑張っても成果につながらない、終わりの見えない戦いだと感じています。仕事との両立の難しさや経済負担の大きさです。
 
少子高齢化はますます深刻化し、社会保障の仕組みを揺るがしかねません。子どもが欲しくてもなかなか恵まれない夫婦が、治療費の高さから子どもを持つことを断念するならば、不妊治療の保険適用は有効な施策なのではないでしょうか。今後に期待しましょう。
 
[出典]
※1:内閣府「令和元年版 少子化社会対策白書」
※2:エン婚活エージェント株式会社「不妊治療の保険適用についての調査」(株式会社 PR TIMES)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部