更新日: 2021.03.31 その他暮らし

【おさらい】「銭湯」と「スーパー銭湯」は、何が違うの?

執筆者 : 上野慎一

【おさらい】「銭湯」と「スーパー銭湯」は、何が違うの?
「スーパー」が付く言葉は、日常生活のあちこちにあります。「スーパーマーケット」や「スーパーインポーズ(字幕スーパー)」などは、略してそのまま「スーパー」でも通用しそうです。
 
通常よりも[質が優れている、規模が大きい、量が多い]など、この言葉が頭に付くと“特別感”が加わったイメージが強くなります。銭湯では、「スーパー」が付くと何が違うのでしょうか。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「スーパー銭湯」は、銭湯と何が違うの

銭湯は、公衆浴場法で「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定められている公衆浴場の一種。【図表1】の分類では、(1)のほうになります(※1)。
 


 
一方「スーパー銭湯」は、(2)その他の公衆浴場であり入浴料金が統制されない点が銭湯との大きな違いです。ボディソープやシャンプー・リンスのボトルも洗い場に常備されています。
 
また(2)の中では、ヘルスセンターや健康ランドなどに比べると、規模があまり大きくない、料金もあまり高くないなど、そこそこ大衆的な存在なのです。
 

銭湯料金は、全国一律?

ところで、先述のように銭湯は「物価統制令によって入浴料金が統制されている」ので、料金は全国一律だろうと思っている方も多いかもしれません。しかし、実際には都道府県ごとに決まっています。
 
今年2021年3月時点の大人料金(以下同じ)は、東京都で470円。物価の高そうな東京都が一番高いわけでもなくて、神奈川県490円、岩手県は480円です。逆に佐賀県280円(洗髪料50円は別途)、山形県300円、茨城・長崎・宮崎各県350円など、かなり安いところもあります。
 
以前に、国民健康保険料や地震保険料が全国一律ではなく、結構な“地域格差”があると指摘しました。銭湯の場合、県によってはその数自体がとても少なくなってしまい、料金値上げの申請や審議をする体制がままならない事情もあるようですが、こちらでも料金の“地域格差”はかなり見られます。
 
もちろん、スーパー銭湯のほうも入浴料金にはかなりの幅があります。ざっとしたところでも、2000円台、1000円台、1000円未満と幅広い事例が見られます。
 
浴室にサウナや露天風呂が設置され、湯上がりにも飲食、マッサージなどリラクゼーション、さらにはゲームセンターや調髪などの機能まで備えたところもある。こうした各種付加価値のほか、立地の便利さ、施設自体の高級感などが、銭湯よりも高い料金の中に反映されているのでしょう。
 

スーパー銭湯では「入湯税」がかかることも

なお、銭湯でもそれ以外のジャンルの浴場でも、天然の「温泉」であることをアピールしているところが多くあります。
 
「温泉法」によって、地中から湧く25度以上の温水か25度未満でも一定の成分を含む鉱水と定められているのが温泉ですが、入浴するときには「入湯税」がかかります。
 
こちらは1人1日150円を標準としていますが、市区町村によってこれよりも高いところ安いところが混在しています。しかし、銭湯など一般公衆浴場は対象外。そのほかにも減免措置が自治体によって講じられていて、東京23区では[12歳未満の子供(小学生)]や[施設の利用金額が1200円以下の場合]が非課税となっています。
 
このように、天然温泉のスーパー銭湯の中には入湯税が料金に上乗せで含まれているケースもあるのです。
 

まとめ

ネット検索すると、全国のスーパー銭湯各施設を一覧で表示してくれるようなサイトもあります。その1つで試してみると、東京都内で110ヶ所近くがヒットしました。うち75ヶ所が23区内に所在していて、料金(平日・大人)は一番高額で2900円。このほか2000円台、1000円台、1000円未満と幅広い料金帯でした。
 
その中で、470円のところが何と40ヶ所近くもありました。東京23区内の銭湯数は、2019年12月末で473です(※2)。全体の1割弱が、スーパー銭湯のジャンルとしてカウントされていることになります。
 
実は、この検索をしたサイトも含めて、露天風呂など設備の充実した銭湯を「スーパー銭湯」として掲載している場合もあるようです。
 
先述の(1)一般公衆浴場と(2)その他の公衆浴場の分類の文面からすると、銭湯とスーパー銭湯の違いは、前者が生活必需品、後者は嗜好品といったイメージです。とはいえ、ゆっくりとお湯につかると疲れが取れてリラックスできる点では、銭湯とスーパー銭湯の差はあまりないかもしれません。
 
予算、利用目的、利便性などで使い分けて、そして「三密」にも気をつけながら、それぞれを自由に楽しめばよいでしょう。
 
[出典]
(※1)厚生労働省「公衆浴場法概要」
(※2)東京都「東京都くらしWEB」~「東京の公衆浴場はどうなっているの?(東京の公衆浴場の現況)」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
 

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