更新日: 2022.11.18 その他暮らし

個人事業主が法人化すべきタイミングとは? 年収や家族構成別に解説!

個人事業主が法人化すべきタイミングとは? 年収や家族構成別に解説!
個人事業主として開業し所得が増えてくると、気になるのが法人化のタイミングです。個人事業から法人化することを、「法人成り」といいます。
 
今回は、個人事業主の中でも、より法人成りした方がメリットがある場合について紹介、法人化すべきタイミングや、どのような点についてメリットが大きいのかについても解説します。
 
現在個人事業主の人や、これから起業を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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個人事業と法人の違いについて解説

個人事業主と法人の大きな違いは、売り上げに対して発生する税金です。個人事業主では、売り上げから経費を引いた金額に、所得税や住民税がかかります。
 
一方法人では、各種法人税がかかります。税金を考える際に大きな違いとして考えられるのが、給与の取り扱いです。
 
個人事業主では、給与という概念がありません。そのため、給与所得控除の適用はありません。
 
しかし法人では、毎月一定の給与に対して給与所得控除が発生するため、法人税の負担軽減にもつながります。
 

所得税は所得が増えると税金も増える仕組み

国税庁タックスアンサーでは、所得税の税率について分かりやすく明記されています。
 
日本の所得税は累進課税制度をとっており、所得が大きくなると税金も増える仕組みです。具体的には、所得額に応じて5~45%の7段階に分かれています。
 
個人事業主の所得にかかるのは所得税ですので、所得額によっては、かなり大きな税率が適用されることもあります。
 
一方法人の場合は、所得税よりも税金の増加率が大きくなく、最大税率でも23.2%です。法人税は法人の所得に対して適用されますが、法人の場合には、前述したように給与所得も控除になるほか、賞与に関しても控除対象となります。
 
そのため、個人事業主よりも経費計上できる項目が多く、法人税の対象となる法人所得を少なくすることが可能です。
 

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法人化した方がメリットが大きい個人事業主とは?

個人事業主のすべての人が法人化した方がよいわけではありません。事業の内容や所得によっては、個人事業のままで継続した方がよい場合もあります。
 
ここからは、税制面と社会保険などの観点から、法人化した方がメリットが大きい個人事業主について解説します。あくまで一例ではありますが、法人化の参考の1つとしてご参照ください。
 

税制面では利益が800万円を超えたら法人化を検討する目安にしよう

税制面からみると、個人事業主で利益が800万円を超えたくらいを目安に法人化すると、メリットがあると考えられます。
 
ここで注意したいのは年収ではなく、利益が800万円という点です。普通法人の法人税率は、利益が800万円以下の場合は15%、超えると23.2%です。つまり、800万円をどんなに超えても23.2%ということになります。
 
個人事業主の年間利益が800万円を超え続け、これからも継続的に利益が増加しそうであれば、800万円を超え始めた時期から法人化を検討してみましょう。個人事業のままでは、最大45%もの税率がかかります。
 
一方、法人化した場合は、法人税の上限は23.2%であるため、税制面だけで比較すると、法人化した方がメリットは大きいでしょう。
 

家族がいる場合には法人化のメリットが大きい場合も

個人事業主の場合、所得税が増えることだけが負担になるわけではありません。個人事業主が加入する健康保険は「国民健康保険」ですが、この保険料は前年の所得によって決まります。
 
保険料の算定基準は居住地の市町村によって差がありますが、やはり年収が高いほど、国民健康保険料も高額になります。
 
さらに、国民健康保険では扶養家族という概念がないため、1人1保険として加入する必要があります。そのため、それぞれの保険料を家計から捻出することになり、家族が多いほど負担は増えます。
 
一方、法人化して社会保険加入になれば、世帯主の保険料のみ支払えば、一定の要件を満たした扶養家族はすべて保険料がかかりません。
 
このことから、家族の年齢や人数によっては、現在個人事業主であっても法人化を検討する方が、世帯全体に対するメリットが大きいといえます。
 
また、家族がいる場合、世帯主に万が一のことがあった場合の遺族補償としても、法人化の方が安心できます。
 
例えば、子どもがおらず夫婦のみ世帯で夫が個人事業主の場合、妻がもらえる遺族年金はありません。個人事業主が加入している年金制度は国民年金のみであり、その場合の遺族年金は遺族基礎年金のためです。
 
遺族基礎年金をもらえる対象となるのは「子」「子のある配偶者」です。つまり、夫婦のみ世帯の場合にはいずれにも該当せず、遺族年金はもらえないということになります。
 
法人化して厚生年金加入になれば、夫婦のみ世帯の妻も遺族厚生年金のみ対象となります(ただし妻が30歳以下の場合には5年間のみ受給)。
 
また、子どもがいる場合には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が対象になるため、どちらも受給対象となります。
 
そのため、子どもの有無にかかわらず、法人化し社会保険加入することで、遺族保障面でも安心できるといえます。
 

まとめ

年間利益や家族状況に応じて、法人化へ向けて検討するポイントはいくつかあります。事業の規模や内容によっては、そこまで法人化にこだわらなくてもよい場合もあるでしょう。
 
税制面も気になるところですが、家族がいる場合には、遺族補償の面から法人化を検討するのもよいかもしれません。単身世帯の場合でも、法人化し厚生年金に加入することで、老後にもらえる年金の上乗せ部分が増えます。
 
1つのポイントだけでなく、多くの視点で検討することをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No,2260 所得税の税率
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.5759 法人税の税率
国税庁 個人事業
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部