更新日: 2023.01.26 その他暮らし

職場で「ぜいたくだから」とエアコンが禁止されています…室温が「8度」なのですが違法ではないのでしょうか?

職場で「ぜいたくだから」とエアコンが禁止されています…室温が「8度」なのですが違法ではないのでしょうか?
職場の室温を管理者などが決定しており、それが極端に高かったり低かったりすれば、仕事のパフォーマンスにも影響しかねません。もしも室温が「8度」と極端に低い場合、違法性はないのか気になる人もいるでしょう。
 
「ぜいたくだから」「自分でどうにかしろ」と言われても納得するのは困難です。本記事では、オフィスの室温が極端に低い場合にくわえ、極端に高い場合にも違法性はないのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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室温8度のオフィスは違法?

オフィスの室温は、基本的にはそこで働く人や管理者が決定できます。他のオフィスや職場と比較して、高かったり低かったりするケースは多々あるでしょう。
 
しかし、室温が著しく低い場合は問題です。どのような場合に問題となるのか解説します。
 

・室温が10度以下のオフィスは違法の可能性あり

日本には、企業の衛生環境や従業員の安全を守るための法律があります。「労働安全衛生法」です。この法律に基づき、特にオフィスの衛生環境や安全性を守るために定められているルールに「事務所衛生基準規則」があります。この規則で注目したいのが、第4条の「温度」の項目です。
 
そこには、室温が10度以下の場合は、暖房するなどして適切な温度に調節しなければならない、といった文言があります。つまり、オフィスの室温が「8度」の場合、この事務所衛生基準規則に違反していることになります。労働安全衛生法にも違反しているため、違法といえるでしょう。
 

・室温が低い場合でも違法とはならない例

事務所衛生基準規則では、冷房等により室温を下げる場合には、外気温よりも極端に低くしてはならないといった文言も書かれています。
 
しかし、電子計算機器を設置している部屋では、条件を満たせば、外気温より室温を低くしても特段問題としない、といった趣旨の記載もあります。この場合の条件とは、そこで作業している人に保温のための衣類などを着用させていることです。
 
つまり、管理者などが従業員に防寒着を着せることなく室温を外気温よりも著しく下げると違法と解釈できます。
 

室温が極端に高い場合は?

オフィスの室温が10度以下のままにしておくことは違法である可能性が高いといえますが、逆に室温が極端に高い場合はどうでしょうか。例えば、オフィスの室温が「38度」の状態などです。
 
このようなケースでも「事務所衛生基準規則」が参考になります。同規則の第5条では「空気調和設備等による調整」についてまとめられています。そのなかの第3項に、空気調和設備がオフィスにある場合には、室温が18度以上28度以下になるように努めなければならない、といった趣旨の記載があります。
 
空気調和設備とは、いわゆるエアコンのことです。エアコンが設置されているオフィスでは、高くても28度以下の室温に設定する努力が求められていることになります。
 
ポイントは「努めなければならない」という文言でしょう。室温が低すぎる場合には「適切な温度に調節しなければならない」といった内容であったため、これは義務となり、違反すれば罰則が適用されます。
 
一方で、室温が高すぎる場合は「努めなければならない」なので、努力義務となります。つまり、室温が38度の場合は極端に高く、事務所衛生基準規則に対する違反とはいえますが、法的拘束力もないため罰則も適用されません。
 

オフィスの室温が極端に低い場合や高い場合の対処法

室温が10度以下の場合、通常の業務を行うオフィスであれば違法の可能性が高いでしょう。管理者に、そのことを伝えて室温の調整を申し出る必要があります。室温が極端に高い場合の対応は、管理者に委ねられるのが一般的です。
 
しかし、そのままでは健康被害が出る可能性があるため、やはり管理者などに室温の調整を申し出ることが重要です。かたくなに応じてもらえない場合は、メールや電話でも対応してもらえる労働基準監督署へと相談しましょう。
 

違法性のある室温のオフィスで働いている場合は相談を

労働安全衛生法に基づいて定められている事務所衛生基準規則には、室温10度以下の場合は暖房するなど適切な温度に調節しなければならないといった趣旨の記載があります。つまり、室温が8度のオフィスは違法状態といえるでしょう。
 
室温が極端に高い場合は、空調設備で室温を調節する努力義務が企業や管理者の側にはあります。もし、室温の調整を申し出ても適切な対応をしてもらえないようであれば、労働基準監督署へと相談しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 事務所衛生基準規則
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部