更新日: 2023.03.28 その他暮らし

一人暮らしで認知症気味の高齢母。「家、売っちゃった…。」自宅の売却契約はクーリングオフできない!?

執筆者 : 柘植輝

一人暮らしで認知症気味の高齢母。「家、売っちゃった…。」自宅の売却契約はクーリングオフできない!?
一人暮らしの高齢者が状況を正しく判断できず、今住んでいる自宅を売却契約してしまうということがごくまれにあるようです。契約を取り消す方法について探っていると、多くの方がクーリングオフに行き当たるでしょう。しかし、クーリングオフも万能ではありません。
 
一人暮らしで認知症気味、かつ高齢な母親が自宅を不動産業者に売却した事例をもとに、自宅売却とクーリングオフについて解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

クーリングオフとは

クーリングオフとは、いったん契約の申し込みや締結をした場合でも一定期間内であれば、消費者から一方的に契約を撤回、または解除できる制度です。
 
クーリングオフについては一時テレビや新聞などで多く報道されていたこともあり、「契約で何かを買ったり売ったりしてもクーリングオフで後から解除できる」ということを知っている方も少なくないでしょう。
 
しかし、クーリングオフも万能ではありません。例えば、クーリングオフの対象となるのは個人と事業者との間の取り引きであり、個人間の売買では適用されません。その上、取り引き内容によっては対象外となる取り引きもあります。
 
対象外となる取り引きの中に、不動産業者への自宅の売却があります。そのため、母親が自宅を不動産業者へ売却してしまった場合はクーリングオフが適用されないので、自宅の売却を阻止するためにはそれ以外の方法を探る必要があります。
 

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認知症を理由に契約を解除する

判断能力が衰えているような方が結んだ契約は、意思能力を欠くものとして契約を無効とすることができる場合もあります。この点、医師の診断や日常生活の状況などにもよるため一概にはいえませんが、認知症を理由に無効を主張するには認知症の度合いが問題となります。
 
一般的に、一人暮らしができていて認知症気味というくらいであれば、判断能力が衰えていて契約が無効とされるほど意思能力が欠如しているとは認められず、契約の解除が難しくなる可能性があります。
 

手付け解除を行う

親が結んだ自宅の売却契約を取り消す方法として現実的なものには、手付けの倍額を返還するという方法があります。手付けとは買い主から売り主に対して契約成立時に支払われるお金です。手付けがどのような性質を有するかは個別の契約によって異なることもあるのですが、一般的には解約手付けの性質を有している場合が多いようです。
 
解約手付けの場合、買い主は手付けを放棄することで、売り主は手付けの倍額を支払うことで、契約を一方的に理由なく解除できます。解約手付けである場合、基本的には契約書にその旨の記載がなされています。
 
ただし、いつでも手付けによる解除ができるわけではなく、相手方が契約履行に着手するまでという制限があります。履行の着手に該当する具体例としては「不動産業者が代金の用意をし、売り主に自宅の引き渡しをするように催告した」などが挙げられます。そのため、手付けによる解除は速やかに行う必要があります。
 

不動産業者に事情を説明して相談する

親が認知症気味であることを不動産業者が知らない場合もあります。認知症は軽度であれば外見からは分からないことも珍しくありません。そこで、不動産業者に事情を説明して理解を得た上で契約を解除するということが可能な場合もあります。
 
しかし、不動産業者によっては相談に応じてもらえないこともあります。認知症気味であっても、契約が結ばれた以上、契約は履行されるのが原則です。あくまでも不動産業者の理解を得られればラッキーぐらいの感覚で相談するべきです。
 

自宅の売却ではクーリングオフの適用は難しい

不動産業者への自宅の売却はクーリングオフの対象外となるため適用されません。クーリングオフは一方的に消費者側から契約を解除できるという非常に強力な制度である反面、制約も多くあります。
 
また、認知症においても軽度で認知症気味という症状では、認知症を理由に契約を解除することが難しい場合もあります。親が高齢で一人暮らしという場合、子や孫などの家族がサポートして、一人で大きな契約をしないよう家族で話し合ったり、相談できるような環境を整えたりすることが大切でしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士