天気予報などを見ていても、しきりに「エアコンを適切に利用して熱中症を予防してください」と呼びかけていますよね。
この夏はエアコンが売れに売れ、エアコン取り付け工事の予約も取りにくいと聞きます。その家庭用エアコン、どこで製作しているのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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意外!? 2018年のエアコン生産数は6月時点では伸びていなかった
一般社団法人日本電機工業会によるとルームエアコンの出荷金額は 1380 億円、前年比 112.2%と6ヶ月連続のプラスとのことです(※1)。それはそうでしょうね。
ところが、経済産業省の資料によると(※2)、2018年6月時点でのエアコンの生産指数は、前月比マイナス0.1%。前年同月と比べてもマイナス2.1%と減少しており、去年の生産水準よりも低かったそうです。
同資料では、メーカーが去年の在庫を引き継いでおり、今年に入っても生産を伸ばせない状況にあったのではないかと分析しています。
みなさん、去年の夏の天気を覚えていますか? 去年の6、7月も、今年と同じくとても暑い気温が続いていました。そのためにグッとエアコンの販売が伸び、メーカーも増産体制に入ったそうです。
ところが、そんなメーカーの思いはつゆ知らず、去年の8月は意外にも雨続きの天気が続き、9月まで比較的気温の上昇が落ち着いてしまったため、せっかく増産したにもかかわらず出荷が伸びなかった……という結末に。そのため、今年の6月時点ではあまり増産体制に入っていなかったのではないかということです。
しかし、ご存じの通り、今年の7月から酷暑がやってきて、メーカーもフル増産体制に入ったのでしょう。しかし、なかなか最初はエンドユーザーに商品が追いつかなかったのかも。
フル増産体制に入った家庭用エアコン、その工場は国内にあるのでしょうか? 現在では、家電は海外の人件費の安いところで作っているのでは……。
エアコンの国内生産品シェアは9割近く
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室の資料(※3)によると、家庭で使う白物家電の多くは、国内生産が減っているようです。
ここ30年間の、白物家電の国内生産動向を見ると、同資料では以下のようになっています。(1990年の水準を100とした指数で算出)
・電子レンジ 11.8(2007年)
・電気洗濯機 34.0(2012年)
・電気冷蔵庫 38.6(2016年)
・電気掃除機 41.5(2016年)
・電気がま 60.9(2016年)
・家庭用エアコン 89.6(2016年)
予想通り、おなじみの家電製品は国内で生産される比率が低く、電子レンジに至っては、なんと国内生産品のシェアが1990年と比べて約1/10にダウン。
ところがそんな中、家庭用エアコンは国内生産品のシェアが約9割という、日本国内生産の家電製品であり続けているのです。
暑い季節は24時間フル稼働させることも多いエアコンですから、省エネ・電気代節約の観点からも、日本製の家庭用エアコンには強みがあるのかもしれません。
テレビを見ていても、エアコンのCMは国内メーカーのものばかりですよね。実は家庭用エアコンこそ、現在のメイド・イン・ジャパンの代表選手なのかもしれません。
※1一般社団法人日本電機工業会「民生用電気機器 2018 年7月度国内出荷実績 」
※2 経済産業省「今年の酷暑でも、その生産は落ち着いた動き;昨年の生産活動の影響が残るエアコン」
※3 経済産業省「30年前とほぼ同水準の国内生産を維持するエアコンは、国産シェアが実に8割以上を占めています」
Text:FINANCIAL FIELD編集部