更新日: 2019.06.13 その他暮らし

「食っていけないよ~」本業・アマチュアのさまざまな実情が見える「イラストレーター白書」

「食っていけないよ~」本業・アマチュアのさまざまな実情が見える「イラストレーター白書」
みなさんのなかには、趣味でイラストを描いている人や本業のイラストレーターさんもいらっしゃるのではないでしょうか。自分の好きなことや得意なことを仕事にできるのは、とても幸せなことですよね。
 
実際に、本業イラストレーターの方やアマチュアのイラストレーターの方たちは、どのように働いているのでしょうか?今回は、株式会社MUGENUPが発表した「イラストレーター白書 2019」(※)を見ていきましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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イラストレーターのプロフィールをチェック!

この調査は、本業イラストレーターや副業・兼業イラストレーター、アマチュアイラストレーターなど、18歳以上のイラストレーターを対象に行われたもの。まず、イラストレーターにはどのような人が多いのか見てみましょう。
 
【イラストレーターの年代別男女比】
・10代   男性  5.2% 女性  8.8%
・20代   男性 15.4% 女性 39.8%
・30代   男性  5.2% 女性 16.5%
・40代   男性  2.7% 女性  3.2%
・50代以上 男性  1.2% 女性  1.2%
 
10代〜50代以上まで、それぞれすべての年代で女性の比率が高いという結果になりました。全体で見ると、男性29.5%、女性68.4%と、女性のイラストレーターが男性の2倍以上いることがわかります。
 
【イラストレーターの結婚状況】
1位:独身 70.1%
2位:既婚 15.4%
3位:結婚はしていないが、恋人や婚約者などのパートナーがいる 14.4%
 
先ほどの調査結果によると、イラストレーターのボリュームゾーンは20代。まだ若いこともあり、結婚状況としては独身が圧倒的多数という結果に。
 
【イラストレーターの子どもの有無】
・子どもがいる   7.7%
・子どもはいない 92.3%
 
圧倒的に子どもがいないと答えた人が大多数でした。
 
【イラストレーターの住まい】
1位:両親や家族といっしょに暮らしている 64.3%
2位:一人暮らしである          20.3%
3位:パートナーや友人と同居している   15.4%
 
6割以上の人が、実家、もしくは結婚して家族といっしょに暮らしているということがわかります。上記4つの調査結果から、イラストレーターには「20代女性が多い」「独身」「子どもはいない」「実家暮らしの人が多い」というプロフィールが見えてきますね。
 

イラストレーターの収入事情をチェック!

では次に、気になるイラストレーターの収入事情を見てみましょう。この調査では、イラストレーターの種別を以下のように定義しています。
 
●本業イラストレーター:イラストに関わる仕事だけで生活している方および、生活費のためにアルバイトなど他のお仕事をしながらもイラストの仕事を中心としていると回答した方々
 
●副業・兼業イラストレーター:自分自身の本業をもっていたり、両親やパートナーの扶養を受けたりしながら、イラストによる追加収入を得ていると回答した方々
 
●アマチュアイラストレーター:イラストによって収入を得ていないと回答された方々
 
この調査によると、イラストを生業とし、イラストによる収入で生活をしている人は全体の15%程度という結果に。多くのイラストレーターはアマチュアとして活動しており、イラストで収入を得ているわけではなさそうです。
 
では、イラストレーターは「同人活動」で利益を上げることはできるのでしょうか?
 
【同人活動による収入について】
1位:同人活動をしていない、またはしていても収入を得ていない   72.3%
2位:同人活動による収入はあるが、活動経費の方が大きく、赤字である 10.6%
3位:同人活動による収入はあるが、活動する経費とほぼ等しい     7.8%
4位:お小遣い程度の収入がある                  7.7%
5位:兼業として生活を豊かにするほどの収入がある         1.2%
6位:同人活動で生活を支えている                 0.5%
 
同人活動で収入を得ていない、もしくは赤字という人が、なんと全体の8割以上を占めていました。兼業として生活を豊かにする程度の収入を得ている人はたったの1.2%、さらに同人活動で生活を支えている人はわずか0.5%という結果に。
 
いまの時代は、イベントなどでの手売り販売だけでなく、インターネットでのダウンロード販売やパトロンサービス(クリエイター支援)など、販売方法の選択肢も増えています。
 
しかしながらそんなにポンポン売れるわけではなく、同人活動で生活していけるのはほんのわずかな人たちだけ……というシビアな現実が見えてきますね。
 

イラストレーターの労働事情をチェック!

では、本業イラストレーター、副業・兼業イラストレーターの人たちの労働事情はどのようなものなのでしょうか。
 
【仕事の請け負い方】
<本業イラストレーター>
1位:個人  77.8%
2位:従業員 16.0%
3位:両方   6.2%
 
<副業・兼業イラストレーター>
1位:個人  90.7%
2位:従業員  6.2%
3位:両方   3.1%
 
本業の人も副業・兼業の人も、圧倒的に個人事業主が多いという結果に。ゲーム会社などに勤めて従業員として描いている人よりも、フリーランスでイラストレーターをしている人のほうがこんなに多いのですね。
 
次に、イラストを発注してくれる取引先の数について見てみましょう。
 
【どれくらいの取引先から仕事を請けているか】
<本業イラストレーター>
1位:1〜2  48.9%
2位:3〜5  25.9%
3位:ほとんど受けていない、もしくは、自分でオリジナルを発表している 16.2%
4位:6〜10  5.0%
5位:10以上  4.0%
 
<副業・兼業イラストレーター>
1位:ほとんど受けていない、もしくは、自分でオリジナルを発表している 49.8%
2位:1〜2  36.5%
3位:3〜5  11.3%
4位:6〜10  1.9%
5位:10以上  0.5%
 
本業イラストレーターは、安定的に売上をもらえる取引先を1〜2社……という人が多いようです。いっぽうで副業・兼業イラストレーターは、決まった取引先を持たず自分でオリジナルを発表している人がほぼ半数という結果になりました。
 
ちなみに、同調査によると年収400万円以上の本業イラストレーターに絞って聞くと、40.8%の人が3~5社と回答しているとのこと。フリーランスのイラストレーターとして生活していくためには、少なくとも3社以上の取引先を抱えたほうがよさそうですね。
 

まとめ

好きなことを仕事にできるのは幸せなことですが、それでしっかり生活していくのはなかなか難しいもの。もしイラストレーターとして食べていきたいならば、ネットを駆使して自ら営業をかけて、安定した取引先を3社以上持ちたい……というのが、ひとつの指標になりそうです。
 
※株式会社MUGENUP「イラストレーター白書 2019」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部