新たに始めた店舗も、この機会にテイクアウト・デリバリーを利用し始めた消費者も、そろそろ新しい生活様式のひとつとして馴染んできたころではないでしょうか。
実際、テイクアウト・デリバリーを導入した飲食店の売上は伸びているのでしょうか? また、消費者の予算はどれくらいなのでしょうか?
調査結果をひもといてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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テイクアウト・デリバリーで飲食店は好調? 不調?
まずは、クックビズ株式会社が飲食企業を対象に今年7月に行った、テイクアウト、デリバリーなどについての調査結果(※1)を見てみます。
【直近半年で売上は上がりましたか?】
<テイクアウトを行っている店>
・上がった 54%
・変わらない 17%
・始めたばかりで不明 25%
・下がった 4%
<デリバリーを行っている店>
・上がった 43%
・変わらない 18%
・始めたばかりで不明 32%
・下がった 7%
この結果を見ると、テイクアウト・デリバリーのどちらにおいても、導入した約半数の飲食店の売上が上がっていることがわかります。「変わらない」「始めたばかりでまだ判断できない」という部分を除いても、「売上が下がった」という飲食店は少数派ということも明らかに。
もちろんテイクアウト・デリバリーなどが好調な反面、イートインが不調というケースもありますが、少なくともこの部分については売上が上がった飲食店が多いという結果になりました。
今後もテイクアウト・デリバリーを継続する飲食店はどれくらい?
緊急事態宣言が解除されて久しく、感染対策を徹底する飲食店も増えてきましたが、それでもまだ以前のペースで外食するのは不安……という方も少なくないでしょう。
そのような背景もあり、自宅で気軽にプロの味を楽しめるテイクアウト・デリバリーは今後も需要が望めそうですが、どれくらいの店舗が継続する意向を示しているのでしょうか。
【今後もテイクアウトを継続しますか(テイクアウトを行っている飲食店)】
・はい 92.5%
・検討中 7.5%
【今後もデリバリーは継続しますか(デリバリーを行っている飲食店)】
・はい 97.0%
・検討中 3.0%
ほぼすべての飲食店が、今後も継続すると回答しています。
逆に継続するかどうか迷っている店舗の理由としては、「衛生面が心配だから(テイクアウト)」33.3%、「商品の品質が落ちるから(テイクアウト)」23.8%、「配達員など追加人件費が発生するから(デリバリー)」44.4%、「オペレーションに不安があるから(デリバリー)」31.1%、「始めるにあたってコストがかかるから(デリバリー)」24.4%などが上位を占め、衛生面や品質、コストやオペレーション面に不安を抱える飲食店が少なからず存在することがわかります。
ただ、調査結果的には、テイクアウト・デリバリーを導入した大多数の飲食店が今後も継続するとあって、消費者としては食事の選択肢が増えて助かるところですね。
テイクアウトの予算、コロナ前後で変化はあった?
では、わたしたち消費者の飲食店テイクアウトについての予算はどのようになっているのでしょうか。
株式会社ぐるなびが発表した「飲食店のテイクアウトに関する調査レポート」を見てみましょう。これは今年5月に行われた調査です。
【直近1ヶ月間で飲食店でのテイクアウトを利用された際の1回、お1人あたりの予算は?】
・ランチ : 913.9円
・ディナー:1404.7円
【予算は直近1ヶ月より前と比較して変わりましたか?】
・増えた 32.5%
・変わらない 60.8%
・減った 6.6%
テイクアウトのランチが900円台というと、ちょっとぜいたくな印象を抱く人もいるのではないでしょうか。調査が行われた時期から判断すると、直近1ヶ月前とはずばり緊急事態宣言前に当たります。コロナ前後でテイクアウトにかける予算が増えたと回答している人は、実に全体の3割強でした。
理由としては、「飲食店の応援も兼ねてテイクアウトを利用しているため」「外食をしていた頃のことを考えて、高めの金額でもいいと考えるようになったため」「少し奮発して家で楽しむという感覚に変わったため」「敷居が高くて行けなかった飲食店もテイクアウトで利用できたため」など、ポジティブな意見も多いようです。
これからテイクアウト・デリバリー生活が長く続くと、そうはいっていられなくなるのかもしれません。今後の調査結果を注視しつつ、テイクアウト・デリバリーを活用する一方で自炊も行い、出費を適切に管理したいものですね。
[出典]
※1 クックビズ株式会社「飲食店へテイクアウト・デリバリー・EC販売に関するについて実態調査」(株式会社共同通信ピー・アール・ワイヤー)
※2 株式会社ぐるなび「飲食店のテイクアウトに関する調査レポート」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部